金プラチナ短期相場観
実質金利低下がNY金の反発局面をサポートする?
更新日:2020年12月23日(水)
足下で米10年債利回りは0.9%台で上げ渋り、期待インフレ率(BEI)はコロナ後の株価上昇に連れる形で上昇傾向が続き1.95%、2019年4月30日(1.95)以来1年7ヵ月ぶり高水準。その結果、実質金利は下落基調再開。
これに対してNY金は11月末からの反発基調も上下動を繰り返す形となって実質金利の下降基調には追随し切れない状態となっています。
11月初旬のファイザー×ビオンテックのワクチン報道以降、ワクチン相場となってNY金の調整局面が急速に進行した場面では実質金利とは逆行状態にもなり、逆相関関係が崩れつつあります。
NY金と実質金利との90日相関係数は今年、近年まれに見る強い逆相関関係を示していました。年初からほとんどの期間、-0.9台での推移が続きましたが、11月初旬に-0.9割れ、12月初旬には-0.7を割り込み、22日時点では-0.5割れ。
90相関係数では今年最大、逆相関関係を維持しながらもその弱さは今年最大、昨年6月以来の水準。
ただし、過去の推移を見ると、90日レンジの相関係数では上下動を繰り返し、しばしばプラス圏(相関関係)となる場面も見られます。それでもマイナス圏(逆相関)での推移時間のほうが圧倒的に長く、しばしば-0.5超の強めの逆相関状態となってきました。
NY金と実質金利との強めの逆相関関係は、足下で若干緩み始めてはいますが、いずれまた強まることも予想され、逆目盛にした実質金利の低下基調にもう少し接近していくような展開も予想されます。
22日のNY金相場は-12.5ドル、0.66%安となって3日続落。16日(1859.1)以来、1週間ぶりの安値。ユーロドルが先週末時点で2年8ヵ月ぶり高値1.2270ドル台まで上昇し、ドルインデックスも2年8ヵ月ぶり安値となる90ポイント割れまで下げたところでドル安の流れが一服。週明けからは英国発コロナ変異種懸念などからドル高の流れが継続。NY朝には米7-9月期GDP確定値が+33.4%と市場予想を0.3ポイント上回ったことなどが好感されて米ドルが一段高となったことにも押されて1880ドル台から1870ドル割れへと軟調推移。NY引けにかけては1870ドルが抵抗線となりつつあるような様子も。ただし今のところは前日安値1859ドルを下回らず、軟調な流れがまだまだ続くような状況にもなさそう。クリスマスに向けての閑散状態から動意低下かもしくはその逆も想定されるなか、11月末安値(1767.2)から12月高値(1912.0)までの38.2%戻し(1856.7)付近が目先のサポート候補。上方向には90日移動平均線(1900.5)が当面の抵抗水準に。
NYプラチナは-6.7ドル、0.66%安で3日続落。12月1日(1003.9)以来、20日ぶりの安値。12月に入ってから終値ベースで1000ドル超を維持してきた流れに黄色信号。時間外からNY市場まで節目の1010ドルをはさんでの保ち合いとなった展開でNY終値ではわずかに節目割れ。引け後には1010ドル台を回復する動きも見られるものの、再度下値トライへと向かえば大台割れ、一段安の展開へ。当面の下値目安は11月末水準970ドル近辺まで。
ドル円は30銭ほどのドル高円安、0.3%高で3日続伸。12月15日(103.68)以来、1週間ぶりの高値。103円30銭台を中心に小康状態が続いた後、NY市場では米GDP上振れなどをきっかけにドル高の勢いが強まり、ドル高円安の流れとなって103円70銭台まで上昇。しかしコンファレンスボード発表の米12月消費者信頼感指数が88.6と低調、事前予想の97.0を大幅に下回って11月(96.1)からも急低下、4ヵ月ぶりの低水準となったことを受けて失速。NY終盤から今朝の東京市場にかけては軟調推移となって103円50銭台へ。なお、前日の欧州委員会と米ミシガン大発表の消費者信頼感指数の推移とは逆行。コロナ動向など日々めまぐるしく変化する状況を反映している様子も。103円10銭から104円30銭までのレンジで徐々に下押し圧力は緩和。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/22終値とチャート
23日の国内金価格は-45円、0.66%の続落。12月17日(6780)以来、1週間ぶりの安値。ゆるやかに上昇する9日移動平均線(6767)、一目均衡表の転換線(6763)などを上回る水準は維持し、一役好転状態はキープしながらも8月以降の下降チャネルを抜け出した流れは急失速。脱・下落トレンドをかけた攻防はいきなり防戦状態にも。6660円台から6860円までが当面の主要レンジとなり、上抜けできれば脱・下落トレンドへの流れも加速、6950円近辺までが上値目標に。3月安値から8月最高値までの半値戻し(6662)にも相当する6660円台の節目を下抜けると下落トレンド延長戦が加速、6600円割れを目指す流れへ。
プラチナ価格は+13円、0.36%高で3日ぶりの反発。前日の急落で下値トライへの警戒感が強まった流れを巻き戻すまでには至らず、引き続き3550円程度までを下値目安に軟調な展開優勢の状態。なお、一目均衡表の転換線(3687)を既に下抜けて三役好転は崩れ始めており、下押し圧力がジワジワと強まる状況にも。年明けの雲のねじれ付近に向けて軟調な流れが続く可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格12/23とチャート
- 2020年12月23日(水)時点の相場
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国内金 : 6,780 円 12/23(水) ▼45(0.66%) 国内プラチナ : 3,648 円 12/23(水) ▲13(0.36%) NY金 : 1,870.3 ドル 12/22(火) ▼12.5(0.66%) NYプラチナ : 1,009.4 ドル 12/22(火) ▼6.7(0.66%) ドル円 : 103.64 円 12/22(火) ▲0.31(0.30%)
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