金プラチナ短期相場観
金市場の9月QE縮小開始の織り込み度合い
更新日:2013年8月21日(水)
日本時間本日深夜3時に公表される7月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、量的緩和の規模縮小開始時期への見通しに注目が集まります。市場では9月縮小開始優勢との見方が優勢のようにも見えますが、ここに来てQE縮小開始に伴う長期債金利の上昇などの弊害を懸念する思惑も影響し、NYダウが昨年末以来の5日続落、欧州株も続落、新興国株や新興国通貨の売りにも拍車がかかります。
新興国と密接な関係の豪ドルも売り圧力が強まり、為替ではユーロが上昇し、新興国から米ドルを経由してユーロへと資金が流れる構図となっています。ドル円では円高優勢、ややリスク回避的な流れとなり、VIX指数は昨日、7月上旬以来の15台へと上昇しています。
それに対して金相場は、QE縮小については今年春以降、先行してかなり織り込み済の様子で、足元ではプラチナとともに短期上昇トレンドが続きます。
実際に9月のFOMCで、現状の850億ドルの資産購入規模を、例えば100億ドル縮小して750億ドルにすることが決定した場合、局面的には金市場にとっても若干の売り材料にはなることでしょうが、以前のような急落にはもうならないのではないか、という気もします。それだけ十分に織り込んで急落を繰り返して来たからです。
逆に、9月縮小開始見送りで年末まで現状の緩和規模継続という見方もあるようで、もし、そうなった場合には、金相場にとっては今以上のサポート材料に。
NY市場、金相場は前日下落分を取り戻す0.51%の反発。1,350ドル台まで下げて反発する展開も上値は1,380ドル付近が抵抗帯に。現在の水準は4月の暴落時と5月の安値1,360ドル台を超えてきており、5月から6月の揉み合いのレンジに相当、サポートにもレジスタンスにもなり易い水準。早速頭打ち感も。1,400ドル台の上値目標は継続。
プラチナは1.09%反発も前日下落分を取り戻し切れず。一時1,500ドル割れまで下げて反発も1,530ドルが壁に。プラチナの場合は既に4月の急落直前の水準に戻してきているものの、この1,520-30ドル付近は5月、6月の戻り高値で上値を押さえられた水準。そう簡単に突破できる水準ではないのかも。それでも当面の目標は1,550台。直近のサポートラインは1,500ドル。
ドル円は0.31%下げて続落。相変わらず97円台での小動きが続くものの瞬間的には97円を割れる場面も。三角保ち合いで大きな動き出しを警戒する状態が継続中ながら、目先は三角保ち合い下限近辺の96円台前半までの下落リスクが拡大した状態か。逆に上方向へ97円70銭辺りを超えてくるようなら三角保ち合い上抜けへの可能性が高まる可能性も。
※参考:金プラチナ価格とドル円 NY市場8/20終値とチャート
国内、金価格は1円上昇のほぼ横ばい推移。下降する90日移動平均線を超えられない状態が始まりつつある不穏な空気も。目先はNY市場の頭打ちと軟調気味に推移するドル円との狭間で若干の調整局面もやむ無しの状況か。
プラチナは0.47%反発。6月の急落前の揉み合いレンジ、4,920-5,010円の間での推移が継続。5,070円の上値目標達成の前に、まずは現状のレンジ上抜けへの攻防へ。
※参考:金プラチナ国内価格8/21とチャート
- 2013年8月21日(水)時点の相場
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国内金 : 4,466 円 8/21(水) ▲1(0.02%) 国内プラチナ : 4,956 円 8/21(水) ▲23(0.47%) NY金 : 1,372.6 ドル 8/20(火) ▲6.9(0.51%) NYプラチナ : 1,525.5 ドル 8/20(火) ▲16.5(1.09%) ドル円 : 97.26 円 8/20(火) ▼0.30(0.30%)
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