金プラチナ短期相場観
低調なNFPにも労働市場改善でタカ派シナリオに変化なし
更新日:2021年12月4日(土)
米11月雇用統計は強弱混在、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが予想外に今年最低水準へと鈍化したことでファースト・インプレッションは小幅にドル売りで金買い優勢に。しかし、失業率は10月の4.6%から11月は4.2%へと急低下。市場予想の4.5%も下回り、2020年2月(3.5)以来1年9ヵ月ぶりの低水準。しかも労働参加率も61.8%となって10月の61.6%から上昇し、2020年3月(62.6)以来1年8ヵ月ぶりの高水準。過去の推移から見れば労働参加率は低すぎるとの見方もあるものの、短期的には労働市場改善を裏付ける推移にも。
結果的には12月FOMCでのテーパリング終了前倒しと来年の利上げ見通し2回のややタカ派寄りのシナリオに変化をもたらす程でもなく、しかし米10年債利回りは雇用統計後に1.45%近辺まで上昇して急失速。NY終盤までに1.35%辺りまで、2ヵ月半ぶり低水準へとほぼ一本調子で低下した流れに連れ、株安とドル安の流れも追随。
インフレ高止まりとその対応に追われることになるであろうFRBの金融政策動向の先行き不透明感、今回の雇用統計には反映されていないオミクロン株がもたらす今後の影響と先行き不透明感などを反映した動きとなったようにも見えます。
その他指標では、平均時給の賃金上昇率が前年比+4.80%となって市場予想の+5.0%を下回り、前月の+4.84%からはやや鈍化。インフレ押し上げ要因の一つとしてはやや軟化。
広義の失業率、U6失業率は7.8%となって前月の8.3%から急低下、これも失業率と同様2020年2月(7.0)以来の低水準へと改善。
黒人の失業率も前月の7.9%から6.7%へと急低下、これも2020年2月(6.0)以来の低水準。
その一方で、長期失業者の割合は前月の31.6%から32.1%へ、5ヵ月ぶりに小幅悪化。
また、非農業部門雇用者数(NFP)の総数では、コロナ前の2020年2月の水準回復までは残り390万人。
これを前月比増減数の3ヵ月平均+37.8人で割ると、100%回復までの所要期間は11ヵ月。現状ペースでは、NFPの完全回復見込みは来年10月、ということに。
3日のNY金相場は+21.2ドル、1.2%の反発で前日下落分を帳消し。雇用統計を控えた時間外は1770ドルを挟んで上下10ドル程度の小幅保ち合い推移、NY朝には強弱混在となった米11月雇用統計の結果に乱高下の反応。1780ドルまで急騰後には1760ドル台半ばまで反落して下げ渋り、NY午後には1.45%付近で頭打ちとなった米10年債利回りが2ヵ月半ぶり低水準となる1.3%台へと急反落、ドル安と米株安の流れにもサポートされて1780ドル台へと急反発。高値では1790ドルに少し届かなかったものの、1785ドルを挟んでの小幅保ち合い状態で週末を終了。短期下値目安1750ドル台に対しては前日安値1762.2ドルまでにとどまって切り返し、1790ドルの抵抗水準付近ではしっかり上値を押さえられ、1791ドル前後で並行推移の90-200日移動平均線への抵抗感も継続。1760ドルから1790ドルまでのレンジで保ち合いを形成し、次週インフレ動向を確認し、第3週のFOMC待ちへ。それまででもレンジ上抜けなら1810ドルまでが短期上値目標、下限割れの場合には1730ドル近辺までが下値目標に。
週間ベースでは-1.6ドル、0.09%の小幅安で3週続落。3週続落は6月以来、5ヵ月半ぶり。
NYプラチナは-6.9ドル、0.74%の続落で9月20日(899.2)以来、2ヵ月半ぶりの安値。時間外には930ドル台から前日安値圏920ドル台半ばまで下げて前日高値付近940ドル台半ばまで反発、前日レンジ内での上下動を経て元の水準へ。NY朝には雇用統計の結果を受けて金の急騰に連れて一時950ドル台まで上昇して急反落、その後は金の反発局面には追随し切れず、米株の軟調推移に連れる形で一時920ドル割れへと下落、NY午後の反発局面でも930ドル近辺までと限定的に。目先は920ドルから940ドルまでのレンジで保ち合い形成の様相となり、下限割れなら引き続き9月安値圏900ドルの大台ライン前後までが下値目安に。上限突破できれば960ドル近辺までが短期的な戻りの目安に。
週間ベースでは-28.1ドル、2.94%安で3週続落。3週続落は8月以来、4ヵ月ぶり。
ドル円は35銭のドル安円高、0.31%の反落で前日の反発分をほぼ帳消し。東京時間の113円前後の保ち合いから欧州時間には一時113円40銭台まで上昇する場面もあったものの、113円20銭近辺に戻してNY朝へ。雇用統計後には113円ちょうど近辺まで小幅に急落後に切り返して113円60銭台まで上昇。しかしNY午後には米10年債利回りの急反落と米株の軟調推移にも連れる形で下落基調、113円50銭を割れて一段安、113円割れでさらに一段安、NY終盤には112円80銭割れで112円50銭台まで小幅に急落。その後の自律反発で112円80銭台まではなんとか戻した格好。日足では112円70銭から113円20銭までの小幅レンジで保ち合いを形成、上方向へと抜け出すことができれば10月後半の保ち合い上限114円半ばまでが短期上値目標に。下限割れなら112円割れへと一段安の展開へ。
週間ベースでは-46銭、0.41%の続落。続落は7月以来、4ヵ月半ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/3終値とチャート
- 2021年12月4日(土)時点の相場
-
国内金 : 7,036 円 12/3(金) ▼37(0.52%) 国内プラチナ : 3,717 円 12/3(金) +-0(0.00%) NY金 : 1,783.9 ドル 12/3(金) ▲21.2(1.20%) NYプラチナ : 926.2 ドル 12/3(金) ▼6.9(0.74%) ドル円 : 112.84 円 12/3(金) ▼0.35(0.31%)
高値保ち合い均衡水準で迎えるタカ派転換後初のFOMC 12/6(月)
低調なNFPにも労働市場改善でタカ派シナリオに変化なし 12/4(土)
失業保険申請件数4週移動平均で100%回復まであと18750件 12/3(金)
ユーロ圏製造業PMI、11月上昇はイタリアとフランスのみ 12/2(木)
オミクロン株リスクにもテーパリング加速へ、金も急反落 12/1(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン