金プラチナ短期相場観
物価上昇の気配なし、利上げ見通しも台風10号のように迷走
更新日:2016年8月30日(火)
迷走する台風10号は本日夕刻にも史上初の東北地方上陸の可能性が高まり、記録的な大雨への警戒感も高まっているようです。
米商務省が発表した7月の個人消費支出(PCE)は前月比+0.3%となり、4カ月連続のプラス圏と好調を維持しました。
しかし、個人消費支出(PCE)の物価指数、PCEデフレーターは予想どおりの前年比+0.8%。2カ月連続の低下となり、3月と並んで今年最低水準へと鈍化しました。昨年の低迷期からの反発も今年1月の+1.1%をピークに頭打ちの状態が続きます。
食品とエネルギーを除く、PCEコア・デフレーターは市場予想を0.1ポイント上回り、前年比+1.6%。3月から5カ月連続の+1.6%となり、加速も減速もしない状態が続きます。
コアPCEの年間平均では、2015年の+1.4%から、2016年は7月までで+1.6%へと水準を切り上げた状態にあり、FRBの物価目標2%に近づきつつあると見ることも可能で、適正水準下限とも言われる+1.5%を上回る状態を一応キープしてはいます。
この状況を良しとして、妥協するのかどうかはわかりませんが、「インフレ加速の兆し」とは認識できず、「物価上昇への確証」を得ることなどできない状態であることは想像に難くはありません。
9月利上げに向けては雇用統計次第、との論調も聞かれますが、インフレ動向はこの程度で良かったのか?という疑問も残るところです。
CMEのFedウォッチでも利上げ見通しは再び急失速しています。
雇用統計がそれなりに好結果となった場合には、利上げ見通しが再び加速することにはなりそうですが、9月利上げの可能性はそれほど高まらないことも想定されます。
若干の警戒感を高めながらも、市場の利上げ見通しも、台風10号のように迷走状態が続きそうです。
29日のNY金相場は0.09%の小幅続伸。時間外に7月27日以来、1カ月ぶりの安値水準となる1317ドルまで下げた後はゆっくりと反発基調も1328ドルまでと限定的。目標水準1320ドル台到達後の横ばい推移が続き、方向感喪失気味。早期利上げへの警戒感はそれほど強くはなく、下げ渋る状態も反発への材料にも乏しい状況。8月3日以降の下落トレンド継続中に1320ドル台で一時的に下げ止まって踊り場形成の状態。週末にかけて、きっかけ次第で下方向には1300ドル付近までは下げやすく、反発の場合には1360ドルが当面の抵抗水準となりやすいところ。
NYプラチナ相場も0.32%の小幅続伸。金に追随する展開で時間外の安値からNY市場に向けての反発基調も安値は1070ドルまで、上値も1085ドルまでの小動き。やはり目標水準1080ドル台到達後に方向感を見出だせない状態。次の変動目安としては、下方向優勢で1050ドル前後まで、上方向には1130ドル台が抵抗水準に。
ドル円はわずかに0.12%のドル高円安となって4営業日続伸。前週末の流れを受けたドル買い円売りの勢いは東京市場終盤の102円40銭付近で失速。ロンドン市場休場で欧州時間には加速も減速もせず、102円台前半での小動き。NY市場午後にかけては米債利回り急低下とともに戻り売り圧力が強まって102円割れ。円買いドル売りポジションの多くが踏み上げられた状態からの戻り売り圧力も限定的、といった状況のなかでの新規の買いもそれほど多くはない、という様子。再度102円台へと水準を切り上げることが出来れば、103円台後半まで上値余地拡大のチャンスも雇用統計次第か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.22%の小幅続伸。円安への反転の可能性とNY金の下げ渋りに支えられて9日移動平均線上抜け状態を維持、流れは徐々に上方向へと持ち直しの気配も。苦戦中のドル円102円の攻防が少しづつ優勢へと切り返すような展開となれば、国内金価格の短期トレンドも本格転換の可能性も。水平状態の90日移動平均線、4700円ラインが短期的にも中長期的にも重要な節目水準に。
プラチナ価格も0.72%の続伸で1週間ぶりの水準を回復。しかし流れはまだ下方向優勢の状態にあり、90日移動平均線をわずかにデッドクロスした9日移動平均線突破が目先の局面打開への第1関門。ここで反落するようだと先週末の安値3726円トライも視野に。上抜けできれば1週間前の高値3832円トライへ。
※参考:金プラチナ国内価格8/30とチャート
- 2016年8月30日(火)時点の相場
-
国内金 : 4,648 円 8/30(火) ▲10(0.22%) 国内プラチナ : 3,797 円 8/30(火) ▲27(0.72%) NY金 : 1,327.1 ドル 8/29(月) ▲1.2(0.09%) NYプラチナ : 1,081.1 ドル 8/29(月) ▲3.4(0.32%) ドル円 : 101.91 円 8/29(月) ▲0.13(0.12%)
8月雇用統計では雇用者数10万人増でも利上げ可能レベル? 8/31(水)
物価上昇の気配なし、利上げ見通しも台風10号のように迷走 8/30(火)
4600円の節目で反発した金価格の行方を左右する102円の攻防 8/29(月)
FRBの総意が見られたジャクソンホールでドル安反転へ 8/27(土)
好調を示した7月の米耐久財受注、平均的には減少傾向継続中 8/26(金)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン