金プラチナ短期相場観
ISM製造業景況指数は予想下振れも好調、支える自動車販売台数
更新日:2017年11月2日(木)
米10月のISM製造業景況指数は市場予想を下回り、13年4カ月ぶりの高水準となった9月の60.8からもやや低下しましたが、依然高水準を維持しており、3カ月平均で見れば59.43。少なくとも2007年以降の10年余りでは最高水準となっています。
これを支える米国の重要産業も、足下ではISM製造業景況指数と同じような推移となっています。
調査会社オートデータが発表した10月の米自動車販売台数は、季節調整後済みの年率換算で1809万台。2005年7月以来、12年2カ月ぶりの高水準となった9月の1857万台からはやや減少したものの、今年2番めの高水準となっています。
8月には1614万台と2014年4月以来3年4カ月ぶりの低水準まで落ち込んでいましたが、ハリケーン後の買い替え需要などもあり、想定外の急騰となっています。
なお、米国では普通乗用車よりもピックアップトラックと呼ばれる小型トラックの人気が高く、前者が減少傾向にあるのに対し、後者は増加傾向にあります。
今後、自動車販売台数は若干の落ち込みも予想されますが、高価格帯のピックトラックの販売が好調となっており、業界全体を支える構図となりつつあるようです。
今後の動向がISM製造業景況指数の動向にも大きく影響することにもなりそうです。
景気好調を支えに12月の追加利上げは確実視され、パウエル次期FRB議長で来年以降も現状の金融政策継続が見込まれつつあるなか、これを織り込むドルの上値はやや重く、金の下値はやや堅くなりつつあるようにも見えます。
1日のNY金相場は0.54%の反発。時間外の1270ドルラインとの攻防でつけた安値1268ドル台がこの日の安値となって反発基調の展開に。米税制改革に向けては共和党内での調整が難航し、米10年債利回りの上値も重く、ドル高の流れもそれほど進まずNY市場朝までに1280ドル台を回復。米10月ADP雇用の予想上振れを受けての反落も、10月ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで反発すると1270ドル台後半での揉み合い推移に。安値では5日連続1260ドル台で反発し、上値は1280ドル台でしっかり押さえられる状態が継続。パウエル次期FRB議長内定?と12月追加利上げをほぼ織り込んで1270ドル台での保ち合い状態が継続。週末の雇用統計で賃金上昇率がポジティブな結果となれば下押し材料に、1260ドル台で反発出来ない場合には下落トレンド再開で下値目安は1240ドル近辺へ。ネガティブな結果となって1280ドル台へと上方ブレイクできれば短期トレンド上向きへ、上値目安は1300ドル近辺へ。
NYプラチナ相場は1.86%の大幅反発。金の反発基調に連れてNY朝までに抵抗水準となりつつあった920ドル後半を上抜けて930ドル台を回復すると、安値圏での膠着状態から上方ブレイクした形となりNY市場でも一時940ドル手前まで上昇する堅調推移。10月10日以来3週間ぶりの大幅高となって底打ち、反発への流れを示唆する形となり、金との価格差も340.6ドルと9月11日以来ほぼ2カ月ぶりの水準へと急縮小。前回急騰時の流れでつけた10月高値950ドルが次の抵抗水準となり、上抜けできれば一段高の展開も。その場合の上値目安は9月以降の下落幅の61.8%戻しとなる980ドル台まで。
ドル円は0.48%のドル高円安で続伸。終値ベースでは5月10日(114.27)以来、約半年ぶりのドル高円安水準に。日経平均の400円超の大幅高にも牽引される形で東京市場で113円90銭台まで上昇すると欧州市場にかけてもジリ高推移で114円台へ、10月のADP雇用上振れを受けて114円20銭台まで上昇も10月末高値114円40銭台には届かず、10月のISM製造業景況指数が予想を下回ったことで113円80銭台まで反落。しかし現状維持も12月利上げを織り込む形となったFOMC声明後には再び114円20銭台まで上昇。今朝の東京市場ではやや上値が重く114円割れ。好結果が予想される雇用統計などを材料に再度114円台を回復できれば115円近辺までは上値を試す可能性も。ただし東京市場が休場となる金曜から週明けにかけて、材料出尽くしなどで反落の展開となり、113円台を維持できない場合には調整局面進行も。その場合の下値目安は112円前後まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/1終値とチャート
2日の国内金価格は43円、0.86%の大幅高となって3日ぶりの反発。日々の変動値幅としては今年の平均15円(絶対値)の2.87倍となる大幅変動となり、10月16日(5024)以来半月ぶりの高値水準に。NY金の上昇と円安が重なるのは、双方ともに明確な方向感が生じ切れていない状況から来るレアケース。結果的に高値保ち合い下抜けの兆しから一転、今度は上抜けの兆しとなる状態に。今回も一時的なブレから生じるダマシに終わる可能性もあるものの、そうでなければ上方向への流れがさらに加速する可能性が高まり、当面の上値目標としては2015年6月高値、5100円トライへ。
週間ベースでは+39円(0.78%)の反発。
プラチナ価格は67円、1.86%の大幅続伸。方向感は上向きながらも安値圏での保ち合いが続くもどかしい状態から、ようやく解き放たれたように急騰局面を形成。1日の騰落値幅としては今年の絶対値平均22円の3倍となり、1月25日(+72円、1.88%)以来9カ月ぶりの大幅高となって9月20日(3677)以来1カ月半ぶりの水準を回復。保ち合いブレイクに伴う当面の上値目標は9月からの下落幅の61.8%戻し付近、3720円台まで。
週間ベースでは+59円(1.63%)で続伸。
※参考:金プラチナ国内価格11/2とチャート
- 2017年11月2日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,016 円 11/2(木) ▲43(0.86%) 国内プラチナ : 3,670 円 11/2(木) ▲67(1.86%) NY金 : 1,277.3 ドル 11/1(水) ▲6.8(0.54%) NYプラチナ : 936.7 ドル 11/1(水) ▲17.1(1.86%) ドル円 : 114.18 円 11/1(水) ▲0.55(0.48%)
非農業部門労働生産性は3年ぶり高水準で景気拡大局面継続も 11/3(金)
ISM製造業景況指数は予想下振れも好調、支える自動車販売台数 11/2(木)
雇用コスト指数は前期比+0.7%、賃金とインフレ上昇圧力継続 11/1(水)
コアPCEインフレは過去6年半の最低水準での低迷継続 10/31(火)
金は高値圏、プラチナは安値圏、価格差は最大水準で三角保ち合い 10/30(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン