金プラチナ短期相場観
米12月CPIは予想以上に下げ渋り、3月利下げ確率も下げ渋り
更新日:2024年1月12日(金)
米消費者物価インフレは予想以上に下げ渋り。
米労働省発表の12月CPIは前年比+3.35%。11月の+3.14%から3.2%へと小幅上昇との市場予想をさらに上回り、9月(3.70)以来3ヵ月ぶりの高水準。2023年では5番めの低水準。
コアCPIは前年比+3.93%。こちらは11月の+4.01%から小幅に低下し、9ヵ月続落となって2021年5月(3.80)以来、2年7ヵ月ぶりの低水準で4%割れ。ただし市場予想の+3.8%程度を上回って下げ渋り。
セクタ別では、サービス価格(ウェイト59.06%)が前年比+5.3%。1年7ヵ月ぶりの低水準ながら依然高水準。
モノの価格(ウェイト20.78%)は前年比+0.2%。4ヵ月ぶりの高水準で9-11月の0.0%から小幅上昇で下げ渋り。既にインフレ解消。
主な項目別では、帰属家賃(ウェイト26.02%)が前年比+6.3%。8ヵ月続落で1年4ヵ月ぶり低水準。賃貸住宅(ウェイト7.71%)は+6.5%。8ヵ月続落で1年5ヵ月ぶり低水準。いずれも順調に低下基調は継続も、いかんせん高水準。
クリーブランド連銀発表のメディアンCPIは前年比+5.06%。過去最高の2月(7.20)から10ヵ月続落で1年10ヵ月ぶり低水準。
16%トリム平均CPIは+3.88%。過去最高の昨年9月(7.31)から15ヵ月続落で2年3ヵ月ぶり低水準。
アトランタ連銀発表のスティッキーCPIは+4.60%。10ヵ月続落で1年10ヵ月ぶりの低水準。
いずれも順調に、インフレ鈍化は進行中。ただし2019年以前の水準との乖離幅はまだまだ。
インフレ鈍化進行を好感する向きと予想外に下げ渋る状況への懸念も交錯し、FRBと市場の利下げ開始時期への思惑の乖離もなかなか埋まらない状況に。
11日のNY金は-8.6ドル、0.42%安で5日続落。12月13日(1997.3)以来、4週間ぶり安値圏での軟調推移継続。5日続落は昨年10月以来、3ヵ月ぶり。前日NY引け後につけた安値2025ドル近辺からの反発局面が続いた時間外には2040ドルまで上昇。ロンドン・NY朝にかけては2030ドル台後半での保ち合い、米12月CPI結果を受けて乱高下。瞬間的には2050ドル台へと急騰してこの日の高値をつけて巻き戻し、米10年債利回り急騰とドル高の流れに連れて2020ドル近辺へと一段安。2020ドル割れで下げ渋るとNY引け後には再び巻き戻し、米10年債利回り低下とドル安の流れにサポートされて2030ドル台を回復。クリーブランド連銀メスター総裁の「3月利下げは早すぎる」発言が下押し材料となった反面、CPIの低下傾向は続いていることなどから3月利上げを指示する市場の見方はむしろ若干強まる状況となって下げ渋り。短期的な流れとしては2040ドルの節目割れに伴う下値目安2000ドルの大台付近まで若干の下げ余地も残しながら、重要イベント通過で下押し圧力一服となり、巻き戻しの流れとなる可能性も。
NYプラチナは-10.0ドル、1.0%安で4日続落。12月11日(915.7)以来、1ヵ月ぶりの安値。930ドル台での小康状態となった時間外を経て、NY朝には940ドル台へと小幅に上昇して戻り売り。NY午後には一時920ドルを割れて切り返し、NY引け後には920ドル台後半へ。950ドルの節目割れに伴う短期下値目安920ドル近辺にしっかり到達した格好となり、値幅的にも11月安値(843.1)から12月高値(1031.0)の61.8%戻し(914.9)付近まで下落、一服感からの巻き戻しへと向かいやすい状況にも。地合い回復に向けては200日移動平均線(962.7)回復が目安に。
ドル円は45銭のドル安円高、0.31%安で3日ぶりの反落。145円半ばを中心に小幅もみ合い推移で東京・欧州時間を通過、NY朝の米12月CPIを受けて急騰。瞬間的には145円00銭台の安値をつけて切り返し、146円台へと上昇。高値では一時146円40銭台へ、今年高値を更新して12月11日(146.59)以来1ヵ月ぶりの高値。NY午後には146円をはさんでの保ち合いからNY終盤にかけて失速、米10年債利回り低下に連れて145円台前半へ。短期上値目標145円台後半到達後の一段高では、11月高値(151.91)から12月安値(140.26)の半値戻し(146.09)も達成したことから一服感も。目先、145円80銭を上限に144円20銭までのレンジで保ち合いの様相にも。これを上抜けるようなら今年高値更新トライへ、短期上値目標は146円台後半へ。下抜けるようなら20日移動平均線(143.10)下抜けトライへ、短期下値目安は143円前後まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/11終値とチャート
12日の国内金価格は-4円、0.04%の小幅安で3日ぶりの反落。上昇軌道の9日移動平均線(10328)にサポートされての推移は続くものの、依然として下げ止まらない21日移動平均線(10285)の軟調推移が上値トライに向けた勢いの弱さを象徴。それでもゆるやかな上昇トレンドは継続、10400円の節目を上抜けると次の短期上値目標は10450円程度まで。下方向へは10310円の節目を割れるとトレンド崩れへ、10250円程度までが短期下値目安に。
週間ベースでは-21円、0.2%安で4週ぶりの反落。
プラチナ価格は-18円、0.39%安で5日続落。12月8日(4552)以来、5週間ぶりの安値。5日続落は12月以来、1ヵ月ぶり。短期下値目安4700円の大台近辺を通過しての一段安でさらなる下値警戒水準4650円近辺にも到達。過熱感が高まらず、中期三角保合い下限ラインまで距離を残す状況からは、引き続き短中期的に4600円前後までの下落も想定可能。ただし、中期三角保合い中間ラインとなる90日移動平均線(4721)までの巻き戻しも、中期トレンドが崩れない限りは想定可能。
週間ベースでは-171円、3.55%の大幅続落。
※参考:金プラチナ国内価格1/12とチャート
- 2024年1月12日(金)時点の相場
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国内金 : 10,377 円 1/12(金) ▼4(0.04%) 国内プラチナ : 4,644 円 1/12(金) ▼18(0.39%) NY金 : 2,019.2 ドル 1/11(木) ▼8.6(0.42%) NYプラチナ : 919.6 ドル 1/11(木) ▼10.0(1.08%) ドル円 : 145.30 円 1/11(木) ▼0.45(0.31%)
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