金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

雇用統計は予想外の好結果、ドル高も予想外に一時的、で金急騰

更新日:2021年11月6日(土)

非農業部門雇用者数(NFP・総数)の推移 2021年10月米10月雇用統計は予想外の好結果。非農業部門雇用者数は前月比+53.1万人で4ヵ月ぶりの大幅増。市場予想の+45万人程度を上回り、過去2ヵ月分も上方修正され、3ヵ月移動平均では+44.2万人となって一定の回復基調を維持した格好にも。

失業率は4.6%となり、市場予想の4.7%を下回る好結果。9月の4.8%も0.2%下回り、4ヵ月連続の低下で2020年3月(4.4)以来、1年7ヵ月ぶり低水準。9月FOMCでの2021年末失業率予想中央値4.8%を既に下回ってなお一段と低下。
広義の失業率を示すU6失業率も8.3%となり、8ヵ月連続の低下で2020年2月(7.0)以来、1年8ヵ月ぶりの低水準。
半年以上の失業者、長期失業者の割合も31.6%となって4ヵ月連続の急低下、1年1ヵ月ぶり低水準へと改善傾向が進行中。
平均時給も前年比+4.88%となって7ヵ月連続上昇。コロナ後の乱高下状態となった2020年4月から2021年3月までの期間を除外すれば、2006年以降のデータでは5ヵ月連続の過去最高更新。
労働参加率が61.6%で横ばい推移となって伸び悩み、黒人失業率も7.9%で横ばい推移となって下げ渋るなど、回復途上の歪も見られるものの、主要指標は概ね好結果。

非農業部門雇用者数(NFP)の総数の推移では、10月時点で1億4830万人まで回復。ピークとなった2020年2月の1億5250万人との差は残り420万人。
前月比3ヵ月移動平均+44.2万人のペースが今後も続いた場合、コロナ前のピーク水準100%回復までの所要期間は9.5ヵ月。
雇用統計での非農業部門雇用者数の総数は、早ければ2020年8月にコロナ前の水準を100%回復する可能性があります。

利上げの前提条件にもなる「最大雇用は来年後半にも達成可能」としたFOMC後のパウエルFRB議長会見での発言を裏付ける回復状況となっています。
それでもドル高の流れも予想外に、一時的にとどまりました。

NY金・日足チャート 2021/10/4 - 11/55日のNY金相場は+23.3ドル、1.3%の大幅続伸となって9月3日(1833.7)以来、2ヵ月ぶりの高値水準に。FOMC後の急反発の余韻も追い風に時間外は1790ドル付近から1800ドル近辺へと堅調推移。ロンドン市場では一時前日高値をわずかに超えながらも、1800ドルの抵抗水準に上値を押さえられて失速、NY朝にかけては雇用統計への警戒感もあり1790ドル台前半へと軟調推移。好結果となった米10月雇用統計には1780ドル台半ばまでの小幅急落で反応も、ドル高の流れも一時的にとどまって米10年債利回り急低下に連れてドル安へ。切り返したNY金は急反発、節目の1800ドル近辺での攻防状態を経てこれを突破すると一段高へ、米10年債利回りが1.5%割れへと一段と低下した流れにも連れてNY午後には1810ドル超え、NY引け後にも堅調推移。1800ドルの節目上抜けに伴う浅めの目標1820ドルにも到達。雇用統計の好結果はある程度織り込み済で、長期金利上昇とドル高ピークアウトの流れが鮮明となったことにサポートとされた格好。目先、インフレ一服の兆しやFRB高官のタカ派論調後退などがあれば利上げ先送り観測台頭で一段高の展開にも。目先、1810ドルを維持する状態が続けば上方向への短期的な第2目標として1850ドル近辺まで。
週間ベースでは+32.6ドル、1.84%の反発。2ヵ月ぶりに52週移動平均線(1804.9)も上抜け。

NYプラチナ・日足チャート 2021/10/4 - 11/5NYプラチナは+6.5ドル、0.63%の続伸。1020ドル台からロンドン朝に1040ドル手前まで上昇も、NY朝にかけて1030ドル割れへと小幅に行って来い。雇用統計後には一時1020ドル台前半まで小幅に急落も1020ドルの下値サポート割れを回避すると金に追随する形で急反発。1040ドル台へと20ドル程の急騰も、反発の勢いは続かず乱高下状態から1030ドル台半ばへと収束。下値はほぼ下げ止まりつつある90日移動平均線(1020.0)にもしっかりサポートされながら、上げ止まりつつある20日移動平均線(1037.4)に上値も押さえられ、ここから1040ドル近辺までが目先の抵抗水準候補に。これを突破できれば地合い回復方向へ、その先には1070ドルの保ち合い上限トライへも。突破できない状態が続けば下値警戒感再燃へ、1020ドル割れなら1ヵ月ぶりの大台割れが視野に。
週間ベースでは+15.1ドル、1.48%高で3週ぶりの反発。

ドル円・日足チャート 2021/10/4 - 11/5ドル円は35銭のドル安円高、0.31%の続落。前日終値水準113円70銭台を中心に113円50銭台から80銭台までのレンジで保ち合い推移が欧州時間まで続き、NY朝には米10月雇用統計の好結果を受けて114円まで急騰。しかし、わずか20銭程の急騰で頭打ち。114円ラインが新たな抵抗線として意識されそうな形にもなり、米10年債利回りの急低下に連れる形で113円50銭台へと急反落。保ち合い下限で10月後半以降の下値サポートとなってきた113円50銭近辺では下げ渋る形にもなったものの、米10年債利回りが1.5%割れへと一段と低下した流れにも連れて節目割れ、NY午後には113円30銭近辺まで下落。9月安値(109.11)から10月高値(114.70)までの23.6%戻し(113.38)を達成し、113円50銭の節目割れに伴う一段安への可能性が一段と高まる状況に。インフレ高止まりなら景気への悪影響とスタグフフレーション懸念から円高圧力がさらに強まり、インフレ低下の兆しが見られるようなら早期利上げ観測後退でドル安基調へ、どちらにしてもドル円としてはピークアウト後の調整局面進行へ。当面の下値目安は61.8%戻し(111.25)近辺まで。
週間ベースでは-57銭、0.5%の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/5終値とチャート

2021年11月6日(土)時点の相場
国内金7,149 円 11/5(金) ▲40(0.56%)
国内プラチナ4,086 円 11/5(金) ▼56(1.35%)
NY金1,816.8 ドル 11/5(金) ▲23.3(1.30%)
NYプラチナ1,035.8 ドル 11/5(金) ▲6.5(0.63%)
ドル円113.40 円 11/5(金) ▼0.35(0.31%)

11/5(金)のその他主要マーケット指標

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雇用統計は予想外の好結果、ドル高も予想外に一時的、で金急騰 11/6(土)

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