金プラチナ短期相場観

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欧州自動車触媒と中国宝飾需要減で2017年プラチナは供給過多へ

更新日:2017年5月26日(金)

世界のプラチナ自動車触媒需要の地域別推移 2017年5月Johnson Matthey社のプラチナ需給レポート2017年5月版によれば、2017年の世界全体のプラチナ需要は236.6トンとなり、前年比-19.3トン(-7.5%)の減少見通しとなっています。減少幅は2011年以降の7年間で最大、総需要量では最低水準と見込まれます。

産業用での需要が+1.2トン(+2.1%)の小幅増見込み以外は全て減少見込み。
需要全体の4割を占める自動車触媒需要では、デイーゼル車需要の多い欧州がその50%程度を占めますが、2016年には55.3トンまで増加、シェア53.6%まで拡大したところでいったんピークとなるものと予想されています。2017年見通しでは51.8トンと-3.5トン(-6.4%)の減少見込みとなっています。
ディーゼル車需要の少ない北米、中国では低水準での横ばい推移が続き、2014年のVWショックの影響は全く見られない状況が続くのに対し、日本では小幅低下傾向が続きます。国内でのディーゼル車人気低下が表れているようです。

世界のプラチナ宝飾品需要の地域別推移 2017年5月プラチナ需要の3割を占める宝飾品需要では、中国がその大半を占めますが、2013年の65.3トンから2016年の47.0トンまで減少し、2017年も43.7トンへとさらに減少見込みとなっています。シェアも2013年の65.3%から2016年には47.0%、2017年見通しでは43.7%。
今月24日にはムーディーズによる格付けが28年ぶりに引き下げられ、景気減速懸念も燻る状況とともに、中国のプラチナ需要の減少傾向に歯止めがかかるかどうかも、今後注目されることになりそうです。

世界第2位、人口比率からは実質世界一とも言えるプラチナ・ジュエリー大国、日本では9トン台での横ばい推移が続き、世界シェアは2013年の10.2%から2017年見通しでは12.8%まで拡大見込み。国内宝飾業界などでのプラチナ人気は衰えていない様子です。

なお、最も予想が困難な投資需要は、2016年の19.3トンから2017年には6.8トンへと-12.4トン(-64.5%)の大幅減少が予想されています。
この結果、2017年のプラチナ総需給見通しとしては、6年ぶりの供給過多が見込まれています。3月時点でのWPICの2017年見通しとは若干の相違が見られます。

ただし、3月後半以降のプラチナ相場低迷に伴い、中国や日本での宝飾品需要と投資需要拡大も予想される状況にもあり、6年ぶりの供給過多か、7年連続供給不足となるかは現時点では微妙なところです。

NY金・日足チャート 2017/4/21 - 5/2525日のNY金相場は0.26%の小幅反発。前日引け後のFOMC議事要旨を受けての小幅急騰後は上げ渋る展開、1260ドルにわずかに届かず失速すると小動き状態で1250ドル半ばに収束。この日の値幅は上下わずか5.9ドルとなり、年間平均13.4ドルの半分以下で今年2番めの小動き。OPEC総会での協調減産延長も事前織り込みどおりで原油相場が急落、これを受けて株価下落で金が買われる場面もあったものの限定的に。その一方でNASDAQとS&Pは最高値更新、ダウも6日続伸で最高値圏へと近づく堅調ぶりにも金利低迷とドル安基調に支えられての底堅さも持続。1250-60ドルの小幅レンジでの保ち合い継続で上下どちらかへ大きく動き出す前段階の様相に。

NYプラチナ・日足チャート 2017/4/21 - 5/25NYプラチナ相場も0.59%高となって3日ぶりの反発。4月25日(957.6)以来1カ月ぶりの高値水準となり、保ち合いレンジ上限をわずかに上抜け。しかし、今朝の時間外ではこれを維持できずに950ドル割れへ。相変わらず力強さには欠ける状態で金との価格差は303.5ドルと縮小傾向も300ドル超のピーク水準がほぼ1カ月半続き、もはやピークとは言えず常態化?の様相も。短期的には930ドル台がサポートラインとなり、上方向への再トライの可能性もまだ十分予想され、目先の上値目標は960ドル台まで。

ドル円・日足チャート 2017/4/21 - 5/25ドル円は0.31%のドル高円安と反発。前日のFOMC議事要旨でのタカ・ハト混在の内容を受けて6月利上げに向けての市場織り込みは進行し、ほぼ確実視されるのに対し、年後半に向けての今年3回目の利上げ予想は低下。この状況を反映するように111円90銭台まで上昇した後はNY市場にかけてやや軟調気味の推移に。終値111円台は6日連続となり、111円後半を主要レンジとする小幅保ち合い状態に。上方ブレイクの兆しも見られるものの今朝の東京市場ではやや失速気味、112円台へと上昇できれば当面の上値余地は113円近辺まで拡大、下方ブレイクなら110円前後までが下値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/25終値とチャート

26日の国内金価格は0.21%の反落。予想された反落も9日移動平均線が21日移動平均線(いずれも4816円)と同水準まで上昇し、ようやくゴールデンクロスの兆しとなり、上値目標4880円近辺を目指す流れ加速への期待も高まるところで週末に。上昇トレンドが加速しそうでしない状態が長期化すると、おのずと反落への警戒感が高まり、さらにデッドクロス後のゴールデンクロス失敗で9日移動平均線が反落するようなら、反落基調スタートという微妙な状況にも。ただし、右肩上がりの90日移動平均線(4788円)が当面のサポート水準として作用すれば保ち合い継続となって再び上値トライのチャンスをうかがう展開も。
週間ベースでは+31円(0.65%)となり、3週ぶりの反発。

プラチナ価格は0.14%の小幅高となって5日続伸。5日続伸は昨年11月以来、半年ぶり。ただし、上昇幅縮小も4日連続となり、失速感も拭いきれない状態に。目先NYプラチナの上値が限定的と予想されるだけに、このまま3660円台の節目を上抜けて大幅上昇となる可能性よりは、いったん調整をはさんで改めて上値トライをかけた攻防へ、といった展開のほうがしっくりいくか。
週間ベースでは+70円(1.95%)の反発。
※参考:金プラチナ国内価格5/26とチャート

2017年5月26日(金)時点の相場
国内金4,819 円 5/26(金) ▼10(0.21%)
国内プラチナ3,658 円 5/26(金) ▲5(0.14%)
NY金1,256.4 ドル 5/25(木) ▲3.3(0.26%)
NYプラチナ952.9 ドル 5/25(木) ▲5.6(0.59%)
ドル円111.83 円 5/25(木) ▲0.35(0.31%)

5/25(木)のその他主要マーケット指標

ミシガン大消費者信頼感指数も第2四半期はピーク水準で頭打ち 5/27(土)

欧州自動車触媒と中国宝飾需要減で2017年プラチナは供給過多へ 5/26(金)

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