金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

米実質金利との関係から見るNY金相場は下げ過ぎか?

更新日:2016年11月19日(土)

米・実質金利とNY金相場の推移 2016年11月米国の名目金利の基準となる10年債利回りは、これまで低下傾向が続きましたが、トランプ次期大統領誕生とともに急騰しています。また、インフレ率の代表指標である消費者物価指数(CPI)も原油安に伴う低迷が続きましたが、2015年後半からは上昇傾向にあります。この名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利の動きにも足下で変化が見られます。

米10年債利回りは月間平均で7月に1.48%台まで低下後反発、8月は1.55%、9月は1.62%、10月は1.75%台。そして11月は第3週終了時点で2.04%まで上昇しています。
CPIは7月の0.8%から8月1.1%、9月1.5%、10月は1.6%へと上昇。
結果、実質金利は7月の0.69%から8月に0.455%、9月には0.124%まで低下、10月には0.154%へと小幅上昇。

実質金利と逆相関関係にあるNY金相場は、7月の月間平均は1338.2ドル、8月の1344.5ドルがピークとなって9月には1329.6ドルへ小幅下落、10月には1266ドルとなり、11月は現時点で1258.4ドルとさらに下落。
逆目盛りにした実質金利の推移とNY金相場の推移は非常に似通った動きが続いています。

10月時点では実質金利の上昇に対して、NY金相場は先行して下げ過ぎのようにも見えますが、11月の状況を考慮するとそうでもない、と見ることもできます。

仮に、CPIが11月に1.7%へとさらに上昇した場合、米10年債利回りは18日時点で2.34%まで上昇してはいますが、ジェフリー・ガントラックが予想する年末までの上限2.35%を一時的に超えることはあっても長続きはしないものと想定し、11月の月間平均では2.3%までにとどまるものと仮定します。
この場合の実質金利は11月に0.6%まで急騰。(チャート上の点線:急落)

こうなると、NY金相場の下落余地はもう少しあってもしかるべき、と見るべきかもしれません。
現時点の11月の月間平均1250ドル超はやや下げ渋り過ぎ、の感もあり、チャート上の点線で示す1200ドル台前半へと低下すると、ちょうど程良い連動性を示す推移となります。そうなるためには、11月後半にかけてのNY金相場は、現状の1200ドル近辺での横ばい推移が続くか、あるいは一時的に1200ドルの大台を割りこむ可能性も十分にありそうです。

米実質金利との関係から見たNY金相場の現状は、決して下げ過ぎではなく、かといってまだまだ下落余地が大きく残される状態でもなく、妥当な水準?と言えるかもしれません。

NY金・日足チャート 2016/10/20 - 11/1818日のNY金相場は0.67%安となって3日続落。2月16日(1,208.2)以来、9カ月ぶりの安値水準に到達。東京時間から下限候補1210ドルの水準を割り込み、1200ドル台での推移となり、欧州時間には一時1201ドルまで下落。ドル高の調整局面での反発も1217ドルまでと限定的、NY市場では失速しそうでしない金利上昇・ドル買いの流れ再開に押されて1200ドル台へと反落。目先の反発目安は今週ことごとく上値を押さえられた1230ドル台前半まで。下方向は心理的節目1200ドルラインでどこまで耐えられるか。昨年末安値から今年高値までの半値戻し(1211.5)を下回ったことにより、心理的節目を突破すると次の目安は61.8%戻し(1172.3)の水準が意識されやすく。
週間ベースでは-15.6ドル(1.27%)で続落。

NYプラチナ・日足チャート 2016/10/20 - 11/18NYプラチナ相場は2.44%の大幅続落となり、2月26日(915.1)以来9カ月ぶりの安値水準へ。930ドルの重要なサポートライン割れを試す展開は東京時間朝から続き、その攻防は欧州時間まで。ドル高の流れが再開したNY市場朝には一段安となって一時915ドルまで下落。930ドルの節目水準割れに伴う下値目安の最小レベル910ドル台にも早速到達。心理的節目となる900ドルラインは過去にそれほど存在感を示せず、次の下値目安は870ドル付近まで。反発の目安は当面950ドルまで。
週間ベースでは-21.2ドル(2.25%)の続落。

ドル円・日足チャート 2016/10/20 - 11/18ドル円は0.7%のドル高円安で続伸、5月30日(111.11)以来のドル高円安水準に。欧州時間にやや一方的に進行した調整局面も109円80銭付近までで反発。米金利上昇に連れて日本の10年債利回りも2月以来9カ月ぶりのプラス圏に上昇してはいるものの、日銀のイールドカーブ・コントロールが機能して目標水準0.0%近辺での推移にとどまり、当の米10年債利回りは急騰一服後もジリ高で1年ぶりの水準まで上昇。日米金利差拡大傾向も継続し、金利差とドル円の相関係数も90日で0.866台、30日間では0.939台まで上昇。やや一方的な流れが続き、いつ大幅調整が入ってもおかしくはないが、昨年高値から今年安値の半値戻し112円前半を試す可能性も高まってきた。
週間ベースでは+4.26円(3.99%)で大幅続伸。英EU離脱決定後の反発局面となった7月11日からの週(+4.32%)以来の大幅高。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/18終値とチャート

2016年11月19日(土)時点の相場
国内金4,597 円 11/18(金) +-0(0.00%)
国内プラチナ3,531 円 11/18(金) ▼21(0.59%)
NY金1,208.7 ドル 11/18(金) ▼8.2(0.67%)
NYプラチナ922.0 ドル 11/18(金) ▼23.1(2.44%)
ドル円110.92 円 11/18(金) ▲0.77(0.70%)

11/18(金)のその他主要マーケット指標

米大統領選後の新興国通貨・日本円・NY金の下落率 11/21(月)

米実質金利との関係から見るNY金相場は下げ過ぎか? 11/19(土)

住宅着工件数は34年ぶり、失業保険申請件数は43年ぶり 11/18(金)

トランプ相場一服で米10月鉱工業生産も予想下振れ 11/17(木)

10月小売売上高も11月NY連銀製造業もトランプ相場を支援 11/16(水)


短期相場観~よく読まれた記事一覧

明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想

PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン

PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン


RSS金プラ短期相場観 RSSリーダーで金プラチナ短期相場観を購読


ページの先頭へ