金プラチナ短期相場観
強弱混在の雇用統計、利上げ効果で利上げペース減速観測台頭
更新日:2022年11月5日(土)
米10月雇用統計は強弱混在。好結果と見るか、まだまだ、と見るかは視点によってそれぞれ。少なくとも、今回の結果を受けて生じた市場の流れは、利上げペース減速観測台頭とこれに伴うドル安。これを受けて株高にNY金などドル資産の貴金属も大きく買われる展開に。
FRBの利上げ効果が現れてきた可能性を示した指標としては、
・失業率=3.7%。9月の3.5%から予想以上に上昇。今年7月と9月の3.5%は、コロナ直前の2020年1-2月、2019年9月と並び、1969年12月(3.5)以来、ほぼ50年ぶりの低水準。大底をつけて上昇基調に転じた可能性も。
・U6失業率=6.8%。過去最低となった6-7月と9月の6.7%から上昇。
・失業者数=605.9万人。9月の575.3万人から30.6万人増、2月以来8ヵ月ぶりの高水準。7月の567.0万人が21年ぶり低水準となり、ボトムアウトした可能性も。
・長期失業者の割合=19.5%。コロナショック直後の乱高下を除き、実質14年ぶり低水準を更新した9月の18.5%から+1.0%の大幅上昇。
・賃金上昇率=前年比+4.73%。9月の+4.98%から低下し、3ヵ月連続の低下。昨年8月(+4.34)以来、1年2ヵ月ぶりの低水準。今年3月の+5.62%でピークアウトし、低下基調がスタートしている可能性。
ただし、長期平均の+2.92%を大きく上回る水準。前月比でも長期平均+0.24%を上回る水準での推移が8ヵ月連続、今年2月の+0.13%を除けば2021年4月以降は連続で長期平均超。
賃金上昇率は依然として高水準での推移が続き、インフレ圧力の主要因となり続けています。
4日のNY金相場は+45.7ドル、2.8%の大幅反発で10月13日(1677.0)以来、3週間ぶりの高値水準に。上げ幅としては今年の絶対値平均13.6ドルの3.36倍、今年3番めの急騰。FOMC後に1640ドルの節目割れ、これに伴う短期下値目安1600ドル近辺に対しては前日安値1618.3ドルまでにとどまって折り返し。9月安値(1622.2)、10月安値(1621.1)と合わせてトリプルボトムの可能性を残す形での反発基調はこの日、1631.1ドルの安値から加速して大陽線を形成。雇用統計待ちの状態では緩やかなドル安基調に連れてロンドン市場で1650ドルの節目との攻防へ、NY市場では強弱混在の雇用統計の結果を受けて一時1640ドル台前半へと売られたものの、ドル安に転じた流れに連れて切り返すと20日移動平均線(1657.6)も超えて一段高。利上げペース減速への思惑が強まるなか、ドル安基調が強まったNY午後には1670ドル台へ、NY引け後には1680ドル台半ばまで上昇。1650ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1690ドル近辺にもほぼ到達した格好にも。3月から半年以上続いた下落トレンドが底打ちした可能性も、短期的には1700ドルの大台近辺では一服感も。
週間ベースでは+31.8ドル、1.93%の反発。
NYプラチナは+36.4ドル、3.94%の反発。上げ幅としては今年の絶対値平均15.7ドルの2.3倍、今年8番めの急騰で10月27日(967.4)以来、1週間ぶりの高値。930ドルの節目割れに伴う短期下値目安900ドル近辺に対しては前日安値912.6ドルまでで切り返し。この日は時間外序盤に920ドルをわずかに割れて切り返し、20日移動平均線(923.0)にもサポートされてNY金の大幅反発に追髄。NY朝までに940ドル台を回復すると雇用統計後の小幅乱高下を経て950ドルの抵抗水準との攻防へ。NY午後にはこれを突破して960ドル台へ、NY引け後には970ドルにもワンタッチ。目先、950ドルの節目突破に伴う短期上値目標980ドル近辺まで若干の上昇余地も。ただし970ドル台は8月高値、10月高値と合わせてトリプルトップを形成する可能性もある重要水準。中期的には抵抗感も強い反面、抜け出すと水準が切り替わる可能性もあり、大台回復も視野に。
週間ベースでは+11.4ドル、1.2%高で3週続伸。5ヵ月ぶりに52週移動平均線(953.0)上抜け。
ドル円は162銭のドル安円高、1.09%の反落。東京朝に前日高値148円40銭台で上値を押さえられると雇用統計への警戒感もあってか軟調推移。ゆるやかなドル安基調となって東京午後に148円を割れると欧州時間には147円台半ばへ。雇用統計直後には、NFPの伸びが予想を上回ったことに反応して148円10銭台へと急騰も一時的、失業率上昇など強弱混在の結果に小幅に急騰した米10年債利回りも急失速。利上げペース減速観測が強まるに連れてドル安の流れも強まる展開となり、146円50銭台まで下落。NY午後には147円30銭台まで反発する場面もあったものの、NY終盤にかけては146円60銭台へ。シカゴ連銀エバンズ総裁の「50ベーシス利上げでも大きな利上げ」など12月の0.5%利上げ支持を示唆する発言も重石となった様子。結果的に148円近辺を維持できず、20日移動平均線(147.87)も割り込んだことで146円台へと一段安。目先、146円20銭のサポートを維持できれば148円80銭までのレンジでの保ち合い継続へ。これを維持できないようだと調整幅拡大へ、142円台半ば辺りまでが下値目安にも。
週間ベースでは-82銭、0.56%安で3週続落。3週続落は5月以来、5ヵ月ぶりで今年2度め。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/4終値とチャート
- 2022年11月5日(土)時点の相場
-
国内金 : 8,494 円 11/4(金) ▼55(0.64%) 国内プラチナ : 4,744 円 11/4(金) ▼111(2.29%) NY金 : 1,676.6 ドル 11/4(金) ▲45.7(2.80%) NYプラチナ : 960.5 ドル 11/4(金) ▲36.4(3.94%) ドル円 : 146.66 円 11/4(金) ▼1.62(1.09%)
三角保合いの国内金価格、斜行三角保合いのプラチナ 11/7(月)
強弱混在の雇用統計、利上げ効果で利上げペース減速観測台頭 11/5(土)
ISM雇用は節目50、拡大と縮小の狭間でせめぎ合い 11/4(金)
予定通り4回めの0.75%利上げで4%へ、最終5%なら160円も? 11/3(木)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン