金プラチナ短期相場観
平均時給では伸び率鈍化も中央値では過去最高更新
更新日:2022年7月19日(火)
8日に発表された6月雇用統計では、平均時給の賃金上昇率は前年比+5.1%となり、伸び率は3ヵ月連続で鈍化して今年最低、12月以来半年ぶりの低水準。なお、3ヵ月平均でも+5.3%となり、4ヵ月ぶりの低水準。ピークアウトが鮮明となる状況を示していました。
しかし、アトランタ連銀が先週発表した賃金上昇トラッカー、中央値の3ヵ月平均では6月は前年比+6.7%。5月の+6.1%からは一段高となって2ヵ月連続の過去最高更新。直近5ヵ月では4度めの過去最高更新。こちらはまだまだピークアウトの兆しすら見えない状況となっています。
なお、賃金上昇率が+-0.5%の範囲内にとどまる、ゼロ賃金の割合は5月の11.4%から6月は11.1%へと低下。4月と並び、3月の11.0%に次ぐ低水準。この11.0%は、リーマンショック前の大底となった2007年5月(11.0)以来、14年10ヵ月ぶりの低水準。現状は、2002年以降の最低水準付近での下げ渋り状態。ゼロ賃金の割合としてはボトムアウト寸前の状態かもしれません。
また、プライム・エイジと呼ばれる25才から54才までの年齢層の賃金上昇率は前年比+7.2%となり、6ヵ月連続で過去最高を更新。さらに転職者の賃金上昇率は+7.9%となり、4ヵ月連続の過去最高更新。
ただし、転職者と非転職者との賃金上勝率格差は5月に2.1%となり、1998年11月(2.1)以来、23年半ぶり高水準となっていましたが、6月は1.8%に縮小。転職者が賃金上昇率の上昇を牽引してきた流れに非転職者のそれも追随し、その差は拡大傾向にあった状態が一服となり、転職者の賃金上昇率を牽引する勢いもピークアウトに近づいている可能性もありそうです。
プライム・エイジと全体の賃金上昇率格差も5月には0.7%となって過去最大となっていましたが、これも6月には0.5%へと縮小。プライム・エイジの賃金上昇率を牽引する勢いもまた、ピークアウトに近づいている可能性もありそうです。
18日のNY金相場は+6.6ドル、0.39%高で3日ぶりの反発。先週末は一時的に1700ドルの大台割れを試しながらも週末終値では大台を維持、ユーロドルの反発にも連れる形で週明けも1700ドル台から反発基調継続となってロンドン市場では一時1720ドル台を回復。しかしNY市場にかけてはユーロドルの失速とともに反落するとNY午後には1710ドル割れ、NY引け後には1700ドル台半ば。ほぼ上に行って来いとなり、当面の底打ち反発トライに失敗したような格好にも。目先、1700ドルの大台を維持できなくなればあらためて昨年8月安値圏1680ドル前後までが短期下値目安に。上方向には1740ドルが当面の抵抗水準に、突破できれば局面打開へ、1760ドル近辺までが短期上値目標に。
NYプラチナは+25.1ドル、3.02%の大幅続伸で7月11日(860.7)以来、1週間ぶりの高値。先週末水準830ドル近辺から、週明けもユーロドルとNY金の反発基調に追随、ロンドン市場で840ドル台後半、NY市場では850ドルを超えて一時860ドル台へと一段高。NY午後にはユーロドルとNY金の反落に引っ張られる展開も、850ドル割れでは下げ渋り、NY引け後には850ドル維持をかけての攻防状態に。840ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標860ドル台に到達しての一服状態にも。多少の調整をはさみ、880ドル台から900ドルの重要水準回復トライへのチャンスをうかがう展開にも。
ドル円は42銭のドル安円高、0.3%の続落。週明け東京朝の138円50銭台が高値となり、欧州時間に137円90銭を一時的に割り込んだのが安値。下値は137円90銭前後、上値は138円40銭台までのレンジで保合い推移。この日の変動値幅は67銭、2021年の年間平均58銭を10銭ほど上回りながら、今年の平均1.08円の6割程の小動き。先週半ばに急速に盛り上がった1%利上げ観測が後退するに連れて失速、この日は米7月NAHB住宅市場指数が想定以上に悪化したこともドル売り材料となったものの、下げも限定的。底堅さと138円台を維持して次週FOMCにに臨むような展開にも。目先、139円台再浮上なら140円台トライへ、138円を維持できなくなれば137円割れも。136円80銭の節目も割り込むようだと調整幅拡大へ、135円台半ば辺りまでが短期下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/18終値とチャート
19日の国内金価格は3連休前から-64円、0.77%安となって続落。7月13日(8282)以来、1週間ぶりの安値。8280円から8370円までの安値保合いレンジ上限で跳ね返され、急降下を続ける9日移動平均線(8341)に上値を押さえられる形となってレンジ下限付近に押し込まれた格好に。このまま下限を割り込むようだと8200円近辺までを下値目安に一段安の展開へ。少しでも行き過ぎとなれば中期ダブルトップのネックライン8180円近辺も意識され、中期トレンド転換をかけた攻防にも。切り返して8370円超へと抜け出すことができれば短期トレンド好転をかけた攻防へ、ゆるやかに上昇する90日移動平均線(8451)超えが短期上値目標に。
プラチナ価格は+52円、1.27%の反発で7月12日(4178)以来、1週間ぶりの高値。9日移動平均線(4150)を上抜けて弱気のパーフェクトオーダーから脱却、トレンド転換に向けた最初の関門を突破し、4130円の節目も上抜けたことからもう一段上値を伸ばす展開にも。4220円近辺までが短期上値目安となり、次の節目となる4250円から下降を続ける21日移動平均線(4264)辺りがその先の攻防水準にも。下方向へは4110円を割れると下落トレンド継続へ、4000円の大台ライン近辺までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格7/19とチャート
- 2022年7月19日(火)時点の相場
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国内金 : 8,288 円 7/19(火) ▼64(0.77%) 国内プラチナ : 4,162 円 7/19(火) ▲52(1.27%) NY金 : 1,710.2 ドル 7/18(月) ▲6.6(0.39%) NYプラチナ : 856.0 ドル 7/18(月) ▲25.1(3.02%) ドル円 : 138.13 円 7/18(月) ▼0.42(0.30%)
実質実効為替レートでは15年ぶり円安で下げ渋り 7/20(水)
平均時給では伸び率鈍化も中央値では過去最高更新 7/19(火)
ミシガン大インフレ期待急低下、1%利上げ観測後退も 7/16(土)
PPIも高止まり、食品とエネルギーを除けばピークアウト 7/15(金)
消費者物価6月は前年比9%超、実質賃金上昇率は-4% 7/14(木)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン