金プラチナ短期相場観
逆イールド末期、解消後に想定される事態
更新日:2023年11月9日(木)
10年債利回りから2年債利回りを差し引いた長短金利差がマイナスとなる長短金利差逆転、いわゆる逆イールド状態が生じるとリセッション入りサイン。
2000年以降も、実際に何度かその状態が発生し、その都度米国経済はリセッション入りを余儀なくされてきました。
2000年2月から12月までは223日間連続で逆イールドが発生。その後2001年春から秋にかけてリセッション入り。
2006年8月から2007年3月までは150日間連続で逆イールド。その後散発的な逆イールドも挟んで2008年にリセッション入り。世界金融危機となったこの時のリセッションは2009年6月まで続きました。
2019年8月末から9月初旬にかけても6日連続で逆イールド。その後2000年3月からはコロナショックもあって夏までのリセッション入り。
そして現状、2022年7月から続く今回の逆イールドは350日以上継続中。今年7月に長短金利差は最大で-1%超まで拡大してピークアウト。
10月には米10年債利回りが5%近辺まで上昇し、長短金利差は一時-0.1%台まで縮小。足下では小幅に再拡大となってはいますが、今世紀最長、最大の逆イールドは着実に解消方向へと向い、逆イールド末期を迎えている可能性も高まります。
これまで繰り返されてきた逆イールド解消後の展開としては、
10年債利回りピークアウト、FF金利は利下げフェーズ入り、FF金利が10年債利回りを下回り、2年債利回りも下回り、そしてリセッション入りへ。
例えば2024年前半にも逆イールド解消となった場合、まだ流動的ながら、来年半ば辺りにFF金利は利下げフェーズをスタートする可能性も。
そうなれば年後半にFF金利は10年債利回りを下回り、2年債利回りも下回る状態へ。
過去の例に倣えば、米国経済は2024年後半以降のリセッション入りを警戒すべき状況となる可能性がありそうです。
8日のNY金は-15.7ドル、0.8%安で3日続落。10月17日(1935.7)以来3週間ぶり安値圏での一段安。上昇基調の20日移動平均線(1975.1)にサポートされて下げ渋ったのはアジア時間まで。20日線との攻防状態からロンドン序盤に明確に下抜けると1970ドル割れトライ、NY午後には1970ドルをしっかり下抜けて一段安、NY引け後には1960ドル割れ。安値では1950ドル台前半まで下落し、1980ドルの節目割れに伴う短期調整目安1950ドル近辺に到達。なお、NY市場では米10年債利回り低下とドル安基調のなかでの軟調推移となり、リスク回避で買われ過ぎた分の一部が巻き戻されたような格好にも。短期的には一服感も、多少の行き過ぎでは90日移動平均線(1945.7)、10月安値(1823.5)から高値(2019.7)の38.2%戻し(1944.8)辺りがサポートに。これを割り込むようなら半値戻し(1921.6)も。
NYプラチナは-26.5ドル、2.95%安で3日続落。10月5日(862.5)以来、1ヵ月ぶりの安値。930ドルの節目割れに伴う短期下値目安900ドル近辺到達後の一服感はアジア時間まで。900ドルの大台が高値となり、ロンドン市場から下落局面再加速、NY午前に890ドルを割れるとNY午後には880ドル割れ、安値では870ドル近辺まで下落してようやく下げ渋りの兆しにも。比較的重要な中期サポート水準890ドルを維持し切れず、10月初旬から続いた上昇局は完全に崩れる形となり、調整局面の範囲を超えて下値トライの展開に。短期的には一服感もありながら、10月安値圏850ドル近辺までが短中期の射程圏内に。
ドル円は57銭のドル高円安、0.38%高で3日続伸。NY終値ベースでは33年4ヵ月ぶり高値となった10月31日(151.70)以来、1週間ぶりの高値。この日も東京朝に安値をつけて堅調推移、150円30銭近辺から東京市場終了時には150円60銭台へ、欧州時間からNY朝にかけては150円70銭台から90銭台へ。NY午後には150円70銭台までの下押しを挟んで151円台まで上昇。ただし151円台は維持し切れず、今朝の東京市場でも150円90銭近辺での揉み合いから151円再トライも跳ね返され、151円ラインに抵抗感も。引き続き高値保合い継続で、下値サポート149円30銭を割れた場合には調整局面入り、147円近辺までが短期下値目安に。上限は151円に切り下げるかどうか、目先の攻防を突破して151円80銭を超えるようなら一段高トライへ、153円台後半辺りまでを目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/8終値とチャート
9日の国内金価格は-68円、0.65%安で5日続落。5日以上の続落は1ヵ月ぶり、7月以降だけで今年4度め。10月19日(10273)以来、3週間ぶりの安値。10460円の節目割れに伴う高値保合い崩れと、小さなダブルトップ完成に伴う短期下値目安10400円近辺に到達。勢い余って少し行き過ぎ、21日移動平均線(10300)や10月安値(9512)から10月最高値(10544)の23.6%戻し(10300)も意識される状況に。もう一段の下値警戒水準として38.2%戻し(10150)も。
プラチナ価格は-102円、2.17%安で5日続落。10月13日(4,552)以来、4週間ぶりの安値。5日続落は2ヵ月ぶりで今年4度め。21日移動平均線(4703)と90日移動平均線(4672)を突き抜け、4720円の節目割れに伴う短期下値目安4660円近辺に到達してなお下げ止まらず。10月安値(4484)から11月高値(4923)の61.8%戻し(4652)も下回り、76.4%戻し(4588)も目前に。
※参考:金プラチナ国内価格11/9とチャート
- 2023年11月9日(木)時点の相場
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国内金 : 10,353 円 11/9(木) ▼68(0.65%) 国内プラチナ : 4,604 円 11/9(木) ▼102(2.17%) NY金 : 1,957.8 ドル 11/8(水) ▼15.7(0.80%) NYプラチナ : 871.5 ドル 11/8(水) ▼26.5(2.95%) ドル円 : 150.98 円 11/8(水) ▲0.57(0.38%)
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