金プラチナ短期相場観
2016年は新興国通貨、円、原油、金に対してもドル安
更新日:2016年12月31日(土)
2016年終盤はトランプラリーの勢いにまかせたリスクオン相場が続き、NYダウは年間トータルでも13.42%の上昇、NASDAQは+6.61%、ドイツDAXも+6.87%、英FTSEは+14.43%、日経平均も+0.42%と年末ギリギリにプラス転換。年前半の中国リスクや中盤にかけてのブレグジットによる波乱相場で売られた分を全て取り返し、2016年は世界的株高の年となりました。
株高とともにドル高の流れも2016年終盤にかけて急進し、やはり年前半に売られた分の全てを取り返し、名目実効為替レートでは年間トータルではドル高となりました。
この背景の一つとして、金利の上昇もありました。年前半までの低金利時代から、後半には脱却の兆しが見られ始め、特に米10年債利回りは12月には一時2.6%台まで上昇し、年間トータルでも+0.17%の上昇となりました。ドイツや日本の10年債利回りも年半ばにかけてのマイナス圏での推移から、プラス圏へと上昇しました。
このドル高の流れに対して、新興国通貨安への懸念も高まりつつありますが、年間トータルでは、政局不安やテロへの不安がくすぶり続けるトルコリラを除けば、2016年は新興国通貨高ドル安となりました。
2016年には原油相場の大幅反発もあり、2014-2015年と続いた新興国通貨安の流れは、大きく巻き戻された状態となり、年末にかけてのドル高の流れにも、新興国通貨売りの勢いは、それほど強まってはいない状況です。
2017年には、もう一段のドル高も予想されますが、以前よりも打たれ強くなった新興国通貨は急落リスクが軽減され、市場の波乱要因となる可能性は減少しつつあるのかもしれません。
但し、最安値更新が続くトルコリラには中東関連の地政学リスクも伴い、やはり過去最安値更新が続く人民元の動向も、中国発の波乱要因再燃を警戒しておかなければならない2017年となりそうです。
30日のNY金相場は0.55%安となり、5日ぶりの反落。時間外に1164ドルまで上昇後、NY市場では調整主体の動き、米12月シカゴPMIが市場予想の56.8に対して54.6と伸び悩んだことを受けての反発も上値は限定的となり、調整再開で1160ドルを割れ、1150ドル台前半へと水準を切り下げて2016年を終了。短期上値目安1170ドル付近に対して1160ドル台半ばまでの上昇でいったん反発局面を終えた可能性もあり、2017年序盤は1130ドルから1160ドルまでを主要レンジとした保ち合い傾向でのスタートか。
週間ベースでは+18.1ドル(1.6%)となり、8週間ぶりの反発。月間では-19.1ドル(1.63%)で3カ月続落。年間では+91.5ドル(8.63%)となり、4年ぶりの反発。
NYプラチナ相場は0.42%高で3日ぶりの反発。この日の値幅は上下8.5ドル(0.94%)にとどまり、2015年7月1日(8.5ドル、0.78%)以来1年半ぶり、年間平均21.6ドルの4割弱の小動き。足下では890ドルから900ドル台半ばの小幅レンジで三角保ち合いを形成、年末まで続いた軟調な流れもほぼ終息し、905ドル台でレンジ上抜けへの可能性も示した状態で2016年を終了。年明けはレンジブレイクの流れ継続で930ドル付近までの反発局面形成となる可能性も。反落で890ドルの下限割れの場合には870ドル台辺りまでが下値目安に。
週間ベースでは+8.4ドル(0.94%)の反発。月間では-8.3ドル(0.91%)の小幅安で5カ月続落。年間では+9.9ドル(1.11%)となって4年ぶりの小反発。
ドル円は0.37%のドル高円安で3日ぶりの反発。結局この日の安値は東京市場朝につけた116円05銭。欧州市場序盤には一時117円20銭付近まで反発すると、その後も116円台半ばでは反発の勢いが強まる展開に。米12月シカゴPMIの下振れや米10年債利回り低下にも底堅さを見せて2016年を終えた形。年明け3日には115円台前半までの下落余地を残した状態で新年相場再開へ。1日の中国製造業PMIや2日に発表される中国・財新PMI、ユーロ圏他各国の製造業PMIなどで波乱が見られるようなら、近年恒例となってきた年初のリスクオフへの警戒感も高まることに。無難に好調維持なら2017年は比較的静かなスタートとなり、ドル円は117円近辺での保ち合い回帰の流れも想定される。
週間ベースでは-0.32円(0.27%)で小幅続落。月間では+2.52円(2.2%)で3カ月続伸。年間では-3.34円(2.78%)となり5年ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/30終値とチャート
- 2016年12月31日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,649 円 12/30(金) ▲47(1.02%) 国内プラチナ : 3,640 円 12/30(金) ▼7(0.19%) NY金 : 1,151.7 ドル 12/30(金) ▼6.4(0.55%) NYプラチナ : 901.6 ドル 12/30(金) ▲3.8(0.42%) ドル円 : 116.97 円 12/30(金) ▲0.43(0.37%)
2017年はドル高でも金高、プラチナは急騰でスタート 1/4(水)
2016年は新興国通貨、円、原油、金に対してもドル安 12/31(土)
4年ぶりの反発をかけた攻防続くプラチナは年明けに上昇するか? 12/30(金)
2016年名目実効為替レートは小幅ドル高、円高はその3倍 12/29(木)
リッチモンド連銀も製造業急回復、トランプ期待継続が金の重しに 12/28(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン