金プラチナ短期相場観
予定どおりQE終了、considerable time維持でもドル急騰、金急落
更新日:2014年10月30日(木)
FOMCでは大方の予想どおり、予定どおりのQE終了を決定。声明文では「considerable time(相当の期間)」ゼロ金利を維持するとの一文は残されました。
ただし労働市場においては、労働資源の活用不足が徐々に緩和されつつあるとし、物価は短期的には抑制されてもインフレ率が目標の2%を下回り続ける可能性はやや減少、と労働市場の改善と低インフレリスクの後退を示唆。さらに、これら2つの指標の改善が予想以上に早まれば利上げ時期も早まる、と明言。
予想以上にタカ派寄りの内容となったことでドルが急騰、主要通貨に対してほぼ全面高となり、米株は一時急落、金も一時急落の展開に。
なお、FOMC声明文発表後の相場急変時の局面的な変動率を比較すると、
ドル円の0.8%急騰に対し、NYダウは0.6%の急落、ユーロドルは0.8%の急落(ユーロ安ドル高)、豪ドル米ドルは1.1%の急落(豪ドル安米ドル高)。
NY金相場は1.3%の急落となっていました。
ユーロ圏の景気減速懸念を伴う通貨ユーロの下落率はドル円とほぼ変わらず。しかし、豪ドルの下落率は、金融緩和の後押しを受けて新興国や資源国へと流れた投資マネーの巻き戻しが比較的大きいことを示します。NYダウの下落率は、金融相場で上昇し続けた株式市場にとっても、金融引き締めによるマイナスの影響がまだまだ残ることを示します。
そして、緩和マネーの巻き戻し、引き締め政策の影響を最も受けるのが金市場であることも示されたようです。
「considerable time(相当の期間)ゼロ金利継続」は、12月のFOMCで声明文から削除されることになりそうですが、その前後を含めてconsiderable time、ゆるやかなドル高基調が続くことになりそうです。
29日のNY市場、金相場は0.37%の下落、引け後のFOMC声明文発表後には一時1,208ドルまで急落。今朝時点では1,210ドル台前半に位置し、下値余地となっていた1,210ドル台に到達。下押しエネルギーを吐き出したことで、現時点では下落圧力がさらに強まる状況にはなく、ニュートラルな状態。しばらくは今後のイベントや経済指標に上下に振られやすい展開か。
プラチナ相場は0.23%の小幅高で3日続伸。FOMC後に1,250ドル台へと下落。1,270ドル台からコンスタントに軟調推移、上向き優勢の勢いも縮小中でレンジ下限の1,250ドルも意識される水準。ここを割れると2番底へと向かう可能性が高まることに。
ドル円相場は0.68%の続伸。FOMC後の急騰で目先の抵抗線となっていた108円30銭を大きく上抜け、10月3日以来の高値水準を維持、ドル高の流れ再加速の兆し。当面の上値目標水準は110円台前半、今年最高値110円08銭超えの可能性が浮上。107円80銭が当面のサポートラインに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.44%の反落。4,600円前後の上値目標再トライへの可能性は残しながらも4,550円近辺のサポート水準まで再反落。上方向への勢いも後退し、4,540円台のサポートライン割れリスクが増大。下抜けなら4,500円割れを試す流れへ。来週末の雇用統計までは不安定な状態が継続。
プラチナ価格はわずかに3円の下落。三角保ち合いからの小幅上抜け状態を維持し、今のところは上値を伸ばす可能性が優勢。目標水準4,780円台辺りも継続。サポートラインは4,640円。
※参考:金プラチナ国内価格10/30とチャート
- 2014年10月30日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,552 円 10/30(木) ▼20(0.44%) 国内プラチナ : 4,692 円 10/30(木) ▼3(0.06%) NY金 : 1,224.9 ドル 10/29(水) ▼4.5(0.37%) NYプラチナ : 1,269.2 ドル 10/29(水) ▲2.9(0.23%) ドル円 : 108.89 円 10/29(水) ▲0.74(0.68%)
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