金プラチナ短期相場観
PCEインフレ低迷でドル円反落、NY金は1330ドルの高値再トライ
更新日:2017年9月1日(金)
米商務省が発表した7月の個人消費物価指数(PCEデフレーター)は前年比+1.4%。食品とエネルギー関連を除くコアPCEも前年比+1.4%。いずれも市場予想どおりの結果となったものの、あらためて低インフレ継続を嫌気した様子でドル円は反落。米10年債利回りも今年最低水準となる2.11%台まで低下し、12月利上げ確率も低下。1300ドルの高値からの反落も警戒されたNY金は逆に1330ドルの高値再トライへと向う展開となりました。
コアPCEの前年比+1.4%は2015年12月(1.4)以来、1年7カ月ぶりの低水準となり、2011年4月以降の6年3カ月間での最低水準1.3%をわずかに0.1%上回る水準、という状態。PCEは9カ月ぶりの低水準となった6月から横ばい推移となり、下落したコアPCEと同水準。前回6月分の時点ではPCE(1.4)がコアPCE(1.5)を下回るデッドクロスとなり、インフレ鈍化のサインを示す形となっていましたが、その流れが加速する状態には至っていない状況です。
また、NY原油の月間平均価格は7月の46.68ドルから、8月は48.06ドルへと反発しており、8月PCEの押し上げ要因となりそうです。
PCEインフレが目標の2%に向けて加速するにはまだしばらく時間を要しそうですが、さらに鈍化傾向が進行するような状況でもなさそうです。
31日のNY金相場は0.62%の反発。売り圧力が強まった東京時間に1302ドルまで下押しも大台を割り込まなかったことが大きく、1300ドルラインでの想定以上の底堅さを確認。1310ドル台に戻して迎えたNY市場では低調なPCEインフレをきっかけに反発の流れが加速、米長期金利低迷とドル安を背景に一時1330ドル手前まで上昇し、直近の上値目標1330ドル近辺を再度試した形となり、終値でも11カ月ぶりの高値水準となる1320ドル台を維持。8月中旬以降に増加し始めた金ETF残高が新規買い参入を示唆する形となり、1300ドル台での足場固めも進行、雇用統計の結果次第では今年最高値更新も。
月間ベースでは+48.8ドル(3.83%)の続伸。今年1月(+56.9、4.94%)に次ぐ大幅高。
NYプラチナ相場は0.33%の反発。調整局面入りへの警戒感も高まる場面では980ドル前後のサポートライン付近まで下げて反発、990ドル台から今朝の時間外にかけては1000ドルの大台回復も。金に連れての高値圏維持となり、調整局面入りをなんとか回避。1000ドル近辺での保ち合い形成の様相となり、980ドル前後のサポート水準を完全に割れると大幅安への可能性を抱えながらも、逆に1000ドル台後半へと水準を切り上げることができれば、1020ドル台が次の上値目標水準に。
月間ベースでは+57.8ドル(6.14%)で続伸。今年1月(+94.9ドル、10.5%)以来の大幅上昇。
ドル円は0.24%のドル安円高、3日ぶりの反落で110円割れ。短期トレンドが上方向へと転換した可能性は高いものの110円台後半ではまだ上値が重い様子。低調なPCEを確認すると反落基調がスタートし、ムニューシン米財務長官のドル安容認ともとれる発言などもあって一時109円80銭台まで下落。112円前後を目指すドル高円安トレンドはいったん腰折れ。目先は109円前半から110円前半までのレンジで保ち合い傾向となり、ドル高円安方向がやや優勢という状態か。雇用統計上振れでレンジ上抜けなら111円台前半まで、円高方向には109円前半まででは当面サポートされやすそう。なお、8月雇用統計での雇用者数の伸びは昨年まで4年連続で予想を下回る結果となっており、5年連続も警戒される。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/31終値とチャート
1日の国内金価格は0.81%の大幅高で6日続伸、2015年6月29日(5018)以来2年2カ月ぶりの高値水準となって5000円の大台乗せ。6日続伸は2月以来半年ぶりで今年2回め。5000円の大台がチラつきながらも急反落、との予想を裏切る急騰局面継続であっさりと5000円台到達。NY金と為替のトレンド転換は意外と進行していない可能性もあり、特にNY金の底堅さは想定以上で上昇トレンドがまだ続いている可能性も。買われ過ぎ状態は続く状況も雇用統計下振れなら一段高の可能性も否定できないが、当面の調整目安として23.6%戻しとなる4950円前後の水準までは意識しておくべきか。
週間ベースでは+154円(3.18%)で4週続伸。上げ幅としては2015年1月19日からの週(+259円、5.14%)以来2年7カ月ぶり、4週続伸は今年2月以来。
プラチナ価格は0.4%高となって4日続伸、3月8日(3788)以来ほぼ半年ぶりの高値水準。止まらない金価格の急騰局面に連れ高の状態から、NYプラチナの上値再トライへの可能性も浮上し始め、適度な過熱感にとどまるプラチナ価格の急反落リスクも緩和し始めた可能性も。雇用統計の結果次第では、到達確率は極めて低いと思われた短期上値目標3830円台に近づく可能性も。
週間ベースでは+78円(2.11%)の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格9/1とチャート
- 2017年9月1日(金)時点の相場
-
国内金 : 5,002 円 9/1(金) ▲40(0.81%) 国内プラチナ : 3,780 円 9/1(金) ▲15(0.40%) NY金 : 1,322.2 ドル 8/31(木) ▲8.1(0.62%) NYプラチナ : 998.5 ドル 8/31(木) ▲3.3(0.33%) ドル円 : 109.97 円 8/31(木) ▼0.27(0.24%)
季節要因?8月雇用統計下振れは5年連続、NY金1330ドル台は1年ぶり 9/2(土)
PCEインフレ低迷でドル円反落、NY金は1330ドルの高値再トライ 9/1(金)
じわり高まる賃金上昇率加速とNY金1300ドル割れへの警戒感 8/31(木)
消費者信頼感指数上振れと温度差?でリスク回避の巻き戻し加速 8/30(水)
北朝鮮ミサイル日本上空通過でJアラート発動、金は一時1330ドル 8/29(火)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン