金プラチナ短期相場観
世界のプラチナ需給-2020年第3四半期
更新日:2020年11月19日(木)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2020年第3四半期のプラチナ総需要は82.4トン。2015年以降で最低となった前期からは+74.9%、前年同期比+32.0%となり、6四半期ぶりの高水準。
総供給量は60.3トンで前期比+39.5%、前年同期比-4.9%で3四半期ぶりの高水準。
需給バランスは、22トンの供給不足。供給不足は2四半期連続で6四半期ぶりの水準。
2020年の通年見通しとしては、総供給209.6トン、総需要247トンとなって37.4トンの供給不足。供給不足は2年連続で2013年以降では最大となる見込み。
なお、2021年の見通しでは、総供給244.6トン、総需要251.6トンで-7.0トン、3年連続供給不足予想。
<供給>
■鉱山産出量:46.4トン 前期比+59.3%、前年比-2.4%、3四半期ぶり高水準。うち南アフリカは32.8トン(前期比+105.4%、前年比-5.8%)で3四半期ぶり高水準、ロシアは6.2トン(前期比+13.6%、前年比+15.3%)。2カ国合計シェアは84.1%となって2015年以降最低となった前期の73.6%から急回復で3四半期ぶり高水準。南アフリカでは新型コロナ感染拡大防止策に伴う鉱山閉鎖解除で急増。
■リサイクル:15.7トン 前期比+20.5%、前年比-6.5%で3四半期ぶり高水準。ロックダウン解除で物流再開に伴う急増。
<需要>
■自動車触媒:20.5トン 2015年以降最低の前期からは+69.7%の急増、前年同期比-2.7%、3四半期ぶり高水準。15四半期連続の前年割れ。中国を筆頭に自動車販売が急回復。
■宝飾品:15.5トン 前期比+26.8%、前年比-3.3%、3四半期ぶり高水準。14四半期連続前年割れ。
■産業用:15.8トン 前期比+44.6%、前年比-9.5%。2四半期ぶり高水準。モニタ需要でガラス関連は4.3トン、前期比+430.8%、前年比35.3%の急増。
■投資:30.5トン 前期比+157.9%、前年比+291.8%。2015年以降で最大。
地金・コイン等の現物投資需要は3.0トンで前期比-20.3%、前年比+79.8%。ETF関連は+16.9トンで買い越しは2四半期連続、6四半期ぶり高水準。
★需要全体における自動車触媒需要の占める割合は24.9%。実数では急増も投資需要急増の煽りを受けてシェアは2015年以降で最低。
最大シェアとなったのは、その投資需要で37.1%、2015年以降で最大。3番めに産業用で19.2%、宝飾品は18.8%となって初のシェア最下位。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は18.5トン。2015年以降最低となった前期からは+15.7%、前年比+4.5%。
第3四半期は平均価格が918.1ドルとなり、第2四半期の812ドルから急騰、2018年第1四半期(980.3)以来、2年半ぶりの高水準。この影響でETF関連の在庫増減量は前期の+3.8トンから+16.9トンへと急増、1年半ぶりの高水準に。
第3四半期は主要国のGDP成長率が軒並み過去最大となり、第2四半期の過去最大の落ち込みからの急回復となったことがそのままプラチナ需要にも反映されたようです。
第4四半期の平均価格はここまでで883.7ドルとやや低調、主要国のコロナ感染再拡大が経済回復への足かせとなり、プラチナ需要の伸び悩みにもつながりそうです。
ただし、その先には政権交代、及びその予定の国々を含め、「カーボンニュートラル」を目標に掲げる国も多数。燃料電池など水素エネルギーの重要性が一段と高まって行くことになれば、長期的にプラチナ需要にも大きな変化が訪れる可能性もありそうです。
18日のNY金相場は-11.2ドル、0.59%の続落。短期上値目標1900ドルに対しては16日の1898ドルまででトライ終了、この日の時間外は1880ドル台半ばが超えられず、ロンドン市場にかけてはユーロ売りドル買い、株高の流れに連れて戻り売り。米製薬大手ファイザーのコロナワクチン候補の最終治験結果で有効性が95%と伝えられてワクチン相場を下支え、金への売り圧力が強まると1週間ぶり安値となる1860ドルまで急落。しかし、下値サポート水準でしっかり支えられるとNY午前には再び1880ドル半ばまで反発。ただし上値も重く、NY引けにかけては1870ドル付近での攻防へ。1860ドルから1890ドルまでが目先の主要レンジとなり、下限を割り込んでしまうと一段安へ、7月前半高値1830ドル近辺までが下値目安に。上方ブレイクへと切り返す展開となれば反発局面形成へ、11月高値(1966.1)から11月安値(1848.0)までの61.8%戻し(1921.0)近辺、1920ドル台までが上値目標に。
NYプラチナは+13.8ドル、1.47%の大幅高で5日続伸。5日続伸は8月初旬以来3ヵ月半ぶりで今年(5月以降のみで)4度め。水準としては9月16日(973.5)以来、2ヵ月ぶりの高値。前日NY朝に短期上値目標940ドルに到達後、NY市場では940ドルが上限となる形で上値を押さえられ、引け後の時間外に失速も930ドル割れまでにとどまって上値トライ再開。一時的には940ドル超へと反発もロンドン市場にかけては金の急落局面に追随、一時914ドルまで急落もNY市場にかけては急反発となって960ドル付近まで、40ドル超の急騰。引け後には940ドルまで反落、短期上値目標付近で一服感も。
金との価格差は923ドル、7月22日(907.7)以来4ヵ月ぶりの水準へと急縮小。
ドル円は2日連続40銭のドル安円高、0.38%安となって5日続落。5日続落以上は9月以来、2ヵ月ぶりで今年6回め。水準としては11月6日(103.36)以来の安値となり、11月6日安値103円10銭台から11日高値105円60銭台までの76.4%戻し(103.77)に到達。東京時間から株安に連れて売り先行、104円を割れると一段安となって欧州時間には103円80銭近辺まで下落。ファイザーのワクチン治験結果報道などを好感した株高と円安の流れが急進したNY序盤にかけては104円10銭まで上昇。しかしこの流れも続かず、戻り売りとなって安値では103円60銭台まで下落。目先、76.4%戻し付近で下げ止まらないようだと全戻しが意識され、103円30銭の節目を割り込んでしまうと一段安の展開へ、103円を割れて102円台半ば辺りまでが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/18終値とチャート
19日の国内金価格は-63円、0.91%の続落。NY金の続落に円高の流れも続いて下押し圧力倍増、短期下値目安6850円台を突き抜けての一段安。10月安値6856円を下回り、7月20日(6811)以来、4ヵ月ぶりの安値。短期的には目標水準オーバーランからの一服感もあるものの、行き過ぎ警戒水準としては11月9日から12日までの下落幅160円を戻り高値となった17日の6941円からのN計算値適用水準6781円、7月後半の急騰前の保ち合い水準6780円台まで。
プラチナ価格は+25円、0.75%の反発。金との逆行状態で堅調推移のNYプラチナが円高を相殺、NYプラチナにはやや一服感もあるものの、3360円台を上抜けたことからもう一段上値を試しに行く可能性も。短期的には3400円の大台回復程度まで。3340円台の下値サポート割れへと反落の場合には10月末高値水準3280円台までが下値目安に。中期的には8月高値(3655)から11月安値(3096)までの半値戻し(3376)をほぼ達成しており、61.8%戻し(3441)が意識されることにも。
金との価格差は3453円となり、6月19日(3448)以来5ヵ月ぶりの水準へと急縮小。
※参考:金プラチナ国内価格11/19とチャート
- 2020年11月19日(木)時点の相場
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国内金 : 6,827 円 11/19(木) ▼63(0.91%) 国内プラチナ : 3,374 円 11/19(木) ▲25(0.75%) NY金 : 1,873.9 ドル 11/18(水) ▼11.2(0.59%) NYプラチナ : 950.9 ドル 11/18(水) ▲13.8(1.47%) ドル円 : 103.79 円 11/18(水) ▼0.40(0.38%)
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