金プラチナ短期相場観
ヒートアップするインフレ懸念、乱高下する利上げ見通し
更新日:2022年2月8日(火)
先週末、2月4日時点でNY原油価格は92.31ドル。年初来で+17.1ドル、22.74%の大幅高となり、2014年9月29日(94.6)以来、7年4ヵ月ぶりの高値水準。この時点ではRSIも92.31%と一方的な買われ過ぎ状態にもなり、賃金上昇や住宅価格の上昇、原材料価格の高騰などとともに供給制約の若干の緩和を打ち消す形でインフレ高騰を下支えする状態が続きます。
この状況で今週木曜日発表予定の米1月CPIは、12月時点で39年6ヵ月ぶり高水準となった前年比+7.0%をさらに上回る結果が予想されています。コアCPIも30年10ヵ月ぶり高水準となった12月の前年比+5.5%をさらに一段と上回り、5%台後半から6%も意識されるような高水準との予想も見られます。
ヒートアップするインフレ高止まり懸念を反映し、3月スタート予定の(と言える)利上げフェーズでの利上げペース予想も乱高下。
3月FOMCでの利上げ幅予想は、0.25%の利上げ予想が2月2日の95.4%から雇用統計後の4日には66.3%へと急落。代わって0.50%利上げ予想が4.63%から33.9%へと急騰。やや行き過ぎとばかりに週明けにはそれぞれ76%、24%へと若干戻した状態に。
さらに2022年末までの利上げ回数予想としては、1月末のFOMC後には0.25%換算で計5回の利上げが30%台半ばでトップ。4回が20%台半ばで続いていました。
これが雇用統計直後の4日には、33.2%へと急騰した6回の利上げ予想がトップに。5回予想は31.3%となって2位。続いて16.2%へと急騰した7回予想が3位に急浮上。4回は13.9%へと後退。
3回以下は2.4%以下となって、もはや蚊帳の外。さらに8回予想も2.7%へと台頭。
ただし、週明け7日時点では5回が32.4%、6回が32.2%とわずかに逆転してトップ争い。4回の15.1%と7回の14.7%も接戦状態で3-4位争い。
3月の利上げ幅予想としては依然として0.25%がメインシナリオ、0.50%利上げとの差はそう簡単には埋まらない可能性もありそうです。
年内の利上げ回数予想としては、まだまだ本命不在の混戦模様が続きます。
しかし、今週のCPI結果を受けて再び順位変動を伴う急変動も予想され、混戦状態の利上げ見通しは今後しばらく、乱高下が続きそうな状況にもありそうです。
7日のNY金相場は+14.0ドル、0.77%の続伸で1月26日(1829.7)以来の高値。週明け時間外は1810ドルの節目との攻防となり、ロンドン時間に上抜けると堅調推移。欧米主要国で一段と強まるインフレ懸念とウクライナを巡るロシア動向への警戒感などにサポートされ、NY午後には1810ドル台後半、NY引けにかけては1820ドル台へと水準を切り上げ、高値では1820ドル台半ばまで上昇。1月末からは下値も上値も少しづつ切り上げる形となり、20日移動平均線(1818.0)も上抜けて短期トレンドも急回復。1810ドルの節目超えに伴う短期上値目標1830ドル台までは木曜日のCPI発表前にもトライ可能な様相にも。下方向へは1800ドルの大台ラインが当面のサポート、これを割り込むようだと調整局面入り、1770ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは-4.2ドル、0.41%安で3営業日続落。1月28日(1006.6)以来、1週間ぶり安値水準となって短期トレンドは逆転。軟調方向優勢へと流れが変わり始めた可能性も。週明け時間外には1020ドル台半ばから1030ドル台へと小幅に上昇して失速。1020ドル台では下げ渋りながらも、ロンドン時間に力尽きる形となって1010ドル近辺まで急落。先週末安値を若干下回って2月安値を更新しながらも、右肩上がりの20日移動平均線(1010.0)にサポートされて下げ渋るとNY午後には徐々に下値を切り上げて1020ドル近辺まで反発。上値の重い状態ながらも1010-20ドルでは強めのサポート帯を形成し始める様子も。これを維持し切れずに1000ドル台の下値サポートを割れると一段安へ、970ドル近辺までが調整目安に。
ドル円は11銭のドル安円高、0.1%安で3日ぶりの反落。東京時間には115円20銭台を中心に小幅揉み合い、午後には先週末高値115円40銭台手前まで上昇も、節目を突破する程の勢いはなく失速すると欧州時間には調整の展開へ。NY朝には115円割れも、下値も堅くNY午後には115円10銭近辺まで戻して小康状態に。115円40銭の節目上抜けにいったん失敗した格好ながら下値は115円近辺で足場固めの様相にも。今朝の東京市場では再び115円20銭台へと上値トライをうかがう展開にも。CPI上振れと利上げペース加速への思惑を背景に上値トライへの流れと地政学リスクなどへの警戒感も交錯、それでも115円40銭の節目突破となれば一段高の展開へ。今年高値を更新して117円台半ば辺りまでが短期上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/7終値とチャート
8日の国内金価格は+39円、0.53%高で4日続伸。1月26日(7380)以来、2週間ぶり高値水準での一段高で高値保ち合いレンジ上限付近に。短期的な流れは中立から強気方向へと傾斜、上値余地を残すNY金が一段高へと向かえばそれに追随、もしくはドル高円安にサポートされるか、あるいはダブルサポートもありうる状況にも。7380円の節目上抜けなら今年高値更新へ、7450円台辺りまでの短期上値目標を目指す流れに。
プラチナ価格は-16円、0.39%の続落。中期三角保ち合い上限ラインに跳ね返されての失速状態継続で再び9日移動平均線(4110)割れ。短期トレンドも急速に弱まり、中立から軟調方向へ。それでも高値保ち合いレンジ4050円台から4150円までの中央に位置し、上下両睨みの状態にも。4150円超へと今年高値更新なら中期三角保合いも上抜け、上値トライ再開となっての一段高へ、4220円台辺りまでが短期上値目標に。逆に4050円割れへと下方ブレイクなら調整局面入り、90日移動平均線(3965)近辺までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格2/8とチャート
- 2022年2月8日(火)時点の相場
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国内金 : 7,369 円 2/8(火) ▲39(0.53%) 国内プラチナ : 4,101 円 2/8(火) ▼16(0.39%) NY金 : 1,821.8 ドル 2/7(月) ▲14.0(0.77%) NYプラチナ : 1,020.0 ドル 2/7(月) ▼4.2(0.41%) ドル円 : 115.09 円 2/7(月) ▼0.11(0.10%)
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