金プラチナ短期相場観

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雇用コスト指数は前期比+0.7%、賃金とインフレ上昇圧力継続

更新日:2017年11月1日(水)

米・雇用コスト指数 2017年第3四半期米労働省が発表した7-9月期の雇用コスト指数は前期比+0.7%となり、4-6月期の+0.5%から上昇、9年ぶりの大幅な伸び率となった1-3月期の+0.8%に次ぐ高水準となっています。
賃金動向を如実に示す雇用コスト指数はゆるやかに上昇傾向を示し、これを前年同期比の推移で見ると、その傾向はより鮮明となります。

7-9月期は前年同期比で+2.5%となり、2015年1-3月期(+2.6%)以来2年半ぶりの高水準となっています。4四半期平均では+2.4%となり、2009年4-6月期(+2.4%)以来8年ぶりの高水準。金融危機前の2008年以前の水準にはまだまだ及びませんが、2016年以降は着実に上昇傾向が続きます。
9月雇用統計で平均時給が前年比+2.87%へと加速傾向を示したのと同調し、インフレ上昇圧力が徐々に強まり始める状況を示します。

この日発表された米国経済指標では、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数が10年8カ月ぶりの高水準となり、伸び率では5カ月ぶりの高水準。
10月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は66.2となり、悪化予想に反して9月の65.2からさらに上昇し、2011年3月以来6年7カ月ぶりの高水準。
10月の消費者信頼感指数は125.9となって市場予想の121.5を上回り、9月の119.8からも大幅上昇し、2000年12月以来約17年ぶりの高水準。

住宅市場も企業の景況感も好調、消費センチメントも歴史的高水準、という状況を示す指標が連日続くなかで、インフレ基調だけが今は低迷していますが、これを押し上げる材料がいずれ、徐々に出始めることになりそうです。

なお、消費者物価指数(CPI)では前年比+2%台に到達している米国に対し、+0.7%程度の低迷が続く日本では目標2%到達見込み時期の先送りが続き、黒田日銀総裁はその大きな根拠となる賃上げの鈍さの背景の一つとして、日本経済の将来の成長期待が十分に高まっていないことを指摘しています。
賃金上昇率加速の気配がみられる米国に対して、春闘頼みの日本の物価目標2%到達に向けての道のりは、まだまだ長引きそうです。

NY金・日足チャート 2017/9/27 - 10/3131日のNY金相場は0.56%安となって3日ぶりの反落。ロンドン市場から米金利の反発傾向とドル買い戻しの流れとなったことで軟調推移、NY市場では米経済指標が軒並み好結果となったことで一段安の展開、一時1270ドル割れを試す展開となり、今朝の時間外にかけても1270ドルラインとの攻防。終息かとも思われた10月後半の下落基調再開への可能性も残す形となって10月安値圏での小幅保ち合いに。1260ドル半ばを割り込むようだと下落トレンド再開で少なくとも1250ドル近辺まで一段安の展開へ、1280ドルへと切り下げた保ち合い上限を突破できれば1300ドル再トライの反発基調へ。
月間ベースでは-14.3ドル(1.11%)の続落。

NYプラチナ・日足チャート 2017/9/27 - 10/31NYプラチナ相場は0.34%の反落。時間外には3日ぶり高値となる927ドル台まで上昇して反落、NY市場では920ドルをはさんでの揉み合い推移に。20日移動平均線(927.0)に上値を押さえられて反発への流れも進まない状態が継続。抵抗水準となりつつある920ドル台後半を上抜けできれば950ドルの節目トライへと反発基調加速の展開にも。下値は910ドル台で足場固めの様相も、もし割り込んだ場合には今年安値更新トライへの警戒感も残る状況。
月間ベースでは+9.3ドル(1.02%)と反発。

ドル円・日足チャート 2017/9/27 - 10/31ドル円は0.4%のドル高円安となって前日下落分を取り戻す反発。東京市場では113円割れを何度か試すもこの近辺での底堅さを維持して反発、米経済指標の好結果に加えてトランプ大統領が「税制改革はクリスマスまで」の実施を目標とし、「法人税引き下げの段階的導入は検討せず」とあらためて強調したことなどもサポート材料となって113円70銭台まで上昇。9月以降の上昇トレンド終息の兆しをいったんは否定する形となり、113円から114円までの小幅保ち合いを形成。上抜けなら115円再トライへ、下抜けなら112円前後までの調整へ。
月間ベースでは+1.12円(0.99%)で続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/31終値とチャート

1日の国内金価格は0.04%の小幅続落。軟調推移の展開で10月6日以来ほぼ1カ月ぶりの安値水準となり、今年高値圏での保ち合いレンジからわずかに下抜けの兆し。確率的にはある程度の下落トレンド形成へと向う可能性が高まる状況となり、そうなった場合の第1目標は10月安値4936円付近。NY金かドル円のどちらかの下落基調が想定以上に強まるようなら、9月初旬までの上昇幅の半値戻しで90日移動平均線が推移する4900円近辺から4880円台辺りまで。

プラチナ価格は0.22%の小幅高となって6日ぶりの反発。方向感が金と逆行するレアな状態を象徴する形となり、安値圏での保ち合い下抜けを回避し、反発方向優勢の状態を維持。ただし、3590円台から3630円台までの安値保ち合いレンジを維持しての横ばい推移傾向も継続。プラチナの反発方向への流れを金の軟調推移がブレーキをかけるような状態に。金の下落基調が本格化し、NYプラチナが今年安値更新トライへと向うようなら国内プラチナ価格も今年安値更新トライへ、との警戒感も継続。
※参考:金プラチナ国内価格11/1とチャート

2017年11月1日(水)時点の相場
国内金4,973 円 11/1(水) ▼2(0.04%)
国内プラチナ3,603 円 11/1(水) ▲8(0.22%)
NY金1,270.5 ドル 10/31(火) ▼7.2(0.56%)
NYプラチナ919.6 ドル 10/31(火) ▼3.1(0.34%)
ドル円113.63 円 10/31(火) ▲0.46(0.40%)

10/31(火)のその他主要マーケット指標

ISM製造業景況指数は予想下振れも好調、支える自動車販売台数 11/2(木)

雇用コスト指数は前期比+0.7%、賃金とインフレ上昇圧力継続 11/1(水)

コアPCEインフレは過去6年半の最低水準での低迷継続 10/31(火)

金は高値圏、プラチナは安値圏、価格差は最大水準で三角保ち合い 10/30(月)

独立宣言vs自治権剥奪、GDP好調vsパウエル、波乱の週末に金反発 10/28(土)


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