金プラチナ短期相場観

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米PPIは上昇一服、高インフレ鎮静化の兆しへ

更新日:2021年11月10日(水)

生産者物価指数 PPI 前年比×2年前比 2021年10月米10月PPIは上昇一服となり、高インフレ沈静化の兆しのようにもなってきました。
米労働省が発表した10月の生産者物価指数(PPI)は前年比+8.62%。9月の前年比+8.59%をわずかに0.03%上回り、10ヵ月続伸となって7ヵ月連続で過去最高を更新。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+6.76%。9月の+6.81%からは0.05%低下し、10ヵ月ぶりの低下で過去最高更新も9月までの7ヵ月連続でストップ。
食品とエネルギー、貿易サービスも除いたコア指数では、前年比+6.16%。9月の+5.91%からは0.25%上昇し、8月の+6.29%に次いで過去2番めの高水準。

いずれも夏場までの急騰状態からは落ち着き、最高値圏での推移は続くものの、加速状態から減速状態とは言わないまでも高止まり状態へと移行し始めた様子も。
PPI前年比と2年前比との差の推移を見ても、高インフレ鎮静化に向けた兆しが見られます。
PPI2年前比と前年比との差は、2%前後での推移が続きましたが、2021年に急縮小。4月には-1.62%と前年比が2年前比を上回る「逆転現象」に。
9月にはPPI2年前比-前年比=0.37%と逆転現象を解消、従来の2年前比が前年比を上回る状態に復帰。
10月にはその差0.64%とさらに拡大。以前の2%前後の通常レベルに向けた回復の兆しとなっています。
なお、コアPPIでは2年前比と前年比との逆転現象こそ発生していませんが、今年前半にはその差が急縮小となって逆転寸前の状態となっていました。

供給問題や原材料不足、労働コスト上昇などの状態が続き、これらが今後急速に解消することが見込めない現状では、ある程度のインフレ高止まり状態はまだしばらく続きそうですが、これまでのように、インフレ加速状態がどんどん進行し、ハイパーインフレへの警戒感もチラつくようなフェーズは脱しつつあるようにも見えます。

NY金・日足チャート 2021/10/6 - 11/99日のNY金相場は+2.8ドル、0.15%の小幅高となってFOMC明けの4日から4営業日続伸。9月3日(1833.7)以来、2ヵ月ぶり高値水準で上げ止まらず。時間外は1820ドル台後半を中心に小幅保ち合い推移、ロンドン時間に1820ドル付近まで下げたのがこの日の安値となり、NY朝には米10月PPIが市場予想どおりとなったことを受けて一時米10年債利回りが低下の勢いを強め、ドル安も進行した流れに連れて1830ドル台へと小幅に急騰。NY引けにかけては1830ドル台半ばまで上昇も、時間外には1830ドル近辺へと反落。1800ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1820ドル到達後も、第2目標1850ドル近辺に向けての上値トライ延長戦が継続中。1830ドル台は7月以降何度も上値を押さえられてきた水準でもあり、材料不足ならいったん失速も、CPI下振れや利上げ時期先送り観測台頭なら一段高も。

NYプラチナ・日足チャート 2021/10/6 - 11/9NYプラチナも+1.4ドル、0.13%の小幅高で4日続伸。11月1日(1067.3)以来1週間ぶり高値水準を維持し、上方向への重要な節目1070ドル突破をかけた攻防のチャンスをうかがう状態にも。1060ドルをはさんで上下10ドル程度づつの小幅保ち合いの展開となったこの日、安値では1050ドル割れを何度か試しながらも下げ渋り、NY市場では前日高値をわずかに上回る1067.8ドルまで上昇。しかし10月後半以降、上値を押さえられ続けてきた1060ドル台半ばから1070ドルの節目付近での抵抗感は払拭し切れず。この重要な節目上抜けに成功すれば一段高の展開へ、1100ドルの大台も超えて200日移動平均線(1109.3)超えも、1110ドル近辺までが上値目標に。

ドル円・日足チャート 2021/10/6 - 11/9ドル円は33銭のドル安円高、0.29%安となって4日続落。10月8日(112.23)以来、1ヵ月ぶり安値圏での一段安となって113円割れ。東京市場朝から日経平均の下落基調と米10年債利回りの低下基調にも連れてリスク回避の円高基調、東京午後にはドル安も加勢する格好となり、112円70銭台まで下落。欧州・NY時間にかけては112円80銭台を中心に小幅揉み合い推移の展開へ。NY朝には113円10銭台まで上昇する場面もあったものの、PPIの結果を受けて112円70銭台まで40銭弱の急低下。NY午後からは113円ラインが抵抗線化してきた様子も。今朝の東京市場でも112円90銭台を上限に80銭台での攻防へ。高値保ち合い下限113円50銭の節目割れに伴う下値目安、9月安値から10月高値の61.8%戻し(111.25)近辺を目指す流れが進行中。1ヵ月半ぶり低水準となる1.43%台まで低下してきた米10年債利回りが節目の1.40%を割れるようだとさらにもう一段急低下の展開も予想され、そうなればドル円の短期下値目標早期到達の可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/9終値とチャート

10日の国内金価格は+6円、0.08%の小幅高で4日続伸。6月11日(7268)以来5ヵ月ぶり高値圏でのジリ高推移。堅調さを維持し、7170円の節目突破に伴う短期上値目標7270円近辺を目指す流れがゆっくりと進行。しかし、ゆるやかに水準を切り上げてきた10月後半以降はRSIがゆるやかに低下する逆行状態となり、上昇圧力枯渇も示唆。NY金が第2目標に向けて一段高とならない場合には急反落への警戒感も。インフレ高止まり懸念再燃や早期利上げ観測再浮上などには要注意。下方向への重要なサポート7100円を即割れるような展開は想定し難いものの、万が一そうなった場合には7000円の大台割れにとどまらず、6900円割れを試しに行くような調整局面入りも。

プラチナ価格は+10円、0.24%高で3日続伸。11月2日(4212)以来、1週間ぶり高値水準での反発基調を維持。しかし、依然として保ち合いレンジ内での推移は続き、失速感も見え隠れ。保ち合い上限4210円台を突破できれば新たな上昇局面形成へ、4350円近辺を当面の上値目標に一段高の展開に。下方向へは4080円台の節目を割れた場合には下値再トライへ、10月半ばの保ち合い水準3940円近辺までが下値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格11/10とチャート

2021年11月10日(水)時点の相場
国内金7,247 円 11/10(水) ▲6(0.08%)
国内プラチナ4,165 円 11/10(水) ▲10(0.24%)
NY金1,830.8 ドル 11/9(火) ▲2.8(0.15%)
NYプラチナ1,061.4 ドル 11/9(火) ▲1.4(0.13%)
ドル円112.88 円 11/9(火) ▼0.33(0.29%)

11/9(火)のその他主要マーケット指標

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米PPIは上昇一服、高インフレ鎮静化の兆しへ 11/10(水)

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足掛け5週、国内金価格は中期三角保合い上抜けの攻防突破へ 11/8(月)

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