金プラチナ短期相場観
じわり高まる賃金上昇率加速とNY金1300ドル割れへの警戒感
更新日:2017年8月31日(木)
8月のADP雇用者数が+18万人程度の予想を大きく上回る+23.7万人となり、過去2カ月分も上方修正、4-6月期GDP改定値も前期比年率で+3.0%と予想を上回る上方改訂となり、米国経済の好調を好感する形でドル高の流れが進行しました。
週末の雇用統計もそこそこの好結果を期待する状況となり、そのとおりとなれば一段高の展開も予想されそうです。
雇用者数の伸びについては、それなりの好結果はありそうですが、問題は低迷が続く賃金上昇率。
たとえ雇用者数の伸びがポジティブ・サプライズとなっても、賃金上昇率が今回も低調なら市場インパクトも半減。逆に上昇の兆しが確認できるようなら市場は好感、もし前年比+2.8%超などのポジティブ・サプライズならインパクトは倍増。
ここに来て、賃金上昇率が加速しそうな可能性をわずかに示唆するような指標も出始めています。
リッチモンド連銀製造業指数の構成指数のひとつ、賃金指数は8月に18.0となって続伸。5月に21.0と16年9カ月ぶりの高水準を記録した後、6月には10.0へと急反落していましたが、7月に17.0へと急反発した流れが続いているようです。
ダラス連銀の賃金指数は8月に26.9となり、2014年2月の27.6以来、3年半ぶりの高水準となっています。
リッチモンド連銀の賃金指数は2000年代の高値圏での推移が続き、ダラス連銀は2007年の上限にも迫る水準となり、下限を切り上げる展開が続いています。
今回の雇用統計で賃金上昇率が加速傾向を示す可能性への警戒感とともに、NY金の1300ドル割れへの警戒感もじわりと高まります。
30日のNY金相場は0.36%安となって4日ぶりの反落。上ヒゲ長めの陰線を残して今年高値からの反落も示唆した前日の流れから、1310ドル前半で下げ渋り。米8月ADP雇用とQ2GDP改定値の上振れに対する反応も限定的となり、上下10ドルに満たない小動きとなって安値では前日と同じ1310ドル付近でサポートされた形で小幅十字線を形成。しかし、週末にかけての米経済指標でも比較的好結果も予想され、調整局面優勢の状況。1300ドルの大台ラインが目先のサポートとなり、多少の好結果では維持できそうか。ポジティブ・サプライズで重要なサポート水準となる1290ドルを割れると短期トレンド逆転で1250ドル台が当面の下値目安に。
NYプラチナ相場は0.83%の大幅安となって3日ぶりの反落。NY朝の指標発表後には990ドル割れも一時的、しかし上値も1000ドルの大台ラインが重くなり、990ドル台前半での小幅保ち合いに。調整局面入りの可能性が高まる状態で、堅調推移が続く20日移動平均線の980ドル前後の水準を維持できるかどうかが目先のポイントに。維持して高値圏での保ち合いか、割り込んで大幅調整ならこの夏の上昇幅の61.8%戻し(937.3)付近となる940ドル台が当面の下値目安に。
ドル円は0.51%のドル高円安で続伸。前日の下ヒゲ陽線の流れを引き継いで、東京市場終了後に110円台を回復すると、欧州時間序盤の戻り売り局面が格好の押し目となって反発。NY市場では8月ADP雇用上振れとQ2GDP改定値上振れを受けて110円40銭台までの一段高。半月ぶりのドル高円安水準に戻し、今朝の東京市場では110円台後半を試す勢い。このまま週末の雇用統計でも好結果となればドル高円安基調に反転した流れは一段と加速する展開も。7月11日高値から8月29日安値までの61.8%戻しとなる112円前後の水準が当面の上値目標に。中長期的には4月安値と今回の安値とで2番底を形成した可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/30終値とチャート
31日の国内金価格は0.38%高で5日続伸、2015年7月2日(4962)以来2年2カ月ぶりの高値水準。反落警戒感も高まる状況下、ドル高円安の進行にもNY金が比較的下げ渋ったことでさらに水準を切り上げ、7月14日から1カ月半続いた夏場の上昇トレンドにおける上昇幅の半分を月末3日間で稼いだ形。こうなると5000円の大台もチラつく状況ながら、この週末にかけては急騰後の急反落も警戒され、この夏の23.6%戻しでも4914円、38.2%戻しなら4884円。4900円程度までの調整はいつでも入りそうな状況か。
月間ベースでは+135円(2.8%)で続伸。
プラチナ価格は0.05%の小幅続伸、3月21日(3768)以来5カ月ぶり高値をわずかに更新。金価格の続伸に牽引されての反落回避、といった状態となり、NYプラチナの失速状態からの急反落が警戒される。3700円の大台ラインが当面のサポート水準候補に。ただし、単体で見る限りは長期保ち合いからの上抜けによる上昇トレンドは継続中で最大目標は3830円台。週末にかけての米経済指標がネガティブ・サプライズとなるか、ドル高円安進行でもNYプラチナが想定外に下げ渋れば上昇トレンド継続も。
月間では+191円(5.34%)で続伸。今年1月(+230円、6.32%)以来の大幅高。
※参考:金プラチナ国内価格8/31とチャート
- 2017年8月31日(木)時点の相場
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国内金 : 4,962 円 8/31(木) ▲19(0.38%) 国内プラチナ : 3,765 円 8/31(木) ▲2(0.05%) NY金 : 1,314.1 ドル 8/30(水) ▼4.8(0.36%) NYプラチナ : 995.2 ドル 8/30(水) ▼8.3(0.83%) ドル円 : 110.24 円 8/30(水) ▲0.56(0.51%)
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