金プラチナ短期相場観
ドル円と米10年債利回りは近年最大の相関状態
更新日:2022年5月11日(水)
ドル円と米10年債利回りの連動状態は今年、近年最大水準に高まり、2月までの横ばい推移を経て3月以降は上昇基調が同時進行中。ドル円と米10年債利回りとの90日相関係数は5月10日時点で0.98236まで上昇し、2012年以降のほぼ10年間で最高。限りなく1.0に近づき、近年最大の相関状態となっています。
米10年債利回りと日本の10年債利回りとの差で見る金利差とドル円との関係は、それ以上の相関状態となっています。
ドル円と日米金利差との90日相関係数は5月10日時点で0.98549。
足下でドル円は上昇基調一服となって130円近辺での小康状態が続き、米10年債利回りは3.1%台まで上昇して3.0%近辺で一服の兆しに。日米金利差では2.8%前後で一服状態に。
日本の10年債利回りの変動許容範囲上限を0.25%とする日銀の政策が続く限り、ほぼ米10年債利回りの動向に連動する状態のドル円は20年ぶり高値水準に位置し、米10年債利回りも過去10年間では最高値水準にあり、どちらもわずかなきっかけで調整局面入りへ、となってもおかしくはなさそうな状況にも。
大方の市場予想どおりインフレ鈍化の兆しが確認できるようなら、米10年債利回りもドル円も短期的には多少の調整局面となる可能性は高いかもしれません。
ただし、想定外だった場合のインパクトも、想定外となるかもしれません。
10日のNY金相場は-17.6ドル、0.95%の続落で2月10日(1837.4)以来、3ヵ月ぶりの安値水準。1850ドル付近からスタートした時間外は1860ドル台へと反発、しかし前日に下抜けたばかりの節目1860ドル付近がこの日のレジスタンスに。1864ドルで上値を押さえられる状態がアジア時間からロンドン・NY時間まで続くと力尽きる形で急反落。ドル高の流れにも連れてNY午後には1840ドル近辺へと下落。クリーブランド連銀メスター総裁のタカ派発言もドル高株安とともに金の重石にもなり、NY引け後には1840ドル割れ。1860ドルの節目割れに伴う短期下値目安1840ドル近辺にしっかり到達し、200日移動平均線(1836.5)にサポートされた状態に。CPIでサプライズがなければ一服も、市場予想から消滅した0.75%利上げ再燃となるようだと3ヵ月ぶりの200日線割れへ、年初の保ち合い水準1810ドル近辺までが行き過ぎ警戒水準にも。
NYプラチナは+8.7ドル、0.93%高で4日ぶりの反発。前日の下ヒゲ陰線の余韻を追い風に時間外は930ドル台半ばからNY市場での960ドル台まで、30ドル超の大幅上昇。高値では970ドルにワンタッチも、20日移動平均線(955.6)超えでは安定感にも乏しく、NY金の急落局面にも追随する形でNY午後には950ドル割れへと急反落。上ヒゲ陽線を形成し、前日の足型と合わせると十字線状態となって反発の勢いを相殺。上方向へは20日線が目先の抵抗線、超えると980ドルの節目との攻防を目指す流れへ、下方向へ930ドル台のサポートを割れるようだと反発基調腰折れ、4月安値圏900ドル付近再トライへ。
ドル円は12銭のドル高円安、0.09%の小反発。東京朝に130円30銭台から50銭台まで小幅上昇後に129円80銭近辺まで急反落、この日の高値と安値をつけると落ち着かない展開ながらも徐々にレンジを縮小。米10年債利回りの3%割れからの反発、そして再低下の流れにも連れ、東京午後には130円50銭台まで再上昇後に欧州時間には129円80銭台まで再反落。NY市場では米10年債利回りの下げ渋りにサポートされて130円台へと再浮上。クリーブランド連銀メスター総裁の0.75%利上げ肯定発言にも下値を支えられ、NY午後には130円40銭台を回復。改めて131円台後半の短期上値目標再トライの可能性も残す状態でCPI待ちへ。CPIが想定以上に鈍化しなければ上値トライへ、想定以上の鈍化なら調整方向へ、129円を割れるようなら一段安の展開で3月末安値(121.28)から今年最高値(131.35)までの38.2%戻し(127.50)近辺までが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/10終値とチャート
11日の国内金価格は-73円、0.86%の続落で4月7日(8354)以来、5週間ぶりの安値。8580円の節目割れに伴う短期下値目安8400円近辺に到達。RSIは30.8%まで急低下し、3月末安値(8259)から4月20日の最高値(8860)までの76.4%戻し(8401)もほぼ達成した状態となり、短期的には調整一服となりやすい状態で米4月CPI待ち。予想以上にインフレ鈍化の兆しとなって今後の利上げ見通しがハト派的に傾斜するようならドル円の調整に追随する展開にも。それでも即100%戻しといった展開は想定し難いところ。逆の展開でも8650円の抵抗線突破にも時間が必要。
プラチナ価格は+11円、0.25%高で3日ぶりの反発。NYプラチナも為替も膠着気味の展開となるなかで短期地合い好転の国内プラチナ価格も下げ渋り、RSIもモメンタムも中立付近となって上下両睨みの展開にも。4330円から4370円台までの小幅保ち合いレンジを上抜けできれば4450円近辺までが短期上値目標に、下限割れとなれば4月半ばの押し目水準4240円近辺までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格5/11とチャート
- 2022年5月11日(水)時点の相場
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国内金 : 8,406 円 5/11(水) ▼73(0.86%) 国内プラチナ : 4,345 円 5/11(水) ▲11(0.25%) NY金 : 1,841.0 ドル 5/10(火) ▼17.6(0.95%) NYプラチナ : 947.2 ドル 5/10(火) ▲8.7(0.93%) ドル円 : 130.45 円 5/10(火) ▲0.12(0.09%)
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