金プラチナ短期相場観
米CPI高騰も下支え、NY金価格の高止まり
更新日:2022年2月10日(木)
3月の利上げフェーズ・スタートが確実視され、米国の金融政策正常化に向けてタカ派傾斜も強まり、年内利上げ回数と利上げ幅に対する思惑も錯綜。そんな状況下では、金の売り圧力が強まるのがこれまでのパターン。
今回も一定の売り圧力も存在するものの、それに負けない程度のインフレヘッジへの思惑やスタグフレーション懸念、さらには地政学リスクなども加わってNY金価格の高止まりを下支え。
過去のNY金価格とCPIの推移を見ると、連動性の強さはそれほどでもないものの、ある程度相関性が強まる時期や、インフレ上昇局面が金価格上昇要因の一つにもなっているような動きも見られます。最近では、NY金の過去最高値更新後の調整局面がCPIインフレ急騰によって下支えされているようにも見えます。
12月時点でのCPIは前年比+7.0%で39年ぶり高水準、コアCPIは+5.5%で30年ぶり高水準。これが1月の市場予想ではCPIが前年比+7.3%程度へ、コアCPIは+5.9%程度。
市場予想どおりならCPIはほぼ40年ぶりの高水準、コアCPIは39年ぶり高水準ということに。
この日、アトランタ連銀のボスティック総裁は3月利上げ支持を表明の上、今年は0.25%×3回から4回の利上げが必要となると予想しながらも、「インフレ率は低下する時期が近づいている可能性」があるとの見解も。また、最タカ派とも言われるクリーブランド連銀メスター総裁も3月利上げを支持しながらも、0.50%利上げに対しては「説得力のある論拠は見当たらない」と否定的な見方も。
市場のやや行き過ぎたタカ派傾斜を牽制するような発言のようにも。
なお、インフレ率はいずれ失速し、一定の水準まで減速することはほぼ間違いなく、そうなればインフレ急騰に伴う金価格の下支え圧力も弱まることになり、高値保ち合いが崩れる可能性も高まります。
しかし、利上げフェーズ・スタートまで軟調推移となりやすい金価格は、利上げフェーズ・スタート後には底打ち、反発へと向かう流れがこれまでのパターン。
9日のNY金相場は+8.7ドル、0.48%高で4日続伸。今年高値となった1月25日(1852.5)以来、2週間ぶりの高値。時間外では1820ドル台後半での小幅揉み合い推移となり、NY市場では米10年債利回りの低下局面をきっかけに上昇基調再開、NY午後には1830ドル台後半まで上昇。CPI待ちの様子見状態となるなかでこの日の変動値幅は11.6ドルにとどまり、今年の平均19.9ドルの半分強、今年最小値幅。それでも1810ドルの節目超えに伴う短期上値目標1830ドル台にしっかり到達。情勢的には高騰するCPIへの警戒感などから短期的な流れは強気転換、しかしサイクル的な流れのなかでは上昇一服となりやすい状況。今回注目度がやや高まり過ぎたCPIが予想の範囲内なら材料出尽くしの手仕舞い売りとなる可能性、予想以上の高騰ならもう一段の上値トライも。上方向への行き過ぎなら今年高値1850ドル台まで、調整方向へは1815-20ドル近辺が浅めのサポート候補、その下は1800ドル。
NYプラチナは+1.1ドル、0.11%の小幅続伸で2月2日(1043.7)以来、1週間ぶりの高値水準。時間外は1030ドル台前半での保ち合い推移、ロンドン・NY朝にかけて1040ドル台へと上昇後には1020ドル台前半へと売られる場面も。小幅乱高下をはさんでNY引け後には1030ドル台半ばに収束。この日の変動値幅は20.5ドルとなり、今年の平均31.6ドルの6割強、今年4番めの小動き。右肩上がりの20日移動平均線(1018.3)に下値をサポートされ続ける一方、上値は右肩下がりの200日移動平均線(1044.2)がレジスタンス。三角保合い状態を上抜けると今年高値更新へ、上値目標は1080ドル台辺りまで。下方ブレイク時の目標は年末年始の保ち合い水準970ドル近辺。
ドル円は前日から変わらず115円50銭台での横ばい推移。1月7日(115.56)以来、1ヵ月ぶり高値水準での十字線形成で反落警戒感も。東京朝に115円60銭台の高値から30銭台の安値まで反落した後は値幅を縮小し、欧州・NY時間には115円40銭台を中心に小幅揉み合い推移。この日の変動値幅は36銭程にとどまり、今年の平均65銭の半分強、今年最小値幅。今朝の東京市場では115円60銭台へと再び上値トライ先行の様相も50銭近辺へと反落、本格的な動きはCPI確認後か。予想外の下振れとならなければ、上値トライ継続で115円40銭の節目を上抜けに伴う短期上値目標117円台半ばを目指す流れへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/9終値とチャート
10日の国内金価格は+32円、0.43%高で6日続伸。6日続伸は昨年11月以来、3ヵ月ぶり。水準としても昨年11月19日(7458)以来、2ヵ月半ぶりの高値。7380円の節目を上抜けて年初来の高値保ち合い上方ブレイク後の堅調推移。短期上値目標7450円台まで、もう少しの上昇余地を残す状態での3連休入り。今晩のNY市場でのCPI結果次第では金高・ドル高の同時進行もありえ、そうなった場合には11月高値も超えて長期三角保ち合い上限突破、7500円台も意識されるような展開にも。逆に同時反落の展開となれば大幅に巻き戻すことにも、そうなれば7300円程度までが意識される可能性も。
週間ベースでは+136円、1.86%の大幅続伸。上げ幅は今年最大、3ヵ月ぶりの大幅高。
プラチナ価格は+19円、0.46%の続伸。昨年11月19日(4210)以来、3ヵ月ぶりの高値水準となり、中期三角保ち合い上限ラインとの攻防が続いた状態からも抜け出し始めた格好にも。短期的には4150円の節目上抜けに伴い、4220円台辺りまでを目標にもう一段の上昇が見込まれやすい状況に。ただし、金価格に連れての急反落への警戒感も残り、4100円の節目割れの場合には4000円の大台ラインが意識される展開にも。
週間ベースでは+8円、0.19%の小幅高で4週続伸。今年ここまで6週のうち5週上昇。
※参考:金プラチナ国内価格2/10とチャート
- 2022年2月10日(木)時点の相場
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国内金 : 7,432 円 2/10(木) ▲32(0.43%) 国内プラチナ : 4,157 円 2/10(木) ▲19(0.46%) NY金 : 1,836.6 ドル 2/9(水) ▲8.7(0.48%) NYプラチナ : 1,037.4 ドル 2/9(水) ▲1.1(0.11%) ドル円 : 115.54 円 2/9(水) +-0.00(0.00%)
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