金プラチナ短期相場観
為す術なしの低インフレに一筋の光明?週末に再確認
更新日:2016年9月14日(水)
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「FRBは高インフレに対処する手段はあるが、過度の低インフレを是正する手段はほとんど持ち合わせていない」との考えを示しました。また、ブレイナード理事は「利上げを支持する前にインフレ加速の兆しを確かめたい」と慎重派の主要な根拠について、代表して発言。過去数年続くインフレ低迷が、追加利上げへの阻害要因となっている、というのが慎重派の共通認識です。
これに対する、一筋の光明となり得る指標が12日、NY連銀から発表されています。
1200世帯を対象に行う消費者調査の結果で、8月の1年期待インフレの中央値は2.79%となり、昨年10月(2.82%)以来、10カ月ぶりの高水準へと急上昇しています。
今年1月に近年最低となる2.42%まで低下し、2月には2.71%へと急反発も一時的となり、その後は2.6%から2.5%台へと低水準での推移が続いていただけに、ようやく上昇の兆しが見られ始め、インフレ加速への可能性を示した形です。
同様の指標では、ミシガン大が発表する1年期待インフレ指数がありますが、こちらは5月に近年最低水準となる2.4%まで低下し、7月には2.7%まで反発しましたが8月に再び2.5%へと反落。底入れ、反発への兆し、との見方にはまだ無理があるようです。
但し、今週末には9月速報値が発表されます。そこで2.7%以上へと反発しているようなら、底入れ、反発への兆候となる可能性も高まることにもなりそうです。
さらに、金曜日には消費者物価指数(CPI)の発表もあり、1%前後の低迷状態から上昇の兆しが見られるか、またコアCPIは2.2%前後の横ばい状態から一段高への兆しが見られるかどうか、注目されます。
今週末の指標結果で、インフレ加速への兆しとなるような結果が複数確認されるようなら、次週に向けて早期利上げ観測急拡大となり、市場がざわつき始める可能性もありそうです。
13日のNY金相場はわずかに0.14%安となり、5月と6月以来、今年3度めの5日続落。9月1日(1317.1)以来2週間ぶりの水準に。1330ドル台を回復していた時間外から、NY市場にかけてはドル高の流れにも押されて軟調推移。今朝の時間外にも何度か1310ドル台を試しながら1320ドル台で耐える状態。米早期利上げ観測は全く高まっていないにもかかわらず、警戒感が燻ぶるように株安とともに売り優勢の展開。1310ドルは5月末安値から7月高値までの38.2%戻しの水準でもあり、もうしばらくはサポート水準として作用しそうな状況も、下抜けた場合には61.8%戻しとなる1270ドル近辺までの下落も見込まれる。
NYプラチナ相場も5日続落で0.66%安。5日続落は3月以来で今年2度め。水準としては6月30日(1021.5)以来、2カ月半ぶりの安値水準。金に連れて1060ドル台まで反発も短時間で反落、NY市場終盤にかけては1031ドルまで下落し、下値目安1030ドル付近にも早々の到達。ドル高金安に株安、南アランド安の流れが続くようならもう一段安の展開も。次の下値目安としては1020ドル割れも。
ドル円は0.7%のドル高円安。欧州時間には「財務省が40年債の増発を正式決定」報道で102円40銭台まで買われ、NY時間には「日銀の総括的検証で、今後の金融緩和の軸にマイナス金利深掘りを据える方針、国債購入ではイールドカーブのスティープ化促進」報道で102円70銭台まで上昇。米10年債利回りが6月24日以来、2カ月半ぶりに1.7%台を回復したことなどもサポート材料に。101円台後半から102円台後半での保ち合い形成から、今朝の東京市場では103円台に乗せて上方ブレイクの兆し。このまま行くと次週の日米金融政策会合前に104円台へと水準を切り上げる可能性。なお、101円台後半割れへと反落の場合には100円付近までの下落リスクも残される状況。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.37%高となって6営業日ぶりの下げ止まりで7営業日ぶりの反発。ほぼ水平状態の21日移動平均線付近でいったん下げ止まった形。方向感には乏しく、目先はこの近辺での保ち合い形成も。9日・90日移動平均線が水平状態で重なる4700円付近まで反発できれば徐々に地合い好転へ、その上4730円の節目を超えると4800円台も視野に。4640円台を下抜けた場合には4570円台辺りまでの下落局面形成も。
プラチナ価格は1.1%の大幅安で、5月と8月に続き今年3回めの5営業日続落。7月1日(3638)以来、2カ月半ぶりの安値水準を更新し、短期下値目安3660円台辺りまであと一歩。NYプラチナに連動する形でそろそろ下げ止まりも。行き過ぎの場合には6月末から7月末までの上げ幅の76.4%戻しとなる3600円付近までが警戒水準に。
※参考:金プラチナ国内価格9/14とチャート
- 2016年9月14日(水)時点の相場
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国内金 : 4,665 円 9/14(水) ▲17(0.37%) 国内プラチナ : 3,679 円 9/14(水) ▼41(1.10%) NY金 : 1,323.7 ドル 9/13(火) ▼1.9(0.14%) NYプラチナ : 1,036.0 ドル 9/13(火) ▼6.9(0.66%) ドル円 : 102.55 円 9/13(火) ▲0.71(0.70%)
影のFF金利とFF金利・米ドル実質実効為替レート 9/15(木)
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