金プラチナ短期相場観
コアPCEは9年4ヵ月ぶり低水準、低インフレの底打ち確認できず
更新日:2020年6月27日(土)
米商務省が発表した5月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)で、食品とエネルギーを除くコアPCEは前年比+1.02%。小数点以下2桁で比較すると、4月の+1.04%からも小幅に低下し、3ヵ月連続の低下。2011年1月(1.02)以来、9年4ヵ月ぶりの低水準となり、リーマンショックから世界金融危機の頃の低インフレ期以来の低水準となっています。
商品価格は4月の前年比-2.0%から5月は-2.1%とデフレ状態が進行。インフレを牽引してきたサービス価格は4月の+1.7%から5月は+1.8%と小幅に上昇も、2ヵ月連続の2%割れとなったことも影響。
今月のFOMCで示されたインフレ見通しの中央値では、コアPCEは今年の年末で1.0%、2021年末には1.5%、2022年末でも1.7%と低インフレの長期化が予想され、目標水準2%回復は2年半後でも未達との予想。
ただし、予想レンジとしては2020年末が0.7%-1.3%、2021年末には1.2%-2.0%、2022年末は1.2%-2.2%。
今年、1%割れへとさらに低下を予想するハト派メンバもいますが、逆に1年半後には目標水準回復を予想するタカ派メンバも一部にはいるようです。
過去を振り返ると、リーマンショック後には、2008年9月の前年比+2.08%まで目標2%超を維持し、10月に+1.75%となって以降は急低下、翌年2009年7月には前年比+0.91%まで低下して底打ち。
急反発は8ヵ月続いて2010年3月の+1.74%で頭打ち、目標2%手前で失速、再び低下基調となって2010年12月には+0.90%まで低下。二番底をつける形となって再度底入れ反発基調へ、そこから1年後の2011年12月には+2.06%と目標水準に到達。
最短では、二番底からの目標到達まで1年。急落後の底値圏からの目標水準回復までは2年5ヵ月。
また、2015年7月の+1.18%での底打ち後は、2018年3月の2.03%で目標到達まで2年8ヵ月を要しました。
いずれにしても、近年の実績として前年比+1%付近まで低下した状態から2%回復までは、最短でも1年、2年半程度かかる可能性はかなり高い、とも言えそうです。
ただし、コアPCEも、コアCPIも、コアPPIも全て、5月時点では低インフレ状態の底打ち確認すらできていません。
26日のNY金相場は+9.7ドル、0.55%高で3日ぶりの反発。前日の調整一服はこの日の時間外まで継続、1770ドルをはさんでの小幅保ち合い推移から、NY朝には調整再開となって1750ドル半ばまで売り先行。しかし、米国では1日当たりの新型コロナウイルス感染件数が25日に過去最多を更新したことなどが伝えられ、テキサス州とフロリダ州では感染者急増を受けてバー・レストランなどの営業再停止や制限強化などを発動。感染第2波と経済活動の抑制策再開への警戒感などから米株が急落、ダウは700ドル超の急反落、ナスダックも2.5%超の反落で1万ポイント割れなどリスク回避の流れが急速に進行。サポート候補1750台で切り返したNY金はNY午後には1780ドル台を回復。下へ行って来いとなって長めの下ヒゲを残し、高値引けの状態で1780ドル台半ばへと水準を切り上げて週末。この週末に米国の感染者数が一段と増加したり、経済活動抑制の動きが拡大するようだと、週明けにもリスク回避の流れが継続することにも。1770ドルから1780ドル台までの小幅保ち合いを形成した状態からの上方ブレイクの可能性も想定され、そうなれば週明け早々の高値トライで1800ドルの大台ワンタッチ、といった展開にも。反落後に1770ドルのサポートを割れた場合には1750ドル前後までが調整目安に。
週間ベースでは+17.6ドル、1%高で3週続伸。
NYプラチナは+16.6ドル、2.07%の反発。810ドル付近で下げ渋る状態から、NY午前には金に連れて下押しも800ドル割れを回避すると、反発局面では820ドルへ。ただし引け後には810ドル半ばへ。770ドルの下値目安に向けた流れはいったん巻き戻された形とはなったものの、反発の勢いはそれほど強くはなく、5月20日高値を起点とした下降チャネルの範囲内での小反発。流れが変わるためには抵抗線となりやすい20日移動平均線(839.8)を超え、850ドルの節目を超える必要。800ドルの下値サポートを割り込むようなら、再度770ドル付近を下値目安に一段安の展開にも。
週間ベースでは-24.6ドル、2.97%の反落。
ドル円は5銭程度のドル高円安となって小幅に3日続伸。東京時間には107円10銭をはさんでの小幅保ち合いで小康状態、欧州時間には売り優勢となって107円を割れると106円80銭近辺まで下落。NY時間には米国の感染再拡大を受けての株安急進にドル買いの流れとなって反発、107円を回復すると一時107円30銭台まで上昇。しかしリスク回避の円高の流れもあって一方的な流れは形成されず、107円20銭近辺に収束。引き続き106円半ばから107円台半ばまでのレンジで綱引き状態の保ち合い継続の様相にも。
週間ベースでは+34銭、0.32%のドル高円安で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/26終値とチャート
- 2020年6月27日(土)時点の相場
-
国内金 : 6,622 円 6/26(金) ▲2(0.03%) 国内プラチナ : 3,019 円 6/26(金) ▲1(0.03%) NY金 : 1,780.3 ドル 6/26(金) ▲9.7(0.55%) NYプラチナ : 819.3 ドル 6/26(金) ▲16.6(2.07%) ドル円 : 107.23 円 6/26(金) ▲0.05(0.05%)
感染者1000万人超、米250万人超。株高警戒感から金は一段高も 6/29(月)
コアPCEは9年4ヵ月ぶり低水準、低インフレの底打ち確認できず 6/27(土)
四半期平均で過去最高値更新へ、NY金の6月末の攻防 6/26(金)
IMF世界経済見通し-4.9%に下方修正、プラス成長は中国のみ 6/25(木)
ユーロ圏総合PMI、景気縮小4ヵ月も5-6月は大幅緩和 6/24(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン