金プラチナ短期相場観
雇用統計で急落の金価格、低インフレでサポートも
更新日:2019年12月9日(月)
週末の米雇用統計がポジティブ・サプライズとなってNY金は急落、ドル円は一時的な急騰にとどまって上げ渋り。結果、週明けの国内金価格は大きく水準を切り下げることになりました。
円安サポートが入らなかった背景の一つには、ミシガン大のインフレ期待値が低調となったこともありそうです。1年期待インフレ率は2.4%と2年2カ月ぶり低水準へと低下、5年期待インフレ率は今年5回めの2.3%で2006年以降での最低水準。労働市場が好調で消費者信頼感も高水準となったなかでもインフレ期待だけは高まらず、逆に低下基調という状況ではドル高円安は進み難く、結果的にドル高円高に。
なお、今週のFOMCではFF金利据え置きが確実視され、来年以降の見通しとしては今回の雇用統計の強さも多少影響し、強気見通しとなる可能性もありそうです。ただし、低下基調にあるインフレ期待値が今後も高まらない状態、低インフレが続けば利上げの必要性も高まらず、今度は金価格にとってのサポート要因の一つとなる可能性もありそうです。
週明け時間外のNY金は先週末水準1460ドル半ばでの小康状態、為替ドル円は108円60銭台へとわずかに上昇スタート後に株価の伸び悩みとともに50銭台へ、先週末水準付近に戻して揉み合いに。
9日の国内金価格は-55円、0.98%の大幅続落。9月12日(5557)以来、3カ月ぶりの安値水準。複数の移動平均線をまとめて下抜け、90日移動平均線(5578)を下回るのは6月4日以来、半年ぶり。小幅に揉み合いながら水準を切り上げて5700円台の高値圏再トライに向けた流れが進みかけた矢先の雇用統計で巻き戻され、逆に下方向へと抜け出す形となって一段安への可能性も高まる状態に。当面の下値目安は8月後半の保ち合い水準5490円近辺まで。ただし、11月26日の5569円、9月30日の5566円をわずかに下回っただけでもあり、下げ渋って新たなサポート水準を形成する可能性も。
日足一目均衡表でも三役逆転となり、弱気相場入り。ただし、遅行線は雲の上限をわずかに下抜けた状態でこの近辺で下げ渋る可能性も残される状況にも。そうでなければ目ぼしいサポート候補としては、遅行線が相対する雲の下限が今週5440円から5450円付近、次週には5460円台へ。5月末安値から11月高値までの23.6%戻し(5524)、38.2%戻し(5390)など。
プラチナ価格は-16円、0.47%安となって3日続落。11月15日(3355)以来、3週間ぶりの安値水準。週明けのNYプラチナは先週末からほぼ変わらず890ドル台後半での小幅揉み合い状態でのスタートとなり、雇用統計後に900ドルを割れてからは大台回復できず。国内価格も三角保ち合いを下放れた状態を維持してさらに水準を切り下げる形に。今のところは下げ渋る状態のNYプラチナが890ドルを割れるようなら一段安へと向かい、10月安値保ち合い圏3300円前後の下値目標へと近づくことにも。
一目均衡表では、基準線と転換線を下回って一役逆転。雲の中での揉み合い、遅行線も乱高下状態の価格ラインを下回ってはいるものの大きく見れば揉み合い状態。過去にサポートや抵抗水準となってきた3400円ラインをわずかに下回った状態ながら、この付近では下げ渋る展開となる可能性も。そうでなければ、サポート候補としては雲の下限が3330円近辺から3350円台へ。6月安値から9月高値までの38.2%戻しも3349円、など。
※参考:金プラチナ国内価格12/9とチャート
- 2019年12月9日(月)時点の相場
-
国内金 : 5,565 円 12/9(月) ▼55(0.98%) 国内プラチナ : 3,392 円 12/9(月) ▼16(0.47%) NY金 : 1,465.1 ドル 12/6(金) ▼18.0(1.21%) NYプラチナ : 898.9 ドル 12/6(金) ▼1.7(0.19%) ドル円 : 108.58 円 12/6(金) ▼0.17(0.16%)
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