金プラチナ短期相場観
実質実効為替レートは20年ぶりドル高、50年ぶり円安は一服
更新日:2022年6月28日(火)
BIS(国際決済銀行)が発表する実質実効為替レート(主要60カ国々を対象にインフレも加味して算出)では、5月平均で米ドルは126.22。4月の122.45から大幅上昇し、2月の119.68から3ヵ月続伸で急騰局面を形成。2002年10月(126.46)以来、19年7ヵ月ぶりの高水準。ほぼ水平状態の20年移動平均との乖離率は15.64%。BISのデータで算出可能なデータ、直近10年程では最大。おそらく過去最大レベルの上方乖離状態に。
一方、日本円は4月時点で61.64。年初に2015年安値(67.63)を下回って急降下、4ヵ月続落で1971年8月(58.41)以来、50年8ヵ月ぶりの低水準。下落基調が続く20年移動平均は4月時点で87.32となって1990年5月(87.25)以来31年11ヵ月ぶりの低水準。20年移動平均乖離率は-29.41%で2015年8月(-30.63)以来、6年9ヵ月ぶりの水準。
なお5月には61.77となって小幅に上昇、急落局面一服となっています。ドル円も5月上旬の131円台から月末にかけて126円台まで円高方向へと調整となりました。
パウエルFRB議長は先週の議会証言で、高インフレ抑制効果を期待して、輸入物価価格抑制につながるドル高を容認する発言。
一方の黒田日銀総裁としてはデフレ脱却と景気支援の為に金融緩和継続路線に変更なし。輸入物価価格上昇の弊害もやむなしの状況。
実質実効為替レートでのドルと円の乖離幅拡大基調、ドル高円安基調ももう少し続きそうな状況のようです。
27日のNY金相場は先週末から-5.5ドル、0.3%の反落で6月15日(1819.6)以来、2週間ぶりの安値。1830ドル台へと反発基調でスタートした週明け時間外、ロンドン序盤には1840ドル台へと上昇も水平状態の200日移動平均線(1843.8)とゆるやかに下落し始めた20日移動平均線(1843.7)が超えられず、NY市場にかけては戻り売り。米5月耐久財受注が前月比+0.7%と予想外の好結果となり、米10年債利回りも3.2%台へと上昇傾向となったことなども重石となり、NY午後には1820ドル台半ばまで下落。流れは徐々に下値トライ方向へ、月末月初の指標結果をきっかけにドル高再燃となれば保ち合い下限1810ドルとの攻防へ。これを維持できなくなれば一段安へ、下値目安は5月安値圏1780ドル台、ダブルボトム形成へ。逆の展開で保ち合い上限1850ドル超えなら上値トライ再開、6月高値1880ドル台が上値目標に。
NYプラチナは-3.4ドル、0.38%安で4日続落。終値ベースでは3日連続で今年安値を更新し、昨年12月15日(894.2)以来半年ぶり安値圏での推移。NY市場でつけた安値では一時890ドル割れ、これも昨年12月15日安値(886.0)以来で半年ぶりの水準。時間外での反発も910ドル近辺までに留まり、NY市場にかけてはNY金の軟調局面に連れた格好。それでもNY午後には大台を回復し、930ドル割れに伴う短期下値目安900ドル前後まで戻す帳尻合わせ。昨年12月安値とでダブルボトム、もしくは9月安値も合わせてトリプルボトムの様相となり、中期的には重要かつ、堅めのサポートとなる可能性も。それだけに現状水準を維持できない場合、中期的には一段安への流れがスタートする可能性も。その場合の目安は2020年6月安値圏、800ドル割れが意識される可能性。
ドル円は29銭のドル高円安、0.21%の続伸。週明け東京市場朝は軟調スタート、135円10銭台での小幅揉み合いが崩れると急落となって134円50銭台まで水準を切り下げ、先週末安値手前では下げ渋る展開に。東京市場終盤にかけて135円台を回復すると欧州時間には株高・円安のリスク選好の流れとなってNY朝には135円50銭台まで上昇。先週末高値を若干上回りながらも5日移動平均線(135.70)が超えられず、135円台前半での保ち合いから135円40銭台に収束。3日連続下ヒゲを残し、134円台後半での足場固めの様相も、上値も5日線に押さえられる状態に。134円80銭辺りを下回るようだと調整局面拡大へ、6月半ばの押し目水準131円半ばまでが下値目安に。上方向に5日線を突破できれば136円70銭の高値更新トライへ、高値更新なら次の節目140円近辺を目指す流れとなる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/27終値とチャート
28日の国内金価格は+10円、0.12%の続伸。小幅続伸では9日移動平均線(8697)の上昇ペースに追いつけず、上値再トライに向けた勢いには欠ける状態。下値はわずかに切り上げる形ながらも流れは軟調方向。目先、8650円台の下値サポートを割れるようだと調整局面拡大、8500円近辺までが短期下値目安に。上方向には8780円の節目を突破できれば流れも好転、上値トライ再開となって最高値更新へ、8900円台後半から9000円の大台付近を目指すような流れにも。
プラチナ価格は+10円、0.23%高で4日ぶりの反発。今年の上昇トレンドをここまでサポートしてきた90日移動平均線(4324)を割れて3日め。その差わずか3円で下げ渋る形にもなり、今年の90日線割れ最長期間4日を更新することなく切り返すことができれるかどうかが、上昇トレンド維持をかけた攻防にも。短期下値目安4300円割れへと若干の下げ余地を残す苦しい状態のなか、昨年12月安値から下値を切り上げてきた下値サポートライン付近にも位置し、中期的にもトレンド転換をかけた攻防状態。
※参考:金プラチナ国内価格6/28とチャート
- 2022年6月28日(火)時点の相場
-
国内金 : 8,685 円 6/28(火) ▲10(0.12%) 国内プラチナ : 4,321 円 6/28(火) ▲10(0.23%) NY金 : 1,824.8 ドル 6/27(月) ▼5.5(0.30%) NYプラチナ : 900.3 ドル 6/27(月) ▼3.4(0.38%) ドル円 : 135.48 円 6/27(月) ▲0.29(0.21%)
製造業景況感指数6月は主要4地区連銀でマイナス圏入り 6/29(水)
実質実効為替レートは20年ぶりドル高、50年ぶり円安は一服 6/28(火)
円安に支えられた2022年上半期の国内金・プラチナ価格 6/27(月)
ミシガン大インフレ期待は下方修正、消費マインドは過去最低 6/25(土)
4週移動平均10週連続増加、新規失業保険申請件数ボトムアウト 6/24(金)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン