金プラチナ短期相場観

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「米英などに頼れる時代は終わった」by メルケル

更新日:2017年5月29日(月)

週末にイタリア・シチリア島で行われたG7サミットを終えて帰国したメルケル独首相のこの発言は、昨今の世界情勢を的確に表現しているようです。
1年前の伊勢志摩サミットから米・英・伊・仏の4首脳が入れ替わった今回のG7では、予想通りトランプ米大統領とG6首脳との間での1対6のディール・サミットの様相に。
貿易については、保護主義を掲げるトランプ米政権と他国との間での調整が難航した結果、米国が歩み寄る形で「保護主義と戦う」との文言を首脳宣言に盛り込む形にこぎつけたものの、環境問題については、地球温暖化対策の「パリ協定」離脱を公約としていたトランプ米大統領の説得にG6首脳側が失敗した形に。

昨年秋時点で既に今回のサミットでの意思統一が困難となることは想定できたものの、いよいよそれが現実となり、G7の存在意義自体にクエスチョンマークとの見方も聞かれ始めます。とは言え、世界の金融市場においてはNYとロンドンを中心に回る時代はまだまだ続きます。
ただ、国際金融センターであり、欧州市場の拠点であるロンドンの今後の地位には不透明感も漂い、その行方に大きく影響を及ぼす英国のEU離脱交渉もこれから。そのEU離脱交渉に向けて、6月8日の総選挙で地盤を固めて安定政権を確立して臨もうとのメイ英首相の目論みにも、マンチェスターの自爆事件以降に支持率が低下し、暗雲も漂い始めます。

一方のNY市場の存在感は揺らぎようのないところですが、こちらは政権が揺らぎ始めています。
G7を終えて若干の支持率回復も見られるトランプ政権は、大統領の留守中にクシュナー大統領上級顧問にロシアとの極秘通信ルート開設未遂疑惑も浮上し、ロシアゲート疑惑の混迷は続きます。コミー前FBI長官の議会証言をホワイトハウスが阻止に動くのではないか、との報道もあり、状況は混沌としていますが、トランプ米政権が安定感を取り戻すには、それ相応の対応と時間が必要となりそうです。
「米国は再び頼れる存在」に戻るような事態への警戒感も高まりそうです。

国内金価格・週足と52週移動平均線 2017年5月29日29日の国内金価格は0.64%の反発。ゆるやかに上昇の兆しが見られ始めた21日移動平均線(4817円)を9日移動平均線(4820円)がようやくゴールデンクロス。いずれも右肩上がりの90日移動平均線(4790円)の上での推移が続き、価格ライン(4850円)を頂点に移動平均線が昇順に並ぶパーフェークトオーダーを完成。前回は4月初旬から5月初旬までの1カ月間この形を維持して5月1日には4863円まで上昇。ただし、しばしば強気相場の末期に見られる形状でもあり、高値警戒感もつきまとう状況に。それでも買われ過ぎの過熱感はなく、短期上値目標4880円近辺まで、もうひと伸びの可能性は十分に残されているものと予想。むしろ今週末にかけての米指標結果次第では大きく行き過ぎる可能性も。
52週移動平均線はゆるやな上昇基調が続き、昨年5月30日からの週(4703円)以来、1年ぶりの水準となる4703円。上方乖離率は今年2番めタイとなる+3.1%。

国内プラチナ価格・週足と52週移動平均線 2017年5月29日プラチナ価格は0.87%の大幅高となって昨年11月以来半年ぶりの6日続伸となり、3月28日(3691円)以来2カ月ぶりの水準を回復。4日連続上昇幅縮小後の上げ幅急拡大となり、失速感からの調整も、との予想は見事に裏切られ、3月末以降の安値保ち合いを上方ブレイク。4月高値3687円もわずかに上回り、上方視界が開けた状態に。続伸は早々にも途切れるかもしれないが、上昇トレンドは継続見込み。むしろ加速の兆しも見られ、当面の上値目標は3月後半高値3768円を超える3780円前後まで。
52週移動平均は29日時点で3712円となり、前週末時点の3711円からわずに1円上昇。52週移動平均線が上向くのは8週間ぶり。乖離率は-0.6%となり、下方乖離率は11週間ぶりの水準まで縮小。
※参考:金プラチナ国内価格5/29とチャート

2017年5月29日(月)時点の相場
国内金4,850 円 5/29(月) ▲31(0.64%)
国内プラチナ3,690 円 5/29(月) ▲32(0.87%)
NY金1,268.1 ドル 5/26(金) ▲11.7(0.93%)
NYプラチナ962.9 ドル 5/26(金) ▲10.0(1.05%)
ドル円111.30 円 5/26(金) ▼0.54(0.48%)

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