金プラチナ短期相場観
年末に向けて賃金上昇率加速を示唆する賃金上昇トラッカー
更新日:2016年10月22日(土)
米アトランタ連銀が20日公表した9月の「賃金上昇トラッカー」は前年比+3.6%。8月の+3.3%から急反発し、6月と並び2009年1月(+3.6%)以来、7年8カ月ぶりの高水準となりました。
この指標は、サンフランシスコ連銀で開発された方法論に基づき、アトランタ連銀が独自に発表する個人の賃金上昇尺度を示す指標です。
米労働省が発表する雇用統計を基礎データとし、人口調査などのミクロデータを加味し、個人時給の中央値の前年比伸び率を3カ月平均で示した数値とのこと。
雇用統計で発表される平均時給の前年比伸び率でも、現状は堅調推移の状況にあり、7月時点で+2.72%と2009年6月(+2.88%)以来7年1カ月ぶりの高水準まで上昇。ただし、その後8月に+2.43%へと急反落し、9月に+2.59%まで戻した状態。
賃金上昇トラッカーと雇用統計の平均時給の伸び率では、方向性は当然同じながら、乖離幅が拡大する場面が多々見られます。
2009年のリセッション時に最低水準をつけた時の下落局面、2014年の上昇局面、そして最近の動向など、水準が変わろうとする局面では賃金トラッカーが先行し、平均時給が遅れて追随するような動きになりやすいようです。
賃金上昇トラッカーの最近の上昇基調と、平均時給の上昇度合いとの乖離状態からすると、今後年末に向けて平均時給の伸び率も、もう一段の加速が見込めそうな状況のようにも見えます。
21日のNY金相場はわずかに0.2ドルの小反発。対ユーロなどを中心にドル買い優勢となったなかでは底堅く推移。しかし、1260ドル台での推移に終始、上下の値幅7.1ドルは年間平均19.1ドルの3分の1、今年2番めの小動き。1250ドルラインを下限とした保ち合い形成の様相で、上値は1280ドル台へと切り上げようとする動きもなかなか進まない状況。流れはゆっくりと反発方向優勢だが。
週間ベースでは+12.2ドル(0.97%)で続伸。
NYプラチナ相場は0.33%の小幅安となって3日続落。NY市場朝には保ち合い下限930ドルラインを一時的に割り込み、2月29日(911.0)以来ほぼ8カ月ぶりの安値水準となる927ドルまで下げて反発、しかし上値も930ドル台後半までと限定的。この日の変動値幅9.8ドルにとどまり、2桁に届かないのは今年初、2015年8月5日(9.7ドル)以来1年3カ月ぶりの小動き。流れは好転寸前の状態ながら、ズルズルと上値を押さえられる展開が続き下限割れへの警戒感も高まる状況、割れると910ドル台までは下値切り下げ見込み。
週間ベースでは-7.2ドル(0.77%)、6月と8月に続き今年3度めの4週続落。
ドル円は0.11%の反落。対円以外ではドル買い優勢となってドル・インデックスは2月初旬以来8カ月半ぶりとなる98ポイント台後半へ。ユーロ安に伴い、ユーロ円でもユーロ安円高が進行、これに連れてドル円も一時103円50銭台まで下落。保ち合いレンジ下限付近では下値も支えられてNY市場では104円付近まで反発。103円台前半から104円台半ばまでのレンジでの保ち合い状態はもうしばらく継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/21終値とチャート
- 2016年10月22日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,536 円 10/21(金) ▲10(0.22%) 国内プラチナ : 3,353 円 10/21(金) ▼28(0.83%) NY金 : 1,267.7 ドル 10/21(金) ▲0.2(0.02%) NYプラチナ : 932.3 ドル 10/21(金) ▼3.1(0.33%) ドル円 : 103.83 円 10/21(金) ▼0.12(0.11%)
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