金プラチナ短期相場観
バーナンキ・ショック
更新日:2013年6月21日(金)
市場の沈静化を図ろうとした19日のバーナンキFRB議長の記者会見以降、その目的は果たされることなく、リスクオフの流れが続きます。
量的緩和の出口論が具体化したことで、マーケットの先読みはバーナンキ議長の予想を超える動きを見せ始め、さながらバーナンキ・ショックの様相となっています。
大荒れの株式市場では、NYダウが350ドル超、2.3%の下落で今年最大の下げ幅となり、英FTSEは-3%と2011年9月以来の下落率で1月以来の安値。ドイツDAXも3.3%の下落。日経平均も一時300円を超える下落となっています。
債券市場も下落し、米10年債利回りは昨年来高値を更新し2.41%台へ。
商品市場で金・プラチナ(後述)を上回る下落率となったのは銀。8.32%の急落で1トロイオンスあたり20ドルを割れ、年初からは36%も下落。
最も変動が大きかったのは、VIX指数。投資家の不安心理を示すこの恐怖指数は、今年最大となる20.49をつけて前日比では23.1%の上昇。目安とされる20を超えるのは昨年末以来。
しかし、過去のVIX指数の推移を見ると、今回のリスクオフ局面は、今のところ、それほど心配するような局面でもなさそうです。
NY市場、金は4月15日の暴落時の9.34%に次ぐ今年2番めの下げ幅で6.39%の急落。目標地点1,310ドル付近を超えて、1,300ドルの大台割れ、2010年9月末以来、2年9ヶ月ぶりの水準。量的緩和早期縮小観測に伴う株式市場や債券市場などの一時的なリスク回避の流れに金市場も巻き込まれた形。少しの間は乱高下が続く展開も予想されるところ。
プラチナも4.22%の大幅下落となり、やはり4月15日の-4.75%に次ぐ急落。なんとか下値メド1,360ドル近辺で下げ止まった形。こちらも乱高下状態で、さらに行き過ぎる可能性もあるものの、採算ラインとも言われる1,400ドルの長期サポートラインを割れてきており、相場全体の落ち着きとともに戻す展開も考えられる。
ドル円は4日続伸。為替市場も不安定な動きのなか、米ドルだけは買われる傾向でドル円も一時98円台前半まで上昇。しかしリスク回避に伴う円高との綱引きでドル円の不安定さにもしばらく警戒が必要か。サポートラインは94円、上値抵抗は98円80銭。
※参考:金プラチナ価格とドル円 NY市場6/20終値とチャート
国内、金価格はいったん反発どころか8日続落でしかも3.8%の大幅下落。円安を帳消しにするNY市場の大幅下落によって2番底を突き抜けて年初来安値を大きく更新。昨年8月3日以来の水準に。この4,200円前後の水準は2012年5月から8月までの揉み合いの水準であり、サポート帯となる可能性はあります。
週間ベースでは-255円、-5.77%で3週続落。
プラチナも3.5%の大幅下落で今年安値の4,480円では下げ止まらず。4,200円割れのリスクが浮上、メドとしては4,170円近辺。ちょうど昨年秋の下落局面で下げ止まった水準。上値抵抗は4,610円。
週間では-288円、-6.18%、プラチナも3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格6/21とチャート
- 2013年6月21日(金)時点の相場
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国内金 : 4,164 円 6/21(金) ▼164(3.79%) 国内プラチナ : 4,371 円 6/21(金) ▼160(3.53%) NY金 : 1,286.2 ドル 6/20(木) ▼87.8(6.39%) NYプラチナ : 1,363.8 ドル 6/20(木) ▼60.1(4.22%) ドル円 : 97.24 円 6/20(木) ▲0.82(0.85%)
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