金プラチナ短期相場観
原油価格に逆行、ダラス連銀製造業景況感は2年ぶり低水準
更新日:2022年6月1日(水)
5月の米地区連銀の製造業景況感指数では、NY連銀が-11.6へと急低下、リッチモンド連銀も-9.0へと急低下、フィラデルフィア連銀は2.6とマイナス圏入りこそ回避したものの前月の17.6からは急低下、3月の27.4からは大幅続落。この日発表されたシカゴPMIは低調予想に反して60.3と4月の56.4からも反発。想定外の好結果はドル買いのきっかけの一つにもなった様子。ただし、シカゴPMIも3月の62.9、1月の65.2などを下回り、昨年5月の75.2をピークに上下動を繰り返しながらも水準を切り下げ続ける低下基調が継続中。
昨年中にピークアウトしての減速基調は、月末最後に発表されたダラス連銀でも同様。5月は-7.3となって3ヵ月続落で2020年5月(-48.8)、コロナショック以来で最低水準に。半年後の見通しを示す期待指数も-6.5となって3ヵ月続落、2年ぶりの低水準へと急低下。
さらに、これまで原油価格動向に追随してきたダラス連銀の景況感も足下の原油価格急騰局面には追随し切れず、逆行状態となっています。
インフレ圧力による景況感悪化が、近年にはないレベルとなってきている状況を示唆しているようです。
31日のNY金相場は3連休前から-8.9ドル、0.48%安となって3営業日ぶりの反落。週明け時間外に1850ドル台から1860ドル台後半まで上昇、1週間ぶり高値をつけて失速。1860ドル割れで30日の時間外をスタートすると31日NY午前まで1850ドル台での保ち合い推移。米10年債利回りが2.8%台半ばへと上昇した流れにも連れ、NY午後には1840ドル台の下値サポートとの攻防へ、NY引け後にこれを割れると1840ドル割れへと一段安。このまま20日移動平均線(1846.5)超えへと反発できなければ下値トライ再開、1800ドルの大台ライン付近までを下値目安に軟調な展開へ。サポート割れが一時的にとどまって切り返す展開となった場合には1860ドルが目先の上限、これを上抜けると反発局面再開、1900ドルの大台回復を目指す流れへ。
月間ベースでは-63.3ドル、3.31%の続落。下げ幅では昨年6月(-133.7ドル、7.02%)以来11ヵ月ぶり。続落は昨年3月以来、1年2ヵ月ぶり。
NYプラチナは+25.3ドル、2.68%高で3営業日続伸。金とは逆行、週明け時間外の940ドル近辺が安値となって反発局面形成へ。950ドル台の抵抗水準ではいったん上値を押さえられたものの、ロンドン・NY朝にかけての上下動を経て攻防ラインを突破、NY午後には一時5月23日高値(971.7)以来となる970ドル超え。ゆるやかな上昇軌道の20日移動平均線(948.2)にもサポートされ、ダイヤモンド・フォーメーションを上方ブレイクしての一段高となり、NY引け後にも960ドル台を維持し、950ドル台の節目上抜けに伴う短期上値目標980ドル近辺まで、もう少しの上昇余地も。
月間では+28.7ドル、3.05%高で3ヵ月ぶりの反発。
ドル円は110銭のドル高円安、0.86%高で3日続伸。5月17日(129.36)以来、2週間ぶりの高値。3連休明けとなった米10年債利回りが2.7%台半ばから2.8%超へと急騰スタートとなった流れに追随、東京朝に127円50銭台から128円30銭台まで急騰。欧州時間序盤にかけてゆるやかな調整、127円60銭台まで下げて反発するとNY市場では128円90銭付近まで上昇。米5月シカゴPMIが60.3、消費者信頼感指数が106.4といずれも想定以上の好結果となったことにもサポートされた格好。半月ぶりに20日移動平均線(128.66)を上抜け、今朝の東京市場では円安加速で129円台を回復。目先、129円40銭の節目を上抜けると今年高値圏再トライへ、短期上値目標は131円台前半まで。
月間ベースでは-1.17円、0.9%安で3ヵ月ぶりの反落。下げ幅は昨年7月(-1.39円、1.25%)以来10ヵ月ぶりの大幅安。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/31終値とチャート
1日の国内金価格は-22円、0.26%安で3日ぶりの反落。円安再開の動きをNY金の調整で相殺、8310円の節目上抜けに伴う8400円の大台トライを目指す流れは21日移動平均線(8359)どころか、出だしで躓く形となって巻き戻し。雇用統計のそこそこの好結果維持と賃金上昇失速によるインフレ緩和観測を好感する格好で米長期金利上昇とリスク選好気味の流れとなりつつある状況が重石に。8260円の下値サポートを割り込むようだと5月安値を下回る8160円低度までが下値目安に。予想外に切り返す展開となって8320円の節目を上抜けると上値トライ再開、8400円近辺までの再トライも。
国内プラチナ価格は+60円、1.4%高で4日続伸。5月12日(4447)以来、3週間ぶりの高値。収束から拡散への移行フェーズで強めの抵抗帯を形成した90-9-21日の3本の移動平均線と4280円の節目上抜けに伴う短期上値目標、4370円近辺にあとわずかのところまで急騰。3月上旬の今年高値(4678)から鋭角に上値を切り下げる、短期三角保合い上限ライン付近にも到達し、ここから先は上値トライ一服となりやすい水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格6/1とチャート
- 2022年6月1日(水)時点の相場
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国内金 : 8,297 円 6/1(水) ▼22(0.26%) 国内プラチナ : 4,360 円 6/1(水) ▲60(1.40%) NY金 : 1,848.4 ドル 5/31(火) ▼8.9(0.48%) NYプラチナ : 968.3 ドル 5/31(火) ▲25.3(2.68%) ドル円 : 128.70 円 5/31(火) ▲1.10(0.86%)
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