金プラチナ短期相場観
2020年FF金利見通し、再開するなら・・・利下げ
更新日:2019年12月4日(水)
CMEフェドウォッチによれば、次週のFOMCではFF金利1.50-1.75%の据え置き予想が94.8%(0.25%利上げが5.2%)と確実視されており、トランプ大統領がどれだけ騒いでも、ほぼ間違いなく据え置かれるものと思われます。
市場の注目は来年の見通しとなりますが、フェドウォッチでは来年3月でも据え置きが75.1%、0.25%の利下げが20.7%、0.50%利下げが1.4%で利下げ予想は合計22.1%。0.25%の利上げ予想は2.8%に過ぎません。
2020年6月FOMCでの予想値は、据え置き50%、利下げ予想合計は48.2%、0.25%利上げ予想は1.9%。9月には利下げ予想合計が据え置き(33.5%)を逆転して65.2%。
2020年12月FOMCでの予想値はこの比率がさらに拡大し、利下げ予想合計は3日時点で73.4%。据え置き予想は25.5%。利上げ予想はわずかに1.3%。
来年末までの利下げ予想の推移では、3会合連続利下げとなった10月末FOMC後に急低下、11月7日には中国商務省が米中協議において「追加関税を段階的に撤廃することに同意」したと発表したことをきっかけに米中協議進展期待が一段と進行し、11日には利下げ予想合計48.5%まで低下し、一時据え置き予想と形成逆転。
しかし、その後は再び利下げ予想優勢となり、12月に入ると米中貿易協議の進展期待が後退し、ISM製造業景況指数の予想外の低迷なども重なり、利下げ予想は再び70%台へと跳ね上がり、据え置き予想は30%割れへと急落。
2020年のFF金利見通しとしては、半年程度の据え置き後、年後半にかけて0.25%の利下げ、場合によっては0.50%の利下げも、というところが市場コンセンサスにも。
様子見期間をおいて再開するのは利上げ、ではなく利下げ、との見方が優勢となり、FOMCのドットチャートでは、2020年末見通し中央値が1.375%近辺なら波乱なし、というところでしょうか。
今朝の時間帯には、米下院で中国・新疆ウイグル自治区の少数派イスラム教徒に対する人権侵害を巡る法案が圧倒的多数で可決しました。中国サイドは早速懸念を表明。香港人権法案に続き、ウイグル族人権法案も成立することになれば、米中関係悪化は避けられそうにありません。
利下げ見通し優勢をサポートする材料が増えつつあるようです。
3日のNY金相場は+15.2ドル、1.03%の大幅反発で11月6日(1493.1)以来、1カ月ぶりの高値水準。東京時間に1460ドル台半ばまで小幅下押し後、欧州時間に急騰。トランプ大統領の「中国との合意に期限はない、来年の米大統領選後でも構わない」発言を受けて早期合意期待が後退。先送りが期待されている15日の対中追加関税への不安もよぎり、米株は3日続落となってダウは2日連続1%前後の大幅下落。1.8%台を回復していた米10年債利回りは1.7%台前半へと急低下、ドル安も急速に進行し、NY朝には一時1480ドル台後半まで20ドル超の上昇。1カ月ぶりに20日移動平均線(1468.7)を上抜けてレンジ上限も突破、一段高へと向かう可能性は高まり、到達できれば1カ月ぶりとなる90日移動平均線(1497.7)から1500ドルの大台前後までが当面の上値目標に。ただし、米雇用指標などでのポジティブ・サプライズなどがないことが条件。
NYプラチナは+11.9ドル、1.32%の大幅反発。11月26日(911.7)以来、1週間ぶりの高値水準。NY朝に10ドル程水準を切り上げて910ドル台前半へと上昇も、保ち合いレンジ上限となる910ドル台半ばではしっかり上値を押さえられ、終値ベースでも1週間前の高値を超えられず。9日から90日までの移動平均線が903.2ドルから905.5ドルまで2.3ドルの間に集約
されたところをまとめて上抜けた状態ながらも伸び悩み。890ドルから910ドル台までのレンジをしっかり上抜けできれば11月高値圏950ドル付近を目指す流れへ。
ドル円は30銭超のドル安円高となって続落。東京市場午後には日経平均の下げ渋りにも連れる形で109円20銭近辺まで反発も、欧州時間にかけては軟調推移。トランプ発言を受けての株安・金利低下とドル安の流れに円高も加わり、109円を割れると108円80銭近辺まで急落、その後も売り圧力は続き、11月半ばの安値保ち合い水準108円40銭台まで下落。保ち合いレンジ108円40銭台から109円60銭までの下限で下げ止まった状態にも。大きなトレンドは発生し難い最近のトレンドパターンからすると、米雇用統計などのそこそこ好結果をきっかけにリスク回避の巻き戻しとなって保ち合い継続へ、とのシナリオも有力か。ただし、経済指標の悪化やトランプ大統領のネガティブ・ツイートなどを嫌気して下限割れとなれば、一段安の展開にも。その場合には11月安値(107.89)から90日移動平均線(107.71)辺り、107円80銭前後までが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/3終値とチャート
4日の国内金価格は+29円、0.52%の反発。11月8日(5626)以来、1カ月ぶりの高値水準となり、2日の5623円をわずかに上回って12月高値を更新。下値も上値も小幅に切り上げる形となって保ち合いを上方ブレイク、高値再トライへと向かう可能性が高まる状態に。NY金が1500ドル付近まで水準を切り上げることができれば、5710円台辺りまでが当面の上値目標に。ただし、流れが逆転して5590円台のサポートを割り込んだ場合には下値トライ再開となって5500円割れを試しに行くような展開にも。
プラチナ価格は+27円、0.79%の反発。11月27日(3478)以来、1週間ぶりの高値水準となって三角保ち合い上放れ。当面の上値目標は9月高値圏3570円台辺りまで。ただし、NYプラチナがレンジ上限ブレイクをかけた攻防に失敗した場合、巻き戻しの展開となる可能性も。3430円台を割れると保ち合い下放れとなって10月安値圏3300円前後までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格12/4とチャート
- 2019年12月4日(水)時点の相場
-
国内金 : 5,625 円 12/4(水) ▲29(0.52%) 国内プラチナ : 3,464 円 12/4(水) ▲27(0.79%) NY金 : 1,484.4 ドル 12/3(火) ▲15.2(1.03%) NYプラチナ : 911.6 ドル 12/3(火) ▲11.9(1.32%) ドル円 : 108.61 円 12/3(火) ▼0.36(0.33%)
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