金プラチナ短期相場観

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2018年FOMC主要メンバ刷新による不透明感で米10年債利回り失速

更新日:2017年11月7日(火)

NY金と米10年債利回り 2017年11月6日米NY連銀は、ダドリー総裁が2018年半ばまでに退任予定であることを正式に発表しました。事前に本人が意思表示をしていたこともあり、これによる市場インパクトはほとんど見られなかった様子。それでも、2009年1月就任以来長期に渡りFOMCの副委員長も努め、2019年1月までの任期をわずか半年程度残しての退任予定となったことで、明かされない理由を勘ぐる向きも多いものと推測されます。
これで10月に退任したフィッシャー前副議長に続く任期満了前の退任となり、来年2月の任期満了による退任予定のイエレン議長を含め、米国の金融政策正常化に向けた施策を一枚岩で推進してきたFOMC主要メンバ3名全てが退任することになります。

2018年FOMCでも常任で投票権を持つNY連銀の総裁が交代することとなり、残る投票権保有連銀メンバは、タカ派のクリーブランド連銀メスター総裁、タカ派と見られるアトランタ連銀ボスティック総裁、タカ派のサンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁、タカ派だったラッカー総裁退任後の後任不明のリッチモンド連銀総裁、タカ派優勢の4名。
これに対してFRBメンバは中立派(ハト派と見る向きも)のパウエル次期議長、ハト派のブレイナード理事、タカ派と見られるクオールズ副議長。MAX7名の定員に対して現在確定しているのは3名のみ。欠員の指名、議会承認過程を考慮すると年前半はFRBは3名体制となる可能性もありそうですが、追加指名の動向次第ではハト派にもタカ派優勢にも転びそうな状況です。

10月後半にかけて、タカ派とされるテイラー氏が次期FRB議長の有力候補と目されたことも背景に、米10年債利回りは2.50%目前まで上昇していましたが、節目を超えられずに失速すると、パウエル氏が議長指名されたことでその流れが加速、さらにNY連銀ダドリー総裁の退任予定が決まり、にわかにFOMCメンバと政策動向にも不透明感が漂い始めたようです。

米10年債利回りの低下傾向が続き、ドル高の失速と金価格のサポート材料となりつつあるようです。米10年債利回りは2.20%から2.40%が今年の主要レンジとなり、金価格は1250ドルから1300ドルが主要レンジとなっています。
米10年債利回りの低下傾向が続くようなら、NY金は再び1300ドル台を試すことにもなりそうです。

NY金・日足チャート 2017/10/3 - 11/66日のNY金相場は0.98%の反発。1280ドル台を一時的には試しながらもこれを維持できない状態が半月ほど続いた後、ようやく終値でも1280台を回復。NY市場での原油価格急騰に連れる形で1270ドル前半から10ドルほどの急騰。サウジアラビアのムハマンド皇太子らによる汚職対策での権力基盤強化が伝えられており、情勢不安と逆に政局安定と両極端の見方に分かれるもいずれにしても原油価格押し上げ要因となり、NY原油は3%超の急騰となって2015年6月30日(59.5)以来、2年4カ月ぶりの高値水準に。米10年債利回りも軟調推移、ドル売り傾向も強まったことで今朝にかけても1280ドル台を維持。わずかながら保ち合い上抜けの兆しとなり、方向感もようやく上向きつつある様子も。目先、この半月の間抵抗線となり続けた20日移動平均線(1283)もしっかり上抜けることができれば上昇トレンド形成へと向う可能性が高まり、当面の上値目標は10月高値1310ドル前後まで。

NYプラチナ・日足チャート 2017/10/3 - 11/6NYプラチナ相場は3日ぶりの反発で1.42%の大幅高。金に追随する形でNY市場で急騰すると上げ幅としては金を上回り、やはり抵抗線化しつつあった20日移動平均線(929.7)から930ドルの水準を突破。しかし、1日高値圏で節目となる940ドルには届かず。相変わらず瞬発力は金を上回るものの、ポイントとなる節目などを突破しきれないのが最近のプラチナの特徴でもあり、920-40ドルのレンジでの保ち合い状態継続。それでも金との方向感逆行状態を解消したことで、金の上昇基調が加速するようなら追随の展開となり、980ドル程度までの上昇局面形成の可能性も。

ドル円・日足チャート 2017/10/3 - 11/6ドル円は0.34%のドル安円高となって反落。東京市場でつけた高値114円70銭台は3月15日(114.88)以来7カ月ぶりの水準となり、その後は米10年債利回りの軟調推移に連れる展開となり、1円超の大幅下落。115円近辺までの上値トライの流れは水準としてはわずかに届かず急失速してしまった形で長い上ヒゲを残す陰線を形成、短期トレンドも変化し始めた可能性。目先は113円前半から114円前半までのレンジを形成する形でやや軟調気味の展開も予想されそう。113円を割り込むようなら112円前後までを下値目安に調整進行へ、再度114円台半ば以上へと反発できれば115円半ばを目安に上値トライ再開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/6終値とチャート

7日の国内金価格は0.48%の反発。高値圏での保ち合い状態もかれこれ1カ月、下値を切り上げて再び上放れに向けて再トライの兆し。短期的な流れの変化の兆しが本格化し、NY金の上昇基調スタートなら国内価格も保ち合い上放れの展開へ。5020円の節目を突破できれば上昇トレンド形成へ、NY金が1300ドルの大台回復するようなら当面の上値目標5150円に向けての流れ加速の展開も。と同時に切り上げた下値4990円を割り込んだ場合には下落トレンド形成へと向かい、当面の下値目安は4800円台半ば辺りまで。

プラチナ価格は0.77%の反発。一時低下していたボラティリティは再拡大の様相となり、短期トレンド上向きの状態でもなかなか進行しなかった反発基調が加速し始める可能性も。3670円の節目を上抜けると最大3800円付近を目指すような上昇トレンド形成の可能性。逆に反落の展開で3620円を下回るようなら今年安値更新で3500円割れへと大幅下落へと向う可能性への警戒感も。
※参考:金プラチナ国内価格11/7とチャート

2017年11月7日(火)時点の相場
国内金5,015 円 11/7(火) ▲24(0.48%)
国内プラチナ3,652 円 11/7(火) ▲28(0.77%)
NY金1,281.6 ドル 11/6(月) ▲12.4(0.98%)
NYプラチナ935.0 ドル 11/6(月) ▲13.1(1.42%)
ドル円113.70 円 11/6(月) ▼0.39(0.34%)

11/6(月)のその他主要マーケット指標

止まらない日経平均と動かないドル円の相関性 11/8(水)

2018年FOMC主要メンバ刷新による不透明感で米10年債利回り失速 11/7(火)

年末に向けて国内金価格は5100円超えか4900円割れか 11/6(月)

賃金上昇率急失速も強弱混在の米10月雇用統計に往って来い 11/4(土)

非農業部門労働生産性は3年ぶり高水準で景気拡大局面継続も 11/3(金)


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