金プラチナ短期相場観
米労働市場は堅調もGDPと製造業は低調、でドル売り金買い
更新日:2023年12月22日(金)
この日の米経済指標は強弱混在。週間新規失業保険申請件数は市場予想を下回る好結果となり、直近9週間では2番めの低水準。7-9月期GDP確定値は市場予想を下回り、5.2%から4.9%へと下方改定。世界の他地域と比較すれば、これでも十分高水準ながら、0.3ポイントの修正幅がややネガティブに。さらに7-9月期の個人消費とコアPCEも下方改定され、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も予想を下回る結果に。
米労働市場の堅調維持が示唆された一方で、GDPの下振れや製造業の低迷に市場反応はドル売り、金買い。
12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は-10.5。市場予想の-3.0を大幅に下回り、11月の-5.9からも反落で3ヵ月ぶり低水準に。
トレンドを示す6ヵ月平均では-6.7。5ヵ月続伸で13ヵ月ぶりの高水準。ただし15ヵ月連続マイナス圏推移となり、長期経い金+9.0も大きく下回る状態。
回復基調は続くも水準的には低調、という状態が継続。
構成指数では、新規受注が-25.6で9ヵ月ぶり低水準。2020年6月以降、コロナ後の3年半で2番めの低水準。雇用は3ヵ月ぶり低水準へと減速。
期待指数は5ヵ月ぶり高水準。今後の回復を期待する状況で、新規受注見通しも3ヵ月ぶり高水準へと上昇。ただし、雇用見通しは11ヵ月ぶりの低水準。
受注減で現況は低調ながら、受注増で回復見通し。
ただし雇用は現況も見通しでも、低調。
21日のNY金は+3.6ドル、0.18%の小幅反発。前日NY引け後につけた安値2040ドル付近からの反発局面が続いたアジア時間には2050ドルまで上昇、2040ドル台後半での小幅保ち合いとなったロンドン市場を経てNY市場では堅調推移。強弱混在となった米指標では失業保険申請件数減少に対して7-9月期GDP確定値の下振れ、個人消費やPCEも下方改定され、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も低調となったことを受けて乱高下の反応後にはドル安基調となり、NY午後にかけて2050ドル台半ばへと水準を切り上げる展開に。2050ドル台の抵抗水準でいったん上値を押さえらえた格好ながら、NY引け後には2060ドル台へと上値トライへの様相にも。このまま2060ドル超を維持できれば短期上値目標となる11月高値圏、2070ドル台までは上値を伸ばす展開に。ただしPCEの結果次第では巻き戻しの展開にも、2030ドルの下値サポートを割れるようなことがあれば12月安値圏1990ドル付近を目指す流れへ。
NYプラチナは-3.7ドル、0.38%安で4日ぶりの反落。960ドル台半ばから堅調推移となったアジア時間には970ドル台半ばまで上昇。前日高値にわずかに届かず、これが高値となって失速するとロンドン市場では960ドル付近まで反落、NY市場にかけては乱高下となり、970ドル台へと反発後には950ドル台へと急反落。ただし前日安値を下回らずに切り返すとNY午後には970ドルを回復。上値トライ一服状態も、下ヒゲを残して950ドルでの足場固めの様相にも。引き続き970ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標、9月高値圏990ドル付近までを目指す流れ継続へ。ただし下値サポート割れなら上値トライ失敗、920ドル近辺までを目安に下値トライへ。
ドル円は148銭のドル安円高、1.03%の続落。東京朝の143円50銭台が高値となって軟調推移、2日前の上ヒゲ陽線からの巻き戻しの流れが継続。日経平均の大幅安とともに143円割れ、142円80銭台で下げ渋ると欧州時間にかけて143円40銭付近まで反発。しかし、これも続かずNY朝にかけて再び143円割れ、米7-9月期GDPなど複数の指標悪化を受けて142円00銭台まで急落。ゆるやかに上昇する200日移動平均線(142.72)を割り込み、今朝の東京市場では一時141円90銭の節目割れを試す場面も。米11月PCEでインフレ鈍化の度合いが強まるようなら一段安トライへも、141円90銭割れなら短期下値目安は141円前後まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/21終値とチャート
22日の国内金価格は-27円、0.26%の続落。反発一服後の下落局面継続で、12月18日(10115)から20日(10326)までの38.32%戻し(10245)を達成し、半値戻し(10221)付近に。210円程の広めのレンジ半ばから、米11月PCEの結果次第では振れ幅拡大の展開にも。10330円超へと抜け出すようだと12月最高値(10819)から12月安値(10115)の38.2%戻し(10384)近辺までが短期上値目標に。10110円を割り込むようなら10040円程度までの一段安も。
週間ベースでは+50円、0.49%高で3週ぶりの反発。
プラチナ価格は-26円、0.54%安で4日ぶりの反落。4750円の節目上抜けに伴う短期上値目標4820円台辺りまでを目指した流れは4800円の大台超えで失速。9日移動平均線(4723)が21日移動平均線(4727)に届かず、勢いが少し足りずに中期三角保合い上限ラインのプレッシャーに跳ね返された格好にも。あらためて4810円超へと抜け出すことができれば中期レジスタンス上抜けへ、短期的には4850円程度までの一段高へ。
週間ベースでは+31円、0.65%の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格12/22とチャート
- 2023年12月22日(金)時点の相場
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国内金 : 10,232 円 12/22(金) ▼27(0.26%) 国内プラチナ : 4,777 円 12/22(金) ▼26(0.54%) NY金 : 2,051.3 ドル 12/21(木) ▲3.6(0.18%) NYプラチナ : 970.3 ドル 12/21(木) ▼3.7(0.38%) ドル円 : 142.10 円 12/21(木) ▼1.48(1.03%)
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