金プラチナ短期相場観
高水準が続いていた米求人件数も今年最低水準へと急減速
更新日:2016年10月13日(木)
米労働省が12日発表した8月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は544.3万件。市場予想の580万件程度を大きく下回り、過去2番めの高水準となった7月の583.1万件(587.1万件から下方修正)からも38.8万件の大幅減少。今年最低となり、昨年12月(528.1)以来、8カ月ぶりの低水準。
前月まで好調そのものだった状態から、一転しての急減速となっています。
歴史的高水準に達したことに伴い、統計上の問題などによる単なる乱高下状態に過ぎない可能性もありますが、年間平均では2014年の456.5万件、2015年の531.5万件、2016年には564.5万件へと急拡大し続けてきた求人件数が、次月以降の状況次第では今年がピークとなる可能性にも警戒することになります。
その他の指標では、求人率が前月の3.9%から3.6%へと8カ月ぶりの低水準へと急低下。ただし、回復目安となる3%を既に大きく超える水準を維持。
自発的な離職を示す退職率は3カ月連続の2.1%で回復目安2.1%に達した状態での横ばい推移となり、好結果と言える状態。解雇率も3カ月連続の1.1%で回復目安1.4%を下回る水準にまで改善済。採用率は3カ月連続の3.6%で回復目安3.8%まであと少しの状態での足踏み状態が継続。
非農業部門雇用者数や失業率、失業保険申請件数などと同様に、ともに米労働市場を牽引してきた求人件数にも拡大基調急減速の兆しが見られ、改善基調の頭打ち状態となってきた可能性もありそうです。
FOMC議事要旨でも多くのメンバーが指摘していた「労働市場に幾分の弛み」が、逆に再拡大しかねない状況への警戒感も高まることになりそうです。
12日のNY金相場は0.17%の小幅続落。前日に7カ月ぶり高値水準へと急騰していたドルインデックスはこの日も上値を伸ばして97.99ポイントまで上昇。ドル高優勢の流れが続き、金の上値は重い。それでも1250ドルラインを維持して耐える展開、FOMC議事要旨では12月利上げ織り込みがさらに進行するものでもなく、1250ドル台半ばへと小反発。ドル高警戒感の高まりが金の売り圧力を緩和し、1260ドル付近まで上昇してきた200日移動平均線が上値抵抗線となりつつある保ち合い相場。短期的な流れはまだ下向き優勢ながら、小幅保ち合いブレイクで上下どちらへも20ドル前後の値動きも。
NYプラチナ相場は0.83%の続落、3月2日(936.2)以来、7カ月ぶりの安値水準に。極端な売られ過ぎ状態が続いても、南アランド急落からの反発にも追随できない地合いの弱さに金との価格差は過去最大を更新し続けた6月末以来となる310ドル台まで再拡大。RSIが1桁台まで低下し、90日移動平均乖離率も2桁台へと急拡大、サポートラインとなり得る940ドル台を維持したこと、そして金との価格差が300ドル超へと拡大したことも合わせて反発への可能性は昨日よりもいっそう高まる。910ドルまでの下値警戒感も抱えつつ。
ドル円は0.68%の反発で9月2日終値をわずかに上抜けて7月28日(105.26)以来、2カ月半ぶりのドル高円安水準に。米10年債利回り上昇などもあり、ロンドンフィキシング(日本時間24時)の急騰で104円40銭台まで水準を切り上げると、FOMC議事要旨では期待以上の内容は見当たらず小康状態へ。102円台後半から104円までの小幅保ち合い上抜けに伴い、ドル高円安基調継続の可能性は高まるもドル高警戒感との攻防、目先の上値目安は105円付近まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/12終値とチャート
13日の国内金価格は0.76%の反発。若干の下値余地を残した状態で元の保ち合い水準へと反発したことで、底打ちへの可能性も多少高まる状況へ。4530円台の節目を突破できれば短期上昇トレンド形成で4600円近くまでが当面の目標水準に。4470円の安値をあらためて更新した場合には底値模索の展開継続で4400円割れを試す可能性も。
プラチナ価格は0.5%の上昇で4日ぶりの反発。予想通りの反発もかなり控えめ。2番底形成への可能性を残した前日価格を仮の下げ止まり水準とすれば、今後の流れが変わり始めるための目安水準としては、7月末以降の下げ幅の23.6%戻しとなる3545円付近までは戻したいところ。仮の下げ止まり水準を割り込むようなら、年初来安値付近、3330円台までの下落も見込まれる。
※参考:金プラチナ国内価格10/13とチャート
- 2016年10月13日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,507 円 10/13(木) ▲34(0.76%) 国内プラチナ : 3,399 円 10/13(木) ▲17(0.50%) NY金 : 1,253.8 ドル 10/12(水) ▼2.1(0.17%) NYプラチナ : 941.9 ドル 10/12(水) ▼7.9(0.83%) ドル円 : 104.20 円 10/12(水) ▲0.71(0.68%)
日銀でも、ミシガン大でもNY連銀でもインフレ期待は急降下中 10/14(金)
高水準が続いていた米求人件数も今年最低水準へと急減速 10/13(木)
2009年以来7年ぶりの低迷続く労働市場情勢指数(LMCI) 10/12(水)
米大統領選第2回テレビ討論会、勝者なし?不透明感続く 10/11(火)
雇用統計はそれなりの好結果で日米3連休前に材料出尽くし 10/8(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン