金プラチナ短期相場観
世界のプラチナ需給 2016年第4四半期と2017年見通し
更新日:2017年3月10日(金)
WPIC(World Platinum Investment Council)のプラチナ需給レポートによると、2016年第4四半期の世界のプラチ総供給量は60.3トン(鉱山45.4t、リサイクル14.9t)。第3四半期の62.7トンから2.4トン減少し、前期比-3.7%(鉱山-3.0%、リサイクル-5.9%)、前年同期比では-0.3%(鉱山-7%、リサイクル+28%)となっています。
国別の鉱山産出量では、南アフリカが3期ぶりの低水準となる33.1トンへと前期比3.3ンの減少。ロシア、ジンバブエ、北米、その他エリアはほぼ横ばい推移となり、南アフリカの減少分が世界全体の産出量減につながりました。それでも南アの世界シェアは71.2%と3期連続での70%超を維持。
2016年通年でも、鉱山産出量の世界合計は189.7トン(南ア131.9t、ロシア22.2t、ジンバブエ14.9t、北米12.8t、その他5.8t)となり、2015年の192.7トンから3トンの小幅減となっています。※この数値はジョンソン・マッセイ社のレポートとほぼ同水準。
2016年第4四半期のプラチナ総需要量は、67.2トン(自動車触媒26.6t、宝飾21.2t、工業12.6t、投資6.8t)。第3四半期の60.2トンからは7トン増加し、前期比+11.6%、前年比+16.8%となり、2015年第3四半期(72.2)以来5四半期ぶりの高水準となっています。
地金・コインなどの現物投資が2.2tから3.4tへと増加し、ETF関連は-2.6tの売り越しから+3.6tの買い越し転換し投資需要全体で1.2トンから6.8トンへと大幅増となったことが全体需要を押し上げました。
2016年通年での総需要は256.1トン(自動車触媒105.9t、宝飾79.8t、工業54.7t、投資15.7t)となり、2015年の256.3トンから小幅減。自動車触媒はほぼ横ばい、宝飾は前年比-10.9%、工業用は+5.4%、投資需要は+65.6%の大幅増。
宝飾品需要では、世界全体の7割近くを占めてきた中国の需要減が大きく影響しています。2016年の中国での宝飾需要は43.9トンまで落ち込み、2015年の54.9トンから20%の大幅減。それでも世界全体の宝飾需要の55%を占めます。
2017年には比較的安定し、世界全体でも1%程度の減少にとどまるものと予想されています。また、宝飾品としてのプラチナ需要拡大が続くインドの動向によっては、予想に反して増加することもありうるかもしれません。
2017年の見通しでは、総供給量が238.3トンで2016年から-3.8%の小幅減。鉱山産出量、リサイクルとも小幅減が予想されています。これに対して総需要量は242トンで2016年からは5.5%の減少見込み。全体的な小幅減と投資需要では2016年の反動による半減が予想されています。
結果的に年間需給バランスでは5年連続の供給不足が予想されています。
これにより、プラチナの地上在庫は2013年の105.9トンから年々減少し、2016年には64.4トン。2017年見通しでは60.7トンへとさらに減少することがが見込まれています。
9日のNY金相場は0.51%安となり、昨年5月以来10カ月ぶりの8日続落。利上げに向けて昨日からの金利上昇ドル高地合いが継続した流れで1月30日(1193.2)以来、1カ月半ぶりの安値水準に。一時1200ドルを割れる場面もあり、下値目安1200ドル前後までしっかりと到達し、2月2日以来1カ月ぶりの90日移動平均線割れ。過去の推移から見ても1200ドルの大台前後は素通りし難い節目水準でいったんは下げ止まりやすいところ。しかし、ポジティブ・ムードで迎える雇用統計前に既に大台割れの攻防状態にあり、若干の行き過ぎ、結果のポジティブ度合いによっては一段安の展開も予想される。昨年12月安値から2月末高値までの61.8%戻し(1178.0)付近までが目安に。
NYプラチナ相場は1.3%安となり、4日連続1%超の大幅続落で12月30日(901.6)以来の安値水準に。下値目安950ドル台近辺到達でも止まり切れず、昨年11月から12月にかけて保ち合いを形成した900ドル台前半の安値保ち合いゾーンに突入。目安としては12月安値から2月高値までの76.4%戻し(926.2)となる920ドル台辺りまでが意識され、目先しばらくは950ドルラインが抵抗水準となる可能性も。
ドル円は0.52%のドル高円安となり、3日続伸で115円にワンタッチ。利上げを意識しての米10年債利回り上昇に連れてドル円も堅調推移。115円ラインに何度か跳ね返されても今朝の東京市場ではこの壁を突破、115円台前半での推移に。雇用統計前に113円台後半から114円台後半までの小幅保ち合いを上抜けた形となり、少なくとも115円半ば、結果によっては116円台も見えて来そうな状況に。少し長めのレンジでは2月上旬と下旬の安値111円60銭前後でダブルボトムを構成し、ネックライン114円90銭台を超えてきたことで118円台前半までの上昇も見込まれることに。ただし、米10年債利回りが12月以来3カ月ぶりの高水準となる2.6%台へと上昇してきたことで、反落警戒感も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート
10日の国内金価格は前日比0.17%の小幅安で6日続落となり、2月8日(4756)以来1カ月ぶりの安値水準をわずかに更新。6日続落は昨年5月以来、10カ月ぶり。しかし円安サポートもあり、下値目安4700円近辺には距離を置いて下押し圧力も緩和気味。ただしイベントリスクによる乱高下に巻き込まれ、週明けには下値目安方向へと近づいている可能性も残される。
週間ベースでは-89円(1.84%)となり、6週間ぶりの反落。
プラチナ価格は0.88%安で4日続落。12月30日以来の安値をさらに更新し、3870円の節目割れに伴う下値目安3720円近辺までわずか4日間で到達。不安定なNYプラチナの状況からは、さらなる下値警戒感も。現状、10月から3月初旬までの上昇幅に対する38.2%戻しを少し超えたレベルにあり、50%戻し(3672)付近となる3650-70円辺りは12月の保ち合い水準にも相当し、比較的下げ止まりやすい水準に。
週間ベースでは-183円(4.69%)となり、4週続落。週間の下げ幅としては昨年4月4日からの週(-193円、5.11%)以来、11カ月ぶりの大幅下落。
※参考:金プラチナ国内価格3/10とチャート
- 2017年3月10日(金)時点の相場
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国内金 : 4,756 円 3/10(金) ▼8(0.17%) 国内プラチナ : 3,723 円 3/10(金) ▼33(0.88%) NY金 : 1,203.2 ドル 3/9(木) ▼6.2(0.51%) NYプラチナ : 937.2 ドル 3/9(木) ▼12.3(1.30%) ドル円 : 114.93 円 3/9(木) ▲0.60(0.52%)
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