金プラチナ短期相場観

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オミクロン株リスクにもテーパリング加速へ、金も急反落

更新日:2021年12月1日(水)

米主要地区連銀製造業景況感指数 2021年11月オミクロン株については、パウエルFRB議長も「物価安定と最大雇用というデュアル・マンデート実現に向けてのリスク」であると明言。前日公開されたこの日の議会証言用原稿テキスト上でそう表現していたことで、早期利上げ観測を後退させていた市場の思惑へも寄り添う格好となり、ある意味好感された面も。
しかし、蓋を開けてみれば方向感は逆転。パウエルFRB議長は11月FOMCで決定したばかりのテーパリングの加速を検討すべき、と12月FOMCでの検討と見直しを示唆。さらにインフレ見通しについては、「一過性」という言葉を使うのはやめる、と遂に自身の見通しが誤りであったことを潔く認める発言も。

この日、米製薬大手モデルナCEOの「オミクロン変異株へのワクチン効果は低下する可能性が高い」発言を受けてリスク回避の株安・ドル安・円高の流れが急速に進行し、反発基調が強まっていたNY金は米11月シカゴPMIが下振れ、消費者信頼感指数も低調となったことなどもあり、1800ドル台を回復していた状態から、パウエル発言を受けてハシゴを外された格好となって急反落。
想定外のパウエルFRB議長のタカ派転換に、オミクロン株リスクも一時的に吹き飛ばされた格好にも。

なお、シカゴPMIは60台の高水準を維持しながらも、前月から6.6ポイントの急反落となって9ヵ月ぶり低水準。
米地区連銀の製造業景況感は、月半ばまでに発表されたNY連銀とフィラデルフィアは比較的高水準を維持して11月には反発。月末に発表されたリッチモンド連銀とダラス連銀はプラス圏を維持しながらも比較的低水準で11月は反落。
コンファレンスボードの消費者信頼感指数が予想を下回って9ヵ月ぶり低水準となり、失速感が漂い始めたのと同様に、米地区連銀の11月景況感も二極化し、今後の失速を暗示しているようにも見えます。

NY金・日足チャート 2021/10/26 - 11/3030日のNY金相場は-8.7ドル、0.49%の続落で11月3日(1763.9)以来、4週間ぶりの安値。時間外は1780ドル台での保ち合いから、モデルナCEOのオミクロン株へのワクチン効果発言を受けて株安ドル安のリスク回避の流れが急進、1790ドル台へと水準を切り上げたNY金はNY市場で米11月シカゴPMIの下振れなどを受けて一段高、1800ドルの大台を突破して一時1810ドル台まで急騰。しかしNY午後にはパウエルFRB議長のタカ派発言を受けて急反落。大台ラインと元の水準まで突き抜けて1780ドル割れ、安値では1770ドル付近まで40ドル程の急落となった後は1780ドルが抵抗線となる形で1770ドル台での保ち合い状態に。オミクロン株によるリスク回避の流れはパウエル議長のタカ派転換に帳消しされ、目先は1770ドルを下値サポート候補に1800ドルが抵抗線候補、その前に1780ドルにも抵抗感。
月間ベースでは-7.4ドル、0.41%の反落。

NYプラチナ・日足チャート 2021/10/26 - 11/30NYプラチナは-37.2ドル、3.86%の大幅反落。この日はリスク資産として株安の流れに追随、東京午後の時間帯のリスク回避局面で960ドル台から940ドル台へ、ロンドン・NY朝にかけては940ドル台から940ドル割れをうかがう展開へ、NY正午前には一時950ドル台へと反発も、パウエル発言を受けての急反落局面では930ドル割れへと一段安。950ドルの下値サポート割れに伴う短期下値目安930ドル近辺にもしっかり到達し、NY午後の自律反発では940ドルにも届かず。流れ的には下値トライ一服の様相も、オミクロン・リスク+タカ派転換のダブル・プレッシャーによって上値が押さえられる状態。反発方向への重要な節目は960ドル台、一段安警戒水準としては900ドルの大台から9月安値890ドルまで。
月間では-93.4ドル、9.15%の大幅反落。6月(-109.5ドル、9.26%)に続いて今年2番めの急落。

ドル円・日足チャート 2021/10/27 - 11/30ドル円は40銭のドル安円高、0.35%の反落。東京午後にはモデルナCEO発言を受けて日経平均が急落、米株先物も急落した流れにも連れて113円70銭台から113円10銭台まで急落。欧州時間には113円割れへと一段安、NY朝にはシカゴPMIの下振れや消費者信頼感指数も低調となったことなどを受けて一時112円50銭台まで下落。10月11日(112.18)以来、1ヵ月半ぶりの安値をつけた後はパウエルFRB議長発言を受けて買い戻し、一時113円70銭台まで急騰。NY終盤にかけて失速し、113円ちょうど付近まで下落も今朝の東京市場では113円40銭台へと反発の兆し。短期下値目安112円80銭前後までをしっかりクリアしたこともあり、いったんは下げ渋って113円ラインが下値サポート候補にも。上方向には20日移動平均線(114.06)も推移する114円ライン付近が抵抗水準候補。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/30終値とチャート

1日の国内金価格は-93円、1.3%安となって4日続落。10月13日(7004)以来、1ヵ月半ぶりの安値。水準的にも値幅的にも比較的サポートされやすい水準でも、米金融政策のタカ派転換懸念による金安とリスク回避の円高同時進行には抗えず。7100円の重要なサポートを割り込んでしまったことから、一段安リスクはさらに高まる状態に。過熱感から多少の自律反発も、短期的な下値目安としては7000円の大台割れへ、8月末から9月初旬の保ち合い下限付近、6980円台辺りまで。

プラチナ価格は-137円、3.53%安で4日続落。下げ幅としては6月18日(-200円、4.58%)以来、5ヵ月半ぶりで今年4番めの急落。水準としては10月6日(3737)以来、ほぼ2ヵ月ぶりの安値。11月17日以降、10営業日中9日間下落して合計576円、13.3%の急落局面を形成し、下値サポートとして想定可能な水準と見られた9月末から10月初旬の保ち合い上限3800円近辺も突き抜け、その保ち合い下限3730円台に引っ掛かった状態に。ここで下げ止まれない場合には9月につけた今年安値3530円台が意識されることにも。
金との価格差は3321円となり、昨年11月24日(3355)以来、1年ぶりの水準まで拡大。
※参考:金プラチナ国内価格12/1とチャート

2021年12月1日(水)時点の相場
国内金7,060 円 12/1(水) ▼93(1.30%)
国内プラチナ3,739 円 12/1(水) ▼137(3.53%)
NY金1,776.5 ドル 11/30(火) ▼8.7(0.49%)
NYプラチナ927.3 ドル 11/30(火) ▼37.2(3.86%)
ドル円113.13 円 11/30(火) ▼0.40(0.35%)

11/30(火)のその他主要マーケット指標

ユーロ圏製造業PMI、11月上昇はイタリアとフランスのみ 12/2(木)

オミクロン株リスクにもテーパリング加速へ、金も急反落 12/1(水)

ユーロ圏景況感は半年ぶり低水準、感染再拡大の北部が主導 11/30(火)

それでも国内金価格200日移動平均は過去最高値更新中 11/29(月)

オミクロン株ショックで早期利上げ観測も後退 11/27(土)


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