金プラチナ短期相場観
米1-3月期GDP速報は下振れもPCE上振れ、ドル買い金売りへ
更新日:2023年4月28日(金)
米商務省が発表した1-3月期のGDP速報値は前期比年率で+1.1%。市場予想の+1.9%を下回り、10-12月期の+2.6%から一段と鈍化。7-9月期の+3.2%からは2四半期連続の減速。
個人消費支出が+3.7%となって2021年第2四半期(+12.1)以来、7四半期ぶりの高水準となったのに対し、民間投資が-12.5%と3四半期ぶり低水準へと急低下。
また、コアPCEは前期比+4.9%となり、市場予想の+4.7%を上回り、10-12月期の+4.4%からも上昇、2022年1-3月期(5.2)以来1年ぶり高水準となってインフレ高止まりを示唆。
結果的にGDP下振れを受けてのドル売り金買いは一瞬で終わり、インフレ高止まりを受けのドル買い金売りの流れが急速に進行する展開に。
この結果を受けて5月FOMCでの0.25%追加利上げ予想は前日の70%付近から80%台後半へと跳ね上がることに。
ただし、今晩の3月PCEの結果次第で多少の変動も。それでも5月利上げはほぼ確実か。
なお、米GDPの四半期推移とISM製造業景況指数の四半期平均との推移は方向性が一致しやすく、特にISM製造業景況指数の四半期平均が節目50を大きく割り込んだ場合、リセッション入りを示唆するサインとなってきました。
3月までのISM製造業景況指数の四半期平均は47.1。前回リセッションの2020年第1四半期(45.7)以来、3年ぶりの低水準へと落ち込んでいます。
インフレ高止まりが終息し、利上げ打ち止めが確認される頃にGDP下振れとなった場合には、ドル売り金買い要因へと切り替わることにもなりそうです。
27日のNY金は+3.0ドル、0.15%の小反発。時間外序盤に2000ドルの大台を回復するとアジア時間に2010ドル近辺へと上昇。しかし切り下げたばかりの抵抗水準2010ドルとの攻防がロンドン市場にかけても続き、NY朝には米1-3月期GDP速報などの結果を受けて瞬間的には2013ドル台の高値をつけて急反落。インフレ高止まりが示唆されたことを受けて大台割れ、安値では一時1980ドル台前半まで下落。ただし目先のサポート1990ドル割れでは底堅く、NY午後には大台回復トライの場面も。結果的に1990ドルから2010ドルの小幅保ち合いレンジの上限と下限の堅さを確認する形となって大台ライン付近での攻防状態も継続。FOMC目前ながら週末にも上限突破なら2030ドル近辺へ、下限割れなら1970ドル近辺へとレンジを拡大するような展開にも。
NYプラチナは-12.8ドル、1.16%安で3日ぶりの反落で4月17日(1059.6)以来、10日ぶりの安値。上ヒゲ十字線となった前日終値水準1100ドル台から反発再トライへと向かった時間外、ロンドン序盤には1110ドル超へ。しかし1110ドル台前半で上げ渋るとNY朝には巻き戻し、米GDP発表後のNY金の急反落にも追随する形となって1100ドル割れ。安値では1090ドルの下値サポート割れも、1080ドル台半ばで今度は下げ渋り、NY午後には1090ドル台を回復。1090ドルから1110ドルまでの小幅保ち合いを形成し、目先はNY金の保ち合いブレイクに追随する展開にも、上抜けなら今年高値圏1140ドル近辺再トライへ、下抜けなら4月半ばの高値圏1070ドル近辺までの調整余地拡大へ。
ドル円は32銭のドル高円安、0.24%高で3日ぶりの反発。東京朝の133円40銭近辺からゆるやかな反発基調となって欧州時間には133円90銭台まで上昇。NY朝にかけては巻き戻しの展開となって133円半ばへ。米1-3月期のGDPは下振れ、しかしコアPCEは上振れ、この結果を受けて一時133円20銭近辺まで小幅急落後には切り返す展開となって134円台へと急騰、NY終盤にかけては134円近辺へと収束。134円の節目割れに伴う短期下値目安133円割れに対しては前日安値133円近辺まででいったん折り返し、目先は日銀政策会合と米3月PCEの結果を踏まえて次週FOMCと波乱要因を抱える状況で133円半ばから134円80銭までの保ち合いレンジで仕切り直し。下限を割れるとあらためて132円台後半まで下値余地拡大へ、上限突破なら136円台前半を目標に上値トライ再開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/27終値とチャート
28日の国内金価格は-3円、0.03%の小幅安で3日続落。ゆるやかに下落する9日移動平均線(9403)とともに軟調推移が続き、上昇軌道を維持する21日移動平均線(9363)も2ヵ月ぶりに割り込み、調整局面がもう一段進行しやすい状況に。節目となる9340円を維持できなくなれば一段安へ、短期下値目安は9300円割れ、2月安値(8605)から4月高値(9495)の23.6%戻し(9285)近辺までが意識される可能性も。日銀会合を無事通過し、3月のPCE下振れなどをきっかけに9410円超へと切り返すようだと連休の谷間に上値トライ再開も、そうなれば9470円から最高値近辺までが意識される可能性も。
週間ベースでは-101円、1.07%の続落。下げ幅としては1月末以来3ヵ月ぶりで今年2番めの大幅安。
プラチナ価格は-31円、0.61%の続落で4月18日(4890)以来、10日ぶりの安値。5060円の節目割れに伴う短期下値目安5000円前後を目指す調整局面が進行。上昇軌道が続く9日移動平均線(5053)を1ヵ月ぶりに割り込み、強気のパーフェクトオーダーも崩れて短期サポートも消滅。ただし週末には円安とNY金上昇(当然逆のパターンも)が同時進行する可能性もあり、これに追随する展開となれば流れ逆転も。5080円超へと切り返すと5150円近辺までを目安に上値再トライへも。
週間ベースでは-55円、1.08%安で5週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格4/28とチャート
- 2023年4月28日(金)時点の相場
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国内金 : 9,350 円 4/28(金) ▼3(0.03%) 国内プラチナ : 5,025 円 4/28(金) ▼31(0.61%) NY金 : 1,999.0 ドル 4/27(木) ▲3.0(0.15%) NYプラチナ : 1,093.2 ドル 4/27(木) ▼12.8(1.16%) ドル円 : 133.99 円 4/27(木) ▲0.32(0.24%)
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