金プラチナ短期相場観
OPEC減産合意でPCEも好調、インフレ加速期待でトランプ相場再開
更新日:2016年12月1日(木)
石油輸出国機構(OPEC)は30日、ウィーンの本部で開催された総会で日量120万バレルの減産を合意。ギリギリになってサウジアラビアがイランの制裁導入前水準での凍結を受け入れたことにより、2008年12月以来8年ぶりとなるOPEC減産合意にこぎつけたようです。
OPEC非加盟のロシアも15年ぶりの減産を受け入れ、直前まで合意は難しいのではとの見方もあったことから急落していた原油相場も前日比+9.3%の急騰となり、1カ月ぶりの49ドル台へ。
NY原油相場は、月間平均では10月の49.94ドルから11月には45.76へと下落、今年5月以降は45ドル付近から50ドル手前までの範囲での保ち合い状態が続いていましたが、これで12月以降は50ドル超へと上方ブレイクする可能性も高まってきました。
この日発表された米10月PCEデフレーター(個人消費の物価上昇率)は、前年同月比で+1.4%。市場予想の+1.5%にはとどかなかったものの、9月の+1.2%からは0.2%上昇し、2014年10月(+1.5%)以来2年ぶりの高水準を回復。食品とエネルギーを除くコアPCEデフレーターは8月から3カ月連続の前年比+1.7%と横ばい推移の状況ながら、3カ月連続で0.2%づつの急騰局面を形成し始めているPCEによって、押し上げ効果がもたらされる可能性もありそうです。
そして、12月以降の原油相場上昇によって、その傾向が一層強まることも想定されます。
2017年に向けて、インフレ加速の為の材料が出揃いつつあり、2017年の利上げ見通しにも大きく影響を及ぼすことにもなりそうです。
但し、原油相場上昇により、米国第一主義のシェールオイル増産にもつながり、既に出始めているドル高懸念の声とともに、トランプ相場にブレーキをかける材料ともなります。
30日のNY金相場は1.44%の大幅続落で2月5日(1157.7)以来、ほぼ10カ月ぶりの安値水準。OPEC総会での減産合意に向けてロンドン時間からのドル高加速に押されて軟調推移。米11月ADP全国雇用者数も大幅上振れなど、経済指標も好調維持、ベージュブックでもこれを裏付ける内容となるなど金にとっては売り材料が後を絶たない月末に。金利上昇・ドル全面高に株高とリスクオン再加速となった割には金の下げ幅は比較的控えめとも。ただし1170ドル台前半へと直近安値を更新したことにより下落余地を少し拡大、目先の下値目安は1160ドル前後まで。上方向には1190ドルラインが当面の抵抗ラインとなり、超えると1210ドル台までの反発も。
月間ベースでは-102.3ドル(8.04%)の続落となり、2013年6月(-12.1%)以来3年5カ月ぶりの大幅下落。
NYプラチナ相場も1.24%の大幅続落。下落圧力が強まったNY市場では一時2月8日(901.0)以来、9カ月半ぶりの安値水準となる900ドル台前半まで下落。900ドルの大台ラインでは持ち堪え、終値ベースでも直近安値こそ更新しなかったものの、引き続き下押し圧力優勢で890ドル近辺までの下落余地を残す。上値は920ドル台が当面の抵抗水準となり、突破できれば950ドル付近まで反発の可能性も。
月間ベースでは-68.7ドル(7.02%)となって4カ月続落。
ドル円は1.85%のドル高円安となって大幅続伸。それなりの調整局面をこなしていたことも押し目買い意欲の強さにつながり、OPECの減産合意、好調を維持する米経済指標、さらにはトランプ次期政権の財務長官に米ゴールドマン・サックス出身のムニューチン氏確定で大型減税への期待も高まったことなども追い風に。原油高・金利上昇の流れにサポートされ、113円台前半の節目を突破したことによりドル買いの流れも加速、目先の上値目安114円台前半まで一気に到達。一服感も出やすいところだが、好結果も予想される週末の雇用統計を残し、さらに一段高への可能性も否定できず、110円から115円までの真空地帯を一気に駆け抜ける形での115円台到達も視野に。
月間ベースでは+9.64円(9.2%)の大幅続伸。上昇率では2009年2月(8.58%)を超え、少なくとも2005年以降では最大。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/30終値とチャート
1日の国内金価格は0.61%高となって4日ぶりの反発。NY金の下げ幅を大きく上回るドル高円安再加速の流れにより、10月末以降の保ち合い水準へと押し上げられた状態。下方リスクはいったん仕切り直しとなり、あらためて4580円台から4630円までを上下の節目とする保ち合いに。90日までの移動平均線も価格ライン付近へと収束し、方向感に乏しい状態で上下双方向へのブレイク待ち。ドル円とNY金との方向性と変動幅がバランス状態にあり、国内価格の大幅な急変動は想定し難い状況ながら、可能性としては、上方ブレイクなら最大で4700円台後半、下方ブレイクなら最大4400円台前半を目指す流れに発展する可能性も。
プラチナ価格は0.73%の反発。短期的な方向感が金と逆行する違和感は、両方とも保ち合いの範囲内で若干のブレは生じやすい状態、と見るべきか。緩やかな上昇トレンドを維持するプラチナは上方向への節目3600円付近まで到達。この水準を超えることができれば、当面の上値目安は3640円近辺まで拡大。急反落で3550円割れの場合には3500円割れへと下げ幅拡大の可能性にも警戒。
※参考:金プラチナ国内価格12/1とチャート
- 2016年12月1日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,615 円 12/1(木) ▲28(0.61%) 国内プラチナ : 3,598 円 12/1(木) ▲26(0.73%) NY金 : 1,170.8 ドル 11/30(水) ▼17.1(1.44%) NYプラチナ : 909.9 ドル 11/30(水) ▼11.4(1.24%) ドル円 : 114.45 円 11/30(水) ▲2.08(1.85%)
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