金プラチナ短期相場観
ADP雇用は2ヵ月連続コロナ後最低、小規模企業は2ヵ月連続減
更新日:2022年6月3日(金)
ADP雇用リポートによれば、米5月の雇用者数の伸びは4月に続いてコロナ後最低の伸び。
前月比+12.8万人は市場予想の+30.0万人を大幅に下回るネガティブ・サプライズ。さらに4月分も+24.7万人から+20.2万人へと下方修正。+47.9万人となっていた3月分にいたっては+24.9万人へと大幅下方修正でほぼ半減。
修正後の3月の+24.9万人も2020年12月(+24.9)と並んでコロナ後最低の伸びとなり、実質5月まで3ヵ月連続でコロナ後最低。
労働需給ひっ迫状態が続き、ADPの数値では雇用情勢が急失速。3ヵ月平均で見ると、2月の+63.1万人が8ヵ月ぶり高水準で直近のピークとなり、3月は+45.4万人、4月は+35.1万人、そして5月は+19.3万人と急縮小。ただし、過去の労働市場が堅調に推移した2011年から2017年頃にかけて、ADPの3ヵ月平均では前月比+20万人前後で上下動を繰り返す状態が続いており、その頃の水準まで戻った状況にも。
なお、コロナショックで失ったADP雇用者数の総数(1920万人)は、今年2月時点で100%回復しており、そろそろコロナ以前の状況に戻っても不思議ではない状況のようにも。
ただし、会社規模別の推移では、50人未満の企業では5月に前月比-9.1万人となり、4月の-12.3万人に続いて2ヵ月連続減少。3月の+1.1万人を挟んで2月も-7.5万人となっており、低迷状態が続きます。このなかでも、さらに20人未満の企業に絞ると2月以降5月まで、4ヵ月連続の前月比マイナス推移。
米労働市場全体では回復基調が継続してはいますが、小規模企業では非常に厳しい状況が続いているようです。
2日のNY金相場は+22.7ドル、1.23%の大幅続伸で5月6日(1882.8)以来、4週間ぶりの高値。アジア時間に小幅保ち合い下限1840ドル台半ばで下げ渋って反発、ユーロドルの上昇に連れてロンドン市場で小幅保ち合い上限1860ドル付近に到達。いったんは上値を押さえられながらもNY朝のADP雇用下振れなどを経てユーロドルの上昇再開にも追随、NY午後には1870ドル台へと急騰。ブレイナードFRB副議長の9月利上げ休止否定発言などへの反応も限定的となり、NY引け後にも1870ドル台を維持し、雇用統計直前に保ち合い上方ブレイクとなって上値トライへの流れが優勢に。当面の上値目標は1900ドルの大台回復へ。ただし、雇用統計でポジティブ・サプライズとならないことが前提に。200日移動平均線(1840.8)割れの場合の1800ドル割れトライへのリスクは大幅縮小。
NYプラチナは+32.0ドル、3.21%の大幅高となって5日続伸。上げ幅としては今年の絶対値平均16.9ドルの1.9倍、今年7番めの急騰で3月24日(1031.2)以来、2ヵ月強ぶりの高値。5日続伸は今年初、昨年11月以来7ヵ月ぶり。時間外序盤に990ドルをわずかに割れたのが安値となって切り返し、200日移動平均線(996.1)を上抜けてレジスタンスからサポートへと切り替わる形となってロンドン時間には1000ドルの大台を回復。NY市場では金の急騰局面にも連れて1020ドル台へと一段高。1000ドルの大台安定回復と主要レンジの上方シフトをかけた展開にもなり、3月の今年高値(1197.0)から5月の今年安値(895.4)までの38.2%戻し(1010.6)を達成、短期的には半値戻し(1046.2)と3月後半高値圏、1040ドル台までが上値目標第二段。
ドル円は30銭のドル安円高、0.23%安で5日ぶりの反落。前日までの急騰局面一服、東京朝の130円20銭台が高値となって小幅に揉み合いながらも軟調気味に推移。東京午後には130円ラインが上限となって欧州時間にかけてはユーロドルの上昇にも連れる形で129円60銭台まで軟調推移。NY時間にはADP雇用の下振れなどにも129円50銭付近までの下落にとどまり、ブレイナードFRB副議長のタカ派発言を受けて一時130円台へと反発。しかし上値も重く、NY午後には129円80銭台を中心に振れ幅縮小。雇用統計直前になって落ち着きを取り戻す格好となり、今年高値圏再トライへの流れもいったん仕切り直し。130円20銭を目先の上限に、20日移動平均線(128.69)辺りまでを下値サポート候補に雇用統計待ち。上限突破となればあらためて131円台前半の今年高値圏再トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/2終値とチャート
3日の国内金価格は+95円、1.13%の大幅続伸で5月9日(8643)以来、1ヵ月ぶりの高値。雇用統計直前にフライングで上値トライへの流れがスタートしてしまったNY金に押し上げられた格好となり、4月20日の最高値(8860)から5月安値(8181)までの半値戻し(8521)を達成。雇用統計後にもNY金の上値トライへの流れ継続なら61.8%戻し(8601)近辺、8600円台回復が次の上値目標に。
週間ベースでは+255円、3.08%の反発。7週ぶりの大幅上昇。
国内プラチナ価格は+116円、2.58%の大幅高で6日続伸。6日続伸は年末年始以来、5ヵ月ぶり。上げ幅は今年の絶対値平均56円の2.1倍、今年8番めの急騰で今年高値となった3月9日(4678)以来、ほぼ3ヵ月ぶりの高値。その今年高値(4678)を起点に上値を切り下げる短期三角保合い上限ライン上抜けに伴い、解き放たれたように一段高。今度は昨年2月の昨年高値(4798)から昨年5月高値や今年高値を結ぶ、中期三角保合いの上限ラインとの攻防状態に。4650円近辺が中期トレンド転換と主要レンジ上方シフトをかけた攻防ラインに。
週間ベースでは+388円、9.18%の大幅高で4週ぶりの反発。昨年10月以来、7ヵ月ぶりの急騰。
※参考:金プラチナ国内価格6/3とチャート
- 2022年6月3日(金)時点の相場
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国内金 : 8,524 円 6/3(金) ▲95(1.13%) 国内プラチナ : 4,614 円 6/3(金) ▲116(2.58%) NY金 : 1,871.4 ドル 6/2(木) ▲22.7(1.23%) NYプラチナ : 1,028.4 ドル 6/2(木) ▲32.0(3.21%) ドル円 : 129.85 円 6/2(木) ▼0.30(0.23%)
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