金プラチナ短期相場観
PPIは鈍化傾向、ドル高止まりも円安牽制に円安は鈍化
更新日:2022年9月15日(木)
エネルギー関連価格はインフレ鈍化も、それ以外の商品価格やサービス価格のインフレ鈍化は確認できず、CPIショック再現となってしまった前日に続き、この日はコスト部分のインフレ動向を示す生産者物価指数、PPIの発表。
この部分では一定のインフレ鈍化継続傾向が確認されたものの、期待ほどでもなく、ドル高地合いはほぼ変わらず。前日CPI発表後に30%台へと急拡大した9月FOMCでの1%利上げの確率が、この日のPPI発表後には20%台へと縮小した程度の反応に。
8月のPPIは前年比+8.72%。市場予想の+8.8%程度を下回り、過去最高となった3月(11.66)でピークアウト後、6月までの11%台での高止まりからは続落で急低下、1年ぶり低水準。※過去平均=+2.52%
食品とエネルギー関連を除くコアPPIは前年比+7.26%。市場予想の+7.0%程度を上回り、過去最高の3月(9.71)からは5ヵ月連続の低下、10ヵ月ぶり低水準に。※過去平均=+2.45%
食品とエネルギー、貿易サービスを除くコア指数(PPI2)は前年比+5.61%。過去最高の3月(7.12)からは5ヵ月連続の低下となり、1年2ヵ月ぶりの低水準。※過去平均=+2.41%
PPIとCPIとの差は0.46%。3月までの3%前後から5ヵ月連続縮小となり、1年7ヵ月ぶりの低水準。※過去平均=0.17%
コアPPIとコアCPIとの差は0.94%。過去最高の3月(3.24)から5ヵ月連続縮小で1年2ヵ月ぶり低水準。※過去平均=0.08%。
14日のNY金相場は-8.3ドル、0.48%の続落で7月20日(1700.2)以来、2ヵ月ぶりの安値。前日のCPIショックで急落後、NY午後には1710ドル台で落ち着いた状態をほぼそのままキープ。想定以上のインフレ高止まりと大幅利上げ長期化懸念が重石となる状態は続き、NY午後にはややドル高優勢となった流れにも押されて1710ドル台後半から1700ドル台前半へと軟調推移。安値では前日安値(1706.7)こそ下回ったものの大台割れは回避、9月7日安値(1701.7)と9月1日安値(1699.1)もわずかに上回り、トリプルボトムの可能性も残して下げ渋る状態にも。短期的には1720ドルの節目割れに伴う下値目安、1700ドルの大台割れを試しに行く可能性も抱えながらも、次週FOMCまでは安値圏での保ち合いを維持して下げ渋る状態が継続する可能性も。
NYプラチナは+21.7ドル、2.48%の反発。前日NY引け後につけた安値870ドル台前半を、この日の時間外序盤に再度つけて底打ち反発へ。ロンドン市場で890ドル台を回復するとNY市場では900ドルの大台を回復、高値では一時前日高値付近、910ドル台まで上昇。前日下落分を取り戻し、2日前の水準をわずかに上回って8月17日(919.3)以来、1ヵ月ぶりの高値水準。8月高値(974.6)から9月安値(796.8)までの61.8%戻し(906.7)を超えると9月以降の反発局面再開、76.4%戻し(932.6)近辺、930ドル前後までが短期上値目標に。下方向へは880ドルがサポート、これを割れると860ドル前後までの調整も。金との価格差は月初の900ドル台から803.7ドルまで急縮小、2月10日(794.9)以来7ヵ月ぶりの低水準に。
ドル円は138銭のドル安円高、0.95%の大幅安となって3日ぶりの反落。前日のCPIショックの余波で東京朝には144円90銭台まで上昇し、7日高値144円99銭手前で失速。当局の円安牽制発言や為替介入をチラつかせるレートチェック報道を受けて円高の流れが強まり、東京午後には144円割れ、欧州時間には143円割れをかけての攻防状態となり、NY時間につけた安値は142円50銭台まで。今朝の東京市場でも143円をはさんでの売り買い交錯状態に。145円台へと一段高の可能性は、日銀の金融政策に相反する牽制によって捻じ曲げられた格好となり、目先は142円60銭から144円60銭までの高値保ち合いレンジを形成。円安牽制が続いて保ち合い長期化となれば、その分だけ余分にエネルギーが蓄積されて保ち合い崩れの際の振れ幅拡大につながる可能性も。FOMC後に上抜けとなった場合には1998年8月高値147円60銭台の節目を試しに行くような展開にも。下方ブレイクなら140円ちょうど付近までが短期調整目安。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/14終値とチャート
15日の国内金価格は-99円、1.15%の大幅続落。NY金の軟調局面を円安で相殺、もしくは一段高への可能性すらあった状態は、円安牽制を受けてのドル円急落の煽りを受けて逆方向へ、高値保ち合いで拮抗気味のバランスが下方向へと崩れての一段安。9月6日(8465)以来、10日ぶりの安値水準となり、8600円の節目割れに伴う短期下値目安8500円台半ばに到達。少し勢い余って8500円割れも意識されそうな状況にもなって反発の勢いは大きく後退。上昇基調の21日移動平均線(8479)近辺までが次の下値目安、かつサポート候補に。
プラチナ価格は+82円、1.86%の反発。前日下落分を帳消し、2日前の水準も上抜けて6月13日(4540)以来、3ヵ月ぶりの高値水準に。乱高下状態での9月高値更新、不安定な動きながらも4490円の節目を上抜け、短期的には4500円台前半へと一段高への可能性も浮上。今年2月以降の中期主要レンジ、4100円近辺から4500円付近までを抜け出し、主要レンジ上方シフトを試しに行くチャンス到来。その先には中長期上値抵抗線(現在4600円台)トライも視野に。下方向へは4410円の節目を維持できなくなれば上値トライはいったん失敗、4350円程度までの巻き戻しへ。
※参考:金プラチナ国内価格9/15とチャート
- 2022年9月15日(木)時点の相場
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国内金 : 8,531 円 9/15(木) ▼99(1.15%) 国内プラチナ : 4,496 円 9/15(木) ▲82(1.86%) NY金 : 1,709.1 ドル 9/14(水) ▼8.3(0.48%) NYプラチナ : 905.4 ドル 9/14(水) ▲21.7(2.46%) ドル円 : 143.16 円 9/14(水) ▼1.38(0.95%)
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