金プラチナ短期相場観
失業保険申請件数はコロナ以前の過去最大まで減少後、下げ渋り
更新日:2021年4月9日(金)
週間新規失業保険申請件数は2週前、3月20日までの週には65.8万件となり、コロナ以前の過去最大となっていた69.5万件(1982年10月)をコロナ後初めて下回りました。
しかし、その後は2週連続の増加となって4月3日までの週は74.4万件。
コロナショックから1年、ようやく過去の節目水準に到達しての一服感といった状況となっています。
4週移動平均でも12月から1月までの9週のうち8週で上昇する増加傾向となり、その後2月から3月までは8週連続低下となる減少傾向が続きました。しかし4月3日までの週には9週ぶりの増加となっています。
想定以上に好結果となった3月の雇用統計とは相反する結果のようにも見えますが、好調だった3月前半までの雇用情勢が後半にはやや失速した、と見ることもできそうです。
足下の増加が一時的に過ぎない可能性もありますが、12月以降の推移を見る限り減少傾向が順調に進行している訳でもないことがわかります。
世界金融危機後の最悪期に並んだ状況となり、今後に向けては前回よりもかなりの短時間での回復も見込まれるところですが、ここ数ヵ月のもたつき具合がワクチン効果などでどこまで改善されるか、重要なタイミングに差し掛かってきているのかもしれません。
8日のNY金相場は+16.6ドル、0.95%の反発。2月25日(1775.4)以来、6週間ぶりの高値。時間外序盤に1730ドル台前半へと小幅に下げたところから反発スタート、米10年債利回りが1.67%台から1.63%%台へとコンスタントに低下基調となり、ドル安の流れも続いたことにもサポートされて水準を切り上げるとNY朝には1750ドル台へ。高値では1760ドルに少し届かなかったものの1750ドル台半ばを維持。日足レベルでは3月18日高値1754.2ドルを上抜け、ネックラインを超えてダブルボトム完成。パウエルFRB議長がこの日もインフレ上昇は一時的と従来からの見解を繰り返し、インフレ抑制手段もあると発言したことも米長期金利低下を促した様子。短期上値目標1790ドル台から1800ドルの大台トライに向けた流れが進行し始めた様子も。なお、水準的には昨年8月最高値(2089.2)から今年3月安値(1673.3)までの23.6%戻し(1771.5)が次の節目水準。これに届かないようだと反発局面腰折れ警戒感も。
NYプラチナは+3.5ドル、0.28%の小反発。時間外には金の反発基調に連れての上昇も1230ドル台から1240ドル台までと限定的にとどまり、1230ドル台を中心に小幅揉み合い推移の展開へ。NY市場では1220ドル台前半まで下押しも下値も限定的、この日の変動値幅は21.6ドルにとどまり、今年の平均値幅44.6ドルの半分以下、今年2番めの小動き。1240ドルの抵抗水準に上値を押さえられた形にもなり、これをしっかり突破することができれば今年最高値(1348.2)から3月安値(1110.0)の61.8%戻し(1257.2)近辺から1260ドル程度までが短期上値目標に。
ドル円は56銭のドル安円高、0.51%の反落で3月25日(109.17)以来、2週間ぶりの安値。米長期金利低下に連れて軟調推移、東京朝の109円90銭が高値となり、欧州時間には109円半ば。サポート候補の20日移動平均線(109.50)付近では下げ渋って揉み合いの展開も、NY時間には長期金利低下とドル安の流れが再加速、失業保険申請件数が予想外に悪化したこともあり、一時109円割れを試す場面も。しかし心理的な節目109円ラインではサポートされる形となって109円30銭近辺まで自律反発。年初の今年安値(102.60)から3月末の今年高値(110.96)までの23.6%戻し(108.99)を達成し、いったんサポートされた格好にも。これを下回ると108円60銭が当面の下値サポート、これも割り込むようだと半値戻しとなる106円80銭前後までが次の下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/8終値とチャート
9日の国内金価格は+30円、0.45%の反発。下げ止まりつつある90日移動平均線(6690)を再度上抜け。抜きつ抜かれつの攻防が続くなか、この5日間での90日線乖離率では絶対値最大となる+0.39%へと拡大、2日前の水準6702円を大きく上抜け。上下動を繰り返しながらも緩やかに水準を切り上げる上昇トレンドを形成し始め、2月25日(6718)以来、1ヵ月半ぶりの高値。次の上値目標は2月半ばの戻り高値水準6750円近辺まで。
週間ベースでは+43円、0.64%の続伸。続伸は3月半ばに続いて今年2度め。
プラチナ価格は-6円、0.13%の小幅続落。NYプラチナと同様に今年高値圏が意識される水準となって徐々に上値も重くなってきた様子も。それでも昨年11月来の上昇トレンドを維持する範囲内での小幅調整局面。目先、4730円台と4650円が上下の節目となり、上抜けできれば目標水準は4780円前後まで。状況次第では勢い余って今年高値(4798)トライへも。逆に下抜けの場合には4600円割れへと向かう可能性が高まり、上昇トレンド継続に黄色信号も。
週間ベースでは+37円、0.8%の続伸。続伸(もしくは3週続伸)は毎月1回、で今年4回め。
※参考:金プラチナ国内価格4/9とチャート
- 2021年4月9日(金)時点の相場
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国内金 : 6,716 円 4/9(金) ▲30(0.45%) 国内プラチナ : 4,677 円 4/9(金) ▼6(0.13%) NY金 : 1,758.2 ドル 4/8(木) ▲16.6(0.95%) NYプラチナ : 1,235.4 ドル 4/8(木) ▲3.5(0.28%) ドル円 : 109.29 円 4/8(木) ▼0.56(0.51%)
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