金プラチナ短期相場観
今年のハロウィーンは政府・日銀共同制作?も駄作か
更新日:2015年10月31日(土)
1年前のハロウィーンでは市場の意表を突くサプライズ緩和で東京市場を盛り上げた日銀でしたが、今年はやや趣向を変えて政府との共同制作という形でやり過ごそうと考えたかどうかは定かではありませんが、結果的には駄作となってしまったようです。
米FOMC通過で年内利上げ観測が再燃し始め、ドル高円安傾向に株価も堅調推移ととなっていたことに乗じて、日銀はあっさりと現状の政策維持決定を発表。しかし同時間帯の総額3兆円規模の補正予算案調整中との報道により、急落した株価と円高の流れを下支えし、逆に円安株高方向へと切り返すことに成功しました。
しかし、黒田総裁会見では追加緩和の議論さえなかったことも明らかにし、物価目標2%達成時期も従来の2016年前半頃から後半頃へと先送り。原油安による影響が大きいとの理由。展望リポートでの消費者物価見通しの下方修正とGDP成長率見通しの15-16年度も下方修正とも相まって円安株高の流れは大きく巻き戻されることに。
結果的にドル円は一時121円台半ばまで上昇したところから120円台半ばへ、日経平均は19,200円まで上昇したところから大引けで19,080円台、CME先物では18,800円台まで下落し、いずれもFOMC前の水準まで切り下げることになりました。
日銀の物価目標先送り理由となった原油安は、米国でも同様に大きく影響を及ぼす状況が続いています。
米商務省が発表した9月の個人消費支出の物価動向を示すPCEデフレーターは、前年比で8月の0.3%から0.2%へと低下し、2009年10月以来6年ぶりの低水準から抜け出せない状態が続きます。変動の大きい食品・エネルギー価格を除くコアPCEデフレーターの前年比でも、+1.4%への上昇が見込まれた予想を下回り、+1.3%を維持。2011年以来の低水準が続いています。
PCEデフレーターの発表は12月FOMCまでに残り1回、FRBの物価目標における最重要指標からは、2%へと向かう兆しは全く見られない状況が続きます。
物価動向だけを見れば、日米ともに2%の物価目標に程遠い状態のなか、日本では追加緩和の検討すらされないという状況にやや疑問も生じるところですが、米国での利上げ検討にはさらに疑問を生じてしまう状況です。
30日のドル円は0.41%の円高。日銀の現状政策維持と政府の補正予算報道とで120円20銭台まで急落後に121円40銭台まで急騰、黒田総裁会見を経て欧州時間にかけて再び120円20銭台まで下落する乱高下ぶり。1週間前に欧州-中国と続いた緩和の流れで見られ始めたドル高基調加速への芽は、今週の日米現状維持政策によって摘まれてしまった様子。短期的には120円台半ばから121円台半ばまでのレンジで保ち合い形成、上方ブレイクなら122円台後半、下方ブレイクなら119円台前半程度までの値動きは可能か。
NY金相場は0.51%の続落で10月5日以来ほぼ4週間ぶりの安値圏となり、安値では1138ドルまで下げて目標水準1130ドル台後半に到達。東京市場での為替と株価の乱高下には無反応の状態から、NY時間にかけては軟調推移。複数発表された米国経済指標はやや弱めの結果も多かったなか、第3四半期の雇用コスト指数が前期比+0.6%となり、第2四半期の+0.2%から加速の兆しが見られたことなどもマイナス材料に。一服感も出やすいところで月初の重要指標に振られる展開へ。
週間ベースでは-21.4ドル(1.84%)で続落、月間では+26.2ドル(2.35%)の反発。
NYプラチナ相場も0.42%の続落で10月9日以来3週間ぶりの安値圏。金に連れ安となった流れのなかでも990ドルのレンジ下限付近で持ち堪える底堅さも。しかし、わずかに下限割れの兆しが見られ、このまま990ドル台へと持ち直すことができない場合には960ドル近辺を目指す短期下落基調が進行する可能性が高まることに。
週間ベースでは-12.6ドル(1.26%)の続落、月間では+81.9ドル(9.03%)の大幅反発。月間上昇率としては2012年1月(13.5%)に次ぐ大幅高。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/30終値とチャート
- 2015年10月31日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,765 円 10/30(金) ▼40(0.83%) 国内プラチナ : 4,117 円 10/30(金) ▼16(0.39%) NY金 : 1,141.4 ドル 10/30(金) ▼5.9(0.51%) NYプラチナ : 989.1 ドル 10/30(金) ▼4.2(0.42%) ドル円 : 120.62 円 10/30(金) ▼0.50(0.41%)
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