金プラチナ短期相場観
世界同時ベア・マーケット入り回避をかけた日米欧金融政策
更新日:2016年1月22日(金)
MSCIの世界株価指数が20日、昨年4月につけた過去最高値からの下落率が20%に達したことにより、調整フェーズの域を超えてベア・マーケット入りとなったとされています。
過去最高値や数十年ぶり高値をつけた日米欧主要株価指数と中国関連の2015年高値から、世界同時株安が加速したこの1月安値までの騰落率を個別に比較してみます。
欧米は20日終値時点、日中は21日終値時点で今年安値を更新し、日欧中はいずれもベア・マーケット入りとなる20%超の下落となり、世界同時株安を牽引する中国の上海総合指数はダブル・ベア・マーケットとでも言える水準。昨今の急落にも関わらず、米株は意外とまだ強く、調整圏内での推移。停滞する世界経済を唯一牽引する立場であることの意地が見られるようです。
ちなみに同じ条件でNY原油相場は-56.8%の暴落状態。NYプラチナ相場も-36.3%で上海総合に次ぐ水準、NY金相場は-17.5%、ドル円は-7.6%。
ここでも原油安と中国景気減速を象徴する数値となっています。
世界同時株安状態に米株も引きずられ、本格的な世界同時ベア・マーケット入りを回避すべく、日米欧の中央銀行が動き出したかもしれません。
先鋒として立ち上がったのはECBのドラギ総裁。
3月に行われる次回会合での追加緩和を示唆したことで、マーケットの弱気ムードに対し一矢報いた形です。
ただし、前回10月に示唆して12月に市場を失望させた苦い経験があるにも関わらず、ほぼ同じ手法。これに対する市場反応も、ユーロ売り急進後にほぼ全戻しとなるなど疑心暗鬼な面も。
原油安と中国要因によるベア・マーケット入り回避策としては、単独では対応し切れないと見られるだけに、次週の米FOMCでの追加利上げ見通し後退、そして日銀の追加緩和へと、第2、第3の矢と合わせる日米欧金融政策の協調対応が、最低限必要と見られます。
21日のNY金相場は0.72%の反落。東京市場での株安・円高の流れに1105ドル付近まで買われたのをピークに軟調気味へ。ECB追加緩和示唆で一段のリスク回避緩和にも安値は1090ドル手前まで。1110ドルの抵抗水準での上値の重さとともに1090ドル付近での下値の堅さも見られ始め、今年高値圏での揉み合い推移の様相に。上限突破に成功できれば1130ドル台へと上値を伸ばす可能性も。
NYプラチナ相場は前日からほぼ変わらず。株価の急落、急反発の展開と金の軟調推移に上下に振られる展開で方向感喪失気味の十字線を形成。安値では前日の7年1カ月ぶり安値をわずかに更新し、下値目標水準800ドル付近圏内へとタッチしたことで株価同様いったんの底入れへの可能性も示唆。810ドル割れへと一段安のリスクも抱えつつ、850ドルの抵抗水準に向けての反発基調へとのせめぎ合い。
ドル円は0.65%のドル高円安へと急反発。東京市場での日経平均の底入れ?を思わせる一段安に連れて116円40銭台まで下げたのがこの日の底値。株価反発とともにドル高円安方向へと切り返し、ドラギ総裁会見を経てドル高円安基調継続へ。当面のセリング・クライマックスをかけた前日の長い下ヒゲをフォローするように、終値では1週間ぶりの円安水準となり、保ち合い上抜けの兆し。現状水準以上を維持できるならドル高円安基調が進行する可能性が高まり、当面の上値目標は119円台半ばへ、サポートラインは116円後半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/21終値とチャート
22日の国内金価格は0.61%の続伸。円高リスク後退とともに安値圏からの持ち直しの流れが続き、21日移動平均線も上抜けたことで下方リスクも大きく後退。4490円台の抵抗水準トライに向けた流れへ。下方向へは今年安値4385円が重要な節目水準に。
週間ベースでは+69円(1.57%)の反発。
国内プラチナ価格は前日比わずかに3円安。円安にサポートされて安値揉み合い圏内での推移を維持。リスク回避ムード後退の流れが続き、NYプラチナも切り返すようなら反発方向へ。現状ではまだ下値トライへの流れが優勢の状況で3300円台を割り込んで3200円台半ばへと向かうリスクも。
週間ベースでは-75円(2.2%)となり3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格1/22とチャート
- 2016年1月22日(金)時点の相場
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国内金 : 4,454 円 1/22(金) ▲27(0.61%) 国内プラチナ : 3,340 円 1/22(金) ▼3(0.09%) NY金 : 1,098.2 ドル 1/21(木) ▼8.0(0.72%) NYプラチナ : 819.5 ドル 1/21(木) ▲0.3(0.04%) ドル円 : 117.70 円 1/21(木) ▲0.76(0.65%)
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