金プラチナ短期相場観
米2月PPIは過去最高維持も上流階層ではインフレ鈍化の兆し
更新日:2022年3月16日(水)
この日発表された指標では、ドイツのZEW景況感指数が過去最大の急落となり、米国ではNY連銀製造業景況指数が1年10ヵ月ぶり低水準へと急低下。早くもウクライナ戦争とロシアへの経済制裁に伴う悪影響が表面化し始めた様子も。
米2月生産者物価指数(PPI)は前年比+9.99%。市場予想の+10%とほぼ同程度、1月の+9.97%からはわずかに上昇し、2ヵ月連続の過去最高。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+8.36%。1月の+8.54%からは低下し、4ヵ月ぶりに過去最高更新ストップ。食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数(コアPPI2)では前年比+6.65%。3ヵ月連続過去最高更新の12月(7.01)からは続落。
3月利上げを阻害する要因はなくなり、今後の利上げフェーズに向けても否定要因にはならず。ただ、そのなかでエネルギー価格がインフレ高騰を牽引していることが浮き彫りとなり、コア指数でのインフレは鈍化の兆しにも。
PPIとCPIとの格差も2月は2.12%となり、3ヵ月連続の縮小で9ヵ月ぶりの低水準。もちろん過去推移と比べればまだまだ高水準、消費者物価への価格転嫁余地を多分に残す状態は継続。
この格差縮小傾向が続けば、2月時点では鈍化の兆しがまだ見られないCPIも、いずれは鈍化へ。
なお、この日発表された3月NY連銀製造業景況指数では、販売価格指数が2ヵ月連続で過去最高となったのに対し、仕入価格指数は1年ぶり低水準となっていました。
将来的なインフレ鈍化の兆しも、いくつか見られ始めているようです。
15日のNY金相場は-31.1ドル、1.59%の大幅安で3日続落。下げ幅としては今年の絶対値平均16.3ドルの2倍弱、今年5番めの急落で3月2日(1922.3)以来、2週間ぶりの安値水準。調整局面が続き、時間外序盤の1950ドル台半ばの高値からNY午前につけた安値1910ドル割れまで、ほぼ戻りなく50ドル弱の下落。NY午後には一時1930ドル台まで自律反発も、引けにかけては1920ドル近辺へと反落。リスク回避の巻き戻しで米株主要3指数が揃って堅調推移、米10年債利回りも2年10ヵ月ぶり高水準となる2.14%台で堅調維持となった流れに押された格好で、1月末安値から3月高値の半値戻し(1929.7)にきっかり到達。5週間ぶりに20日移動平均線(1936.7)も下抜けて3月序盤の急騰分をほぼ全戻し、短期トレンドも調整局面入り。下押し圧力がもう一段強まるようなら61.8%戻し(1894.5)近辺がさらなる下値目安、かつ下値サポート候補に。
NYプラチナは-49.8ドル、4.73%の大幅安で5日続落。5日続落は昨年12月以来、3ヵ月ぶり。下げ幅としては今年の絶対値平均18.5ドルの2.7倍、今年最大で昨年11月23日(-50.9ドル、5.01%)以来4ヵ月ぶりの急落。時間外での1040ドル台半ばから、金の軟調推移にも連れて下落基調。ロンドン時間に1030ドル台の節目を維持できなくなるとNY朝にかけて1000ドルの大台ライン近辺まで一段安。NY引け後にはこれも維持し切れずに990ドル割れ。200日移動平均線(1027.5)を割れるのは2月15日以来1ヵ月ぶり、90日移動平均線(1011.7)を割れるのは1月18日以来、2ヵ月ぶり。12月安値(886.0)から3月高値(1197.0)の61.8%戻し(1004.8)を達成しても下げ止まり切れず、次なる下値目安は76.4%戻し(959.4)、950ドル近辺まで。
金との価格差は927.2ドルまで拡大、2020年11月17日(948.0)以来1年4ヵ月ぶりの水準。
ドル円は9銭のドル高円安、0.08%の小幅高となって7日続伸。7日続伸は昨年2月以来、1年1ヵ月ぶり。5年余りで2度め。終値ベースでは2016年2月2日(119.96)以来、6年1ヵ月ぶりドル高円安水準。瞬間的には東京午前に118円40銭台まで上昇し、2017年1月3日高値(118.61)以来、5年2ヵ月ぶりのドル高円安。米10年債利回りが東京午後の時間帯には低下基調となっていたにも関わらず、ドル円は118円30銭台での高止まり、欧州時間朝には調整圧力が強まって118円割れへと急落、安値では117円70銭割れを試す場面もあったものの、米10年債利回りが上昇に転じたNY時間には反発へ、NY午後には118円30銭台を回復。調整不足からの急落も短時間で巻き戻されて下へ行って来い、下ヒゲを残して堅調維持の様相にも。短中期上値目標、2016年12月と2017年1月高値118円60銭台トライとFOMC後の一服感からの調整圧力との攻防にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/15終値とチャート
16日の国内金価格は-90円、1.11%の続落で3月4日(7854)以来、2週間ぶりの安値。1ヵ月半ぶりに9日移動平均線(8073)を下回って強気相場が崩れ、NY金の一段安にドル円のサポートもなく、7970円近辺の下値目安付近へと水準を切り下げ。FRBのタカ派転換を織り込んでの一方的なドル高円安進行で過熱感も高まる状態から、短期的にはさらなる円安サポート期待は剥落。NY金がもう一段の調整なら、追随へ。短期下値目安は7920円台辺りまで、値幅分析からは1月末安値から3月高値の38.2%戻し(7896)付近、7900円前後までが意識される可能性も。
プラチナ価格は-158円、3.71%の大幅続落で2月1日(4095)以来、1ヵ月半ぶりの安値水準。NYプラチナの大台割れとともに売り圧力が強まって急降下。水準的には1月後半から2月初旬にかけての保ち合い水準まで戻した形となり、ほぼ水平状態の90日移動平均線(4070)や12月安値から3月高値の61.8%戻し(4070)辺りまでではサポート期待も高まるところ。短期的なオーバーラン警戒水準としては4000円近辺まで。
金との価格差は3889円となり、2020年10月12日(3899)以来、1年5ヵ月ぶりの水準まで拡大。
※参考:金プラチナ国内価格3/16とチャート
- 2022年3月16日(水)時点の相場
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国内金 : 7,988 円 3/16(水) ▼90(1.11%) 国内プラチナ : 4,099 円 3/16(水) ▼158(3.71%) NY金 : 1,929.7 ドル 3/15(火) ▼31.1(1.59%) NYプラチナ : 1,002.5 ドル 3/15(火) ▼49.8(4.73%) ドル円 : 118.28 円 3/15(火) ▲0.09(0.08%)
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