金プラチナ短期相場観
2019年利上げ2回はタカ派寄り?ドル売り進まず金伸びず
更新日:2018年12月20日(木)
米国大統領による利上げ大反対ツィートのオンパレードも続き、FOMC直前には12月利上げ見送りのサプライズも?との見方も一部では出始めていたなか、「政治情勢が金融情勢に影響することなはい」とトランプ大統領への忖度もキッパリ否定したパウエルFRB議長は予定どおり、今年4回目の利上げ決定を発表しました。
ただし、声明文では世界的な経済、金融情勢を注視し続けながらも国内の経済活動、労働市場は依然として力強く、「いくらかの(some)」さらなる漸進的な利上げ(further gradual increases)が妥当であると、利上げフェーズ継続を示唆しつつ、休止もチラつかせる内容となりました。
2019年の追加利上げ回数が前回の3回から2回へと下方修正されたことは想定の範囲内、むしろ直前の市場織り込みでは1回まで低下していたことからタカ派寄りに受け止める向きも多かったことから、ドル買い金売りの反応となりました。
2019年のGDP見通しは2.5%から2.3%へと下方修正されましたが、1年前時点の予想2.1%からは切り上げた状態を維持しています。
失業率見通しは最新11月雇用統計の3.7%から、2019年末には3.5%までさらに低下するとの予想は維持したものの、2020年には3.6%へと上方修正され、2年以内の底打ちが予想されています。
コアPCEインフレは2.1%から2.0%へと引き下げられ、最近のインフレ指標の減速傾向が反映された様子です。原油価格急落もあり、今後もインフレ過熱予想は見られない状況のようです。
いずれの見通しも「9月以降経済に一定の逆風」があったことを反映する形となり、今回のFOMCはハト派寄りと見ることもできるものの、事前予想に比べればタカ派寄りと見方も分かれるところで、一時300ドル超上昇していたNYダウは350ドル安へと急反落するなど株式市場は乱高下、金利も乱高下の展開となりました。
しかし、パウエル議長が「中立水準レンジの下限に達した」と言うとおり、来年はあと1回の利上げで中立金利中央値2.75%に到達することになります。
19日のNY金相場は+2.8ドル、0.22%高で小幅に3日続伸。7月9日(1259.6)以来、5カ月ぶりの高値水準。FOMCを控えて1250ドル前半での小幅揉み合い推移後、NY朝にはイタリアの2019年修正予算案を欧州委員会が承認したことを好感してユーロ買いドル売りが急進、金も連れ高となって一時1260ドル超え。しかし引け後のFOMCでは声明文がそれほどハト派的ではないとの見方から1240ドル半ばまで急落。ただし、それほどタカ派寄りとも言えず下げ渋りの様子も。半年ぶりの200日移動平均線(1257.9)上抜けトライに失敗した形にもなったものの、あらためてこの水準を上抜けることができれば短期的には1270ドル台まで上値余地拡大へ。なお、ユーロ安要因の一つが剥落したこと、米国の景気とインフレ見通しが下方向にあることからドルの下支え圧力が今後弱まって行く方向となり、年末年始に向けての金は比較的安定推移となりやすい地合いに。
NYプラチナ相場は+1.2ドル、0.15%の小反発。ユーロ高金高に連れての小幅急騰局面では800ドルの大台ライン寸前で失速、FOMC後の急反落局面では790ドルを割れて780ドル台半ばへ。金と同様に下げ渋る状態にもあり、現状の安値保ち合いレンジ下限となる780ドルをすぐに割り込むような展開は想定し難く、ただし上値も800ドルラインに抵抗感も。金の上値トライが再開し、これに追随する形で大台を回復し、20日移動平均線も下げてきた810ドルの節目も上抜けることができれば安値保ち合いからの上方ブレイクとなり、840ドル台を目指す流れにも。
ドル円は10銭弱の小幅ドル安円高となって4日続落。東京市場では上場したソフトバンク株急落で日経平均の下落とともにドル円も一時112円10銭台まで急落も、日経平均の持ち直しとともに112円60銭台まで反発と荒い展開。欧州時間にはユーロ高ドル安の影響で112円10銭割れを試した後、FOMCには小幅乱高下の反応となり、一時112円60銭台まで上昇。しかし、東京時間につけた高値付近では上値も重く、米10年債利回りも2.85%台へと急騰後に2.77%台へと急反落したことにも連れて112円40銭台へ。ドルと円の方向性が一致しやすく、今年最後のビッグイベント通過後もボラティリティは限定的にとどまる状態が続きそうな状況となり、目先は112円前後までは再度下値を試す可能性を残し、上方向には113円60銭台までが当面の抵抗水準。超えると今年高値114円半ばトライの可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/19終値とチャート
20日の国内金価格は-17円、0.35%の続落。FOMCでは想定以上にタカ派寄りとの見方が優勢となり、NY金の上値が押さえられたことで国内価格は2週間ぶり安値水準に。9日移動平均線(4839)に上値を押さえられたまま反落状態となり、目先は21日移動平均線(4806)から4800円の大台ライン近辺がサポート候補に。この水準までで下げ止まれば4860円を上限に保ち合い推移へ、そして再び上値トライのチャンスをうかがう展開にも。
プラチナ価格は-20円、0.65%の続落。9月12日(3040)以来、3カ月ぶりの安値水準に。11日につけた12月安値3055円をわずかに下回って短期的な二番底が崩れ、下値トライ再開の兆候にも。このまま3050円を割り込むようなら9月上旬までの安値保ち合い水準、3000円の大台ライン付近までが下値目安となり、8月安値からの二番底形成への流れに。
※参考:金プラチナ国内価格12/20とチャート
- 2018年12月20日(木)時点の相場
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国内金 : 4,813 円 12/20(木) ▼17(0.35%) 国内プラチナ : 3,050 円 12/20(木) ▼20(0.65%) NY金 : 1,256.4 ドル 12/19(水) ▲2.8(0.22%) NYプラチナ : 796.0 ドル 12/19(水) ▲1.2(0.15%) ドル円 : 112.45 円 12/19(水) ▼0.06(0.05%)
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