金プラチナ短期相場観
今年のトレンドに逆行するリスク回避局面は今がピークか
更新日:2013年8月28日(水)
米国は、シリアのアサド政権による化学兵器使用の証拠を近々公表するのではないかと見られます。その後軍事介入、ということになりそうな状況へ。地政学リスク懸念増大により、市場ではリスク回避の流れが進みます。株が売られ、円とスイスフランが買われ、金も買われる流れは、これらがセーフヘブンとして健在であることを証明します。
NY原油価格も年初来高値を更新し、NY金相場の7月以降の上昇率はプラチナを抜き去りました。
安全資産として金が買われるようなケースでは、プラチナは金に連動しません。今回もリスク回避の株安・円高に同調した形。7月末頃までのNY市場プラチナと金との相関係数は0.91台と高かったのに対して、現時点では0.76台まで低下しています。
そして、金相場の上昇と連動するようにVIX指数も6月以来の高水準に上昇してきています。
逆に見れば、6月半ばのQE縮小懸念によるリスク回避局面で20台に達したVIX指数が現状では16台にとどまっています。昨年の欧州債務危機拡大時期には26台まで上昇していました。
今年のトレンドに逆行する、現在のリスク回避の流れは、そろそろピークを迎えている可能性も、高そうにも思えます。
NY市場、金相場は1.95%の大幅反発。地政学リスクによる安全資産買いで一時1,424ドルまで上昇。5月14日以来の水準に。最近のNY金相場でRSIが85を超えるのはかなりの異常値であり、過熱感による反落の確率は非常に高い状況。事態が急変しつつあるシリア情勢緊迫化の影響が大きく、沈静化次第、反落は必至。
プラチナは0.8%の反落。ただし、高値では1,558ドルまで上昇する場面もあり、金とは逆に上方向を窺う様子も。状況が落ち着けば少し長めの目標値となる1,600ドル付近を目指す展開も。下方向の節目は1,505ドル。
ドル円は1.50%の大幅反落。リスク回避の円高圧力により97円20銭台の節目を下抜けたことで当面の下落リスクは拡大、95円台半ば辺りまで円高進行の可能性も。このままリスク回避の流れが続くようなら三角保ち合い下限の96円台半ば付近も下抜けてしまうことに。シリア情勢に落ち着きが見られれば今の流れも止まり、目標値手前での切り返しの可能性も。
※参考:金プラチナ価格とドル円 NY市場8/27終値とチャート
国内、金価格はわずかに続落。昨日の懸念どおりシリア情勢悪化による円高とNY金相場上昇による綱引き状態で短期目標4,620円はまたもお預け状態。元々、NY金相場の上昇も円高の流れも一方的に続くような地合いではない為、いずれも早々の反転も考えられる状況。その度合が逆に釣り合ってしまうと国内金価格の動意なし状態は継続することも。如何に両者のバランスが崩れるか。
プラチナは2.22%の大幅続落。現時点でまだ可能性の低い5,270円の上値目標を目指す為に必要な、過熱感低下と大幅調整がいきなり発生。100円以上下げても9日移動平均線を少し下回った程度であり、適度な調整の範囲内。しかし、リスク回避の流れが続き、下方向の節目4,930円をしっかりと下抜けてしまうようなら続落リスク発生で仕切り直しへ。
※参考:金プラチナ国内価格8/28とチャート
- 2013年8月28日(水)時点の相場
-
国内金 : 4,598 円 8/28(水) ▼3(0.07%) 国内プラチナ : 4,971 円 8/28(水) ▼113(2.22%) NY金 : 1,420.2 ドル 8/27(火) ▲27.1(1.95%) NYプラチナ : 1,532.1 ドル 8/27(火) ▼12.4(0.80%) ドル円 : 97.03 円 8/27(火) ▼1.47(1.50%)
金相場、今年最長の上昇トレンドもそろそろ終わりのはずが 8/29(木)
今年のトレンドに逆行するリスク回避局面は今がピークか 8/28(水)
QE縮小に向けた不透明感に地政学リスクへの警戒感も 8/27(火)
新興国市場を無視して緩和縮小へと向かうFRB 8/26(月)
量的緩和縮小に向けての混沌、その隙に金は大幅高 8/24(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン