金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

大幅利上げ継続見通しでドル円のボラティリティも急拡大

更新日:2022年8月10日(水)

金・プラチナ・ドル円の1日当たりの変動値幅・月間平均 2022年8月9日今週発表された日本の6月貿易収支では赤字額が1兆円超え、8年4ヵ月ぶりの赤字幅となった5月の1兆9500億円からは縮小したものの、2ヵ月連続の1兆円超えで8ヵ月連続の貿易赤字となったことも円安要因の一つに。ドル円(月間平均)と貿易収支との24ヵ月相関係数は5月に-0.75を超えて6月は-0.76台、少なくとも2005年以降では最大の逆相関状態となり、貿易赤字ならドル高円安が進行する連動状態。
日本の店頭FX取引でも出来高が6月に過去最高を記録との報道もあり、今年3月以降の一方的なドル高円安トレンドが、関連する取引の拡大と偏った取引を推進する状態にもなってきているようです。

その影響はドル円の1日当たりの変動値幅にも顕著に現れます。3月以降にドル高円安の流れが急加速した状態に合わせてドル円のボラティリティも急拡大。
ドル円の1日当たりの変動値幅は、年間平均では2018年から0.686円、0.553円、0.704円、0.577円。それが今年は8月9日時点で1.138円。
ブレグジットや米大統領選で揺れた2016年の1.206円以来、6年ぶりの高水準となっています。なお、それ以前では世界金融危機の2009年が1.209円、2008年は1.412円。
少なくとも5年に1度の大荒れの年、ということにもなりそうな状況に。

月間平均では8月は現時点で1.918円。コロナショック時の2020年3月(1.951円)以来の高ボラティリティ。
NY金の1日当たりの変動値幅が8月平均で23.96ドルで4ヵ月ぶり低水準、NYプラチナは25.49ドルで8ヵ月ぶり低水準となっているのとは対象的。
ドル円の8月は、9日こそ0.53円の小動き(※それでも2019年の年間平均0.553と同レベル)にとどまったものの、先週末の雇用統計の日の急騰ではほぼ3円の値動きとなり、それ以前も2円前後の高ボラ状態が続いたことで月間平均は急拡大。

今晩の米7月CPIの結果次第では、8月の月間平均はさらに拡大することも予想され、月末のジャクソンホール会合や雇用指標などに向けても高ボラ状態が続けば、コロナショック時の水準を上回るような高ボラ状態となる可能性もありそうです。
そして、再び今年高値更新トライへと向かい、9月以降の利上げ見通しも揺れ動くような展開となった場合には、年間平均でも2016年を超え、10年に1度の大荒れの年、ということにもなりかねません。

NY金・日足チャート 2022/7/6 - 8/99日のNY金相場は+7.1ドル、0.39%の続伸で6月29日(1817.5)以来、6週間ぶりの高値。時間外には1805ドルから1800ドル近辺へと小幅に反落も、わずかに大台割れで切り返し。ロンドン市場ではユーロ高ドル安の流れに連れて反発すると1810ドルの節目との攻防へ、NY朝にはこれを突破して一時1810ドル台後半まで上昇もドル安の巻き戻しに連れて1810ドル付近に収束。米7月CPI待ちで市場全体が値動き縮小となるなかでも小幅保合い上抜けの兆しへとフライング。大幅利上げ継続への思惑がそれほど強まらなければもう一段の上昇へ、短期上値目標は3月高値から7月安値までの38.2%戻し(1831.4)近辺まで。逆の展開なら保合い上抜けは一時的な行き過ぎ、1790ドルのサポートを維持できない場合には調整局面入り。23.6%戻し(1772.9)から1760ドル台辺りまでが短期下値目安に。

NYプラチナ・日足チャート 2022/7/6 - 8/9NYプラチナは-5.4ドル、0.58%の反落。時間外序盤の940ドル台半ばが高値となり、940ドル近辺での小幅揉み合い推移からロンドン・NY市場では930ドル台半ばへと下値切り下げの動きとなり、NY午後には上値を930ドル台半ばへ、下値は930ドル近辺へと水準を切り下げ。この日の変動値幅は14.3ドルにとどまり、今年の平均31.6ドルの半分以下、5月27日(12.5ドル)以来2ヵ月半ぶりで今年2番めの小動き。940ドルが目先の抵抗水準となる可能性、上抜けできればあらためて3月高値と7月安値の38.2%戻し(955.8)近辺再トライへ。90日移動平均線(929.8)にサポートされた現状から水準を切り下げる展開となれば880ドル台が下値サポート。

ドル円・日足チャート 2022/7/6 - 8/9ドル円は13銭のドル高円安、0.1%高で3日続伸。米7月CPI待ちで小動きとなるなか、東京朝に135円から134円60銭台まで下げてこの日の安値をつけて以降は、振幅幅を縮小しながらも徐々に下値を切り上げ、上値もわずかに切り上げる形となってNY午前には135円近辺での小幅保合い、NY終盤には135円20銭近辺へと上昇。原油価格が急落した7月のCPIは鈍化が予想され、コアCPIは前年比+6%台再浮上との予想を少しでも上回って強めの結果となるようなら、9月の0.75%利上げ予想が一段と強まるとともに前日高値135円50銭台を超えて136円台トライへ。予想外に鈍化しているようなら急失速、134円割れを試しに行く可能性も。132円90銭の節目も割り込むようだと一段安へ、8月安値(130.39)圏再トライへも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/9終値とチャート

10日の国内金価格は+41円、0.48%高で6日続伸。6日続伸以上は4月以来、4ヵ月ぶりで今年5度め。水準としては7月5日(8643)以来、5週間ぶり高値圏で90日移動平均線(8475)超を維持しての一段高で8500円の大台を回復。6月高値から8月安値の半値戻し(8514)も達成し、今年4月以降の高値保ち合い中央付近。次に意識される上値トライの目安は61.8%戻し(8595)から8600円の大台。下方向へは90日線でサポートされない場合には38.2%戻し(8432)が次のサポート候補。

プラチナ価格は-28円、0.64%安で7日ぶりの反落。やや行き過ぎた流れが巻き戻されて6月高値(4682)から7月安値(4070)までの半値戻し(4376)へ。今年2月以降の保ち合い半ばにも相当し、中立水準に収束。短期的な抵抗水準となりうる4410円を突破できれば上値トライ再開となり、61.8%戻し(4448)から4450円近辺までが上値目標。下値サポート候補は38.2%戻し(4304)から90日移動平均線(4290)辺り。
※参考:金プラチナ国内価格8/10とチャート

2022年8月10日(水)時点の相場
国内金8,521 円 8/10(水) ▲41(0.48%)
国内プラチナ4,377 円 8/10(水) ▼28(0.64%)
NY金1,812.3 ドル 8/9(火) ▲7.1(0.39%)
NYプラチナ933.0 ドル 8/9(火) ▼5.4(0.58%)
ドル円135.15 円 8/9(火) ▲0.13(0.10%)

8/9(火)のその他主要マーケット指標

米7月CPI、予想以上の鈍化でドル円は2円超の急落 8/11(木)

大幅利上げ継続見通しでドル円のボラティリティも急拡大 8/10(水)

インフレ期待は7月に急低下、ミシガン大に続きNY連銀調査でも 8/9(火)

底打ちの兆しも大幅利上げ観測再燃、保合い続く夏場の金価格 8/8(月)

リセッション懸念を吹き飛ばす雇用統計に大幅利上げ観測再燃 8/6(土)


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