金プラチナ短期相場観
失業率低下傾向も求人件数伸び悩みで失業後の不安は急拡大
更新日:2020年11月12日(木)
失業率が4月の14.7%から半年後の10月には6.9%まで急低下してきたことに伴い、失業者数も過去最大となった4月の2307.8万人から9月には1258万人へと1000万人超の減少、10月には1106.1万人と半年前から半減となっています。
その一方で求人件数は2019年1月に過去最大となる752万件となった後、2020年2月の700.4万件までラウンドトップを形成し、ゆるやかにピークアウト。コロナショックとなった4月には499.6万件へ、5年4ヵ月ぶり低水準へと急減。その後の急回復では7月に669.7万件まで回復も8月には635.2万件、9月には643.6万件と伸び悩み。
この結果、求人件数と失業者数との差は2018年3月から2020年2月まで23ヵ月連続プラス圏(求人>失業)推移となり、2018年7月以降の大半で求人数が失業者数を100万件超上回り、140万件以上も複数回。
これが3月にマイナス圏(求人<失業)へ、求人件数を失業者数が上回る、求人不足状態に陥ると9月まで7ヵ月連続のマイナス圏となっています。
求人不足数は4月に過去最大となる1808.2万件となった後は、7月の1000万件割れへと急縮小しましたが、8月には719.8万件、9月には614.4万件とやや鈍化傾向。
NY連銀が今週発表した消費者調査の結果によれば、今後失業した場合に3ヵ月で新たな職を見つけられると考える人の割合は10月時点で46.95%。2月までの58%以上から急低下した4月の46.95%をわずかに下回って6年半ぶりの低水準。8月に50.68%まで回復した後に失速、急反落となっています。過去平均の54.68%を大きく下回る水準でのデッド・キャット・バウンス。
失業率は想定以上のペースで低下していますが、求人件数が伸び悩みの兆しとなり、求人不足解消ペースは鈍化傾向となり、消費者レベルでは失業後の不安が再び急拡大しています。
11日のNY金相場は-14.8ドル、0.79%の反落。ワクチン相場のリスクオン地合いは継続、急落からの戻り一服となって1870ドル台での小幅揉み合い推移はこの日の時間外まで。1880ドル超では上値も重く、ロンドン時間にはラガルドECB総裁が12月の追加緩和について「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)と条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)」などと踏み込んだ発言をしたことでユーロ安ドル高の流れが急進、これに連れるように軟調推移となってNY朝には1850ドル台前半まで下落。ただし下値サポート1850ドル付近ではまだ底堅く、NY午後にかけては1860ドルを回復し、引け後には1870ドルを試すような動きも。1880ドルが抵抗水準となって1850ドルの下限までのレンジで保ち合いを形成、上抜けなら1900ドルの大台回復へ、下方ブレイクの場合には下値トライ再開となって1830ドル程度までは下げやすく、1800ドルの大台ラインも意識されるような流れにも。
NYプラチナは-24.6ドル、2.76%の反落。時間外では前日高値にわずかに及ばず890ドル台前半まで、NY朝にかけては金に追随する形で急落、860ドル台へと水準を切り下げて一時860ドル割れ。前日の上げ幅を帳消しにする形で900ドル手前から860ドル台まで、保ち合いレンジ上限と下限を確認するような展開に。200日移動平均線(865.5)にもサポートされるレンジ下限を割り込むようだと9月安値圏820ドル台までが下値目安、切り返して保ち合い上抜けへと向かうようなら9月半ばの戻り水準940ドル近辺までが上値目標に。
ドル円は15銭のドル高円安、0.14%の反発。前日高値105円50銭近辺からの調整局面はこの日の東京午前の105円ちょうど付近まで。前日安値(104.82)を下回らずに反発すると欧州時間にはラガルド総裁発言を受けてのユーロドル下落に連れでのドル高と、ワクチン相場の株高に連れての円安とで反発へ。欧州時間に前日高値圏105円50銭に到達するとNY時間には上値切り上げとなる形で105円70銭付近まで上昇。しかし、90日移動平均線(105.68)に上値を押さえられて失速すると今朝の東京市場にかけては105円50銭割れ。まだ抵抗感の強い105円50銭から90日線近辺までを上抜けることができれば106円の短期上値目標トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/11終値とチャート
12日の国内金価格は-31円、0.45%の反落。11月2日(6896)以来、10日ぶりの安値。弱気のパーフェクトオーダーの並びで最上位に位置する90日移動平均線(7091)の上昇ペースも失速傾向にあり、下方圧力も徐々に強まる状態に。下値目安となる10月安値圏6860円近辺までもう一段の下げ余地も。可能性は低そうだが、仮に現状水準で下げ止まって反発するような展開となった場合、10月安値6856円を頂点に9月安値とこの日の6902円で逆三尊を形成する可能性も。
プラチナ価格は-43円、1.32%の反落。上値を切り下げてきた下落トレンド脱却をかけた流れへと向かう可能性もあった小幅保ち合い上抜けの兆しはダマシに終わり、金との逆行傾向解消へと切り返して今度は保ち合い下方ブレイク。レンジ拡大に向けた上下動の一環で、これもダマシに終わる可能性もあるものの、NYプラチナが保ち合い下方ブレイクとなれば追随へ。下値警戒水準としては6月後半の安値保ち合い水準3050円台まで。上方向に3250円超へと切り返した場合、これも同様ながら上値警戒水準としては3400円の大台超えへと向かう可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格11/12とチャート
- 2020年11月12日(木)時点の相場
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国内金 : 6,902 円 11/12(木) ▼31(0.45%) 国内プラチナ : 3,205 円 11/12(木) ▼43(1.32%) NY金 : 1,861.6 ドル 11/11(水) ▼14.8(0.79%) NYプラチナ : 868.1 ドル 11/11(水) ▼24.6(2.76%) ドル円 : 105.44 円 11/11(水) ▲0.15(0.14%)
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