金プラチナ短期相場観
日銀短観・想定為替レートと実勢為替レートの推移
更新日:2016年10月3日(月)
日銀が今朝発表した9月の日銀短観での2016年度下期の想定為替レート(大企業・製造業)は107.42円(通年では107.92円)となりました。前回6月短観での2016年上期想定為替レートは111.46円(通年では111.41円)でした。
日銀短観での該当期末の想定為替レート(9・12月は下期想定為替レート、3・6月は上期想定為替レート)と、実勢為替レート(実際の為替レート:月間平均値を使用)との推移を比較するためにチャート化してみました。
2016年1月までは、日銀短観の想定為替レートを実勢為替レートが上回る(より円安)状態が続きましたが、2016年2月以降は実勢為替レートが想定為替レートを下回る(より円高)状態が続きます。大企業・製造業の大半が、2016年1月までは為替差益によって収益が押し上げられ、2月以降は為替差損によって収益悪化状態に陥っていることになります。
想定為替レートと実勢為替レートの乖離は、近年では2014年11月時点が最大で、想定為替レートは100.63円、実勢為替レートは116.40円。想定レートの実勢値に対する乖離率は-13.55%となっていました。翌月2014年12月短観で想定為替レートは104.04円に引き上げられ、実勢為替も119.43円へと上昇、乖離率は-12.89%とやや低下。2015年2月までは乖離率絶対値で10%超(12%台)の状態が続き、それ以降は縮小していきました。
なお、2013年9月以降の乖離率は絶対値平均で5.90%。10%超は乖離し過ぎの状態とも言えます。
2014年末以降は行き過ぎた円安状態と見て、それほど想定為替レートを引き上げなかった企業が多かったことになります。そして実際にそのとおりに、乖離幅は縮小し、逆転することになります。
2016年8月時点では、想定為替レートは111.46円(6月短観の数値)、実勢為替レートは101.30円。想定レートの実勢為替レートに対する乖離率は+10.03%。円高方向へと乖離し過ぎの状態となっていました。
今回9月の想定レート引き下げによって乖離率は+5.49%と平均的水準まで縮小することとなりました。
まだ5.5円以上も乖離した状態ながら、現状は行き過ぎた円高、と見ている企業が多いことになります。
過去の流れを見ても、乖離率は今後、もう一段縮小する可能性もありそうです。
ただし、行き過ぎた円高、との見立てどおり、実勢為替レートが円安方向へと向かうことによって乖離率が縮小するのか、3カ月後に想定為替レートをさらに引き下げることになるのかは、10-11月の実勢為替レートの動向次第、となります。
3日の国内金価格は0.11%の小幅続落。比較的静かな週明け、NY金も為替も前週末とほぼ同水準での小動き状態からのスタート。流れは変わらず9月初旬起点の短期下落トレンド継続中で若干の下げ余地を残す状況。ただし直近安値9月28日の4589円も割り込まず、8月安値4580円手前で下げ渋りの様子も。割り込んだ場合には6月安値4540円台までは下げやすく、かつ、サポートもされやすいところ。反発に向けては最近の抵抗線となっている9日移動平均線(4610円)超えが目先の節目、さらには4650円がトレンド転換に向けての重要水準。
プラチナ価格は0.53%の反発。安値圏での乱高下気味の推移から三角保ち合いを形成、目先の上下の節目は3620円台と3580円台。上抜けなら短期トレンド転換に向けて3700円台へと上値を伸ばす可能性、下抜けなら短期トレンド継続で次の下値目安は3510円付近まで。金と比較しても下押し圧力はかなり後退中。
※参考:金プラチナ国内価格10/3とチャート
- 2016年10月3日(月)時点の相場
-
国内金 : 4,590 円 10/3(月) ▼5(0.11%) 国内プラチナ : 3,606 円 10/3(月) ▲19(0.53%) NY金 : 1,317.1 ドル 9/30(金) ▼8.9(0.67%) NYプラチナ : 1,028.6 ドル 9/30(金) ▼2.2(0.21%) ドル円 : 101.41 円 9/30(金) ▲0.39(0.38%)
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