金プラチナ短期相場観
世界のプラチナ需給 2024年第1四半期
更新日:2024年5月15日(水)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2024年第1四半期の世界のプラチナ総需要は62.0トン。前期比+1.8%、前年同期比では-6.3%となって3四半期ぶりの高水準。自動車触媒需要が堅調、投資需要は2四半期ぶり買い越し。
総供給量は50.5トンで前期比-12.0%、前年同期比では変わらず、3年3四半期ぶりの低水準。需給バランスは11.5トンの供給不足。供給不足は2四半期連続。
※2024年通年見通しでは、総供給量は221.2トン。前年比-0.9%で3年連続減、4年ぶり低水準。総需要は236.0トン。前年比-5.4%で2年ぶり低水準。需給バランスは14.8トンの供給不足。供給不足は2年連続。
<供給>
■鉱山産出量:38.4トン 前期比-19.4%、前年比+3.61%、1年ぶり低水準。うち南アフリカは25.4トン(前期比-28.6%、前年比+4.9%)で1年ぶり低水準。ロシアは5.5トン(前期比+30.9%、前年比-1.1%)。2カ国合計シェアは80.5%となり、15四半期連続80%以上。
※2024年通年見通しでは170.1トン。前年比-2.6%で4年ぶり低水準。
■リサイクル:12.1トン 前期比+15.4%、前年比-2.5%。2四半期ぶり高水準。※2024年通年見通しでは51.1トン、前年比+5.5%で2年ぶり高水準も、2013年以降では2番めの低水準。北米と中国での自動車触媒リサイクルの低迷が持続。
<需要>
■自動車触媒:25.9トン 前期比+1.9%、前年比+2.7%、6年1四半期ぶりの高水準。
※2024年通年見通しでは101.7トン、前年比+1.8%で4年連続増、7年ぶりの高水準。BEV需要鈍化に対して大型車とハイブリッド車のシェア拡大継続、排ガス規制強化、パラジウム代替需要増などが追い風。
■宝飾品:15.1トン 前期比+2.0%、前年比+5.0%で2年1四半期ぶり高水準。
※2024年通年見通しでは61.5トン、前年比+5.9%で5年ぶりの高水準。
■工業用:19.0トン 前期比-17.0%、前年比-6.8%。2四半期ぶり低水準。
※2024年通年見通しでは69.7トン、過去最大となった2023年から-14.7%で2年ぶり低水準。前年急増した化学関連が-32.7%、ガラス関連が-25.2%見込み。
■投資:2.0トン 2四半期ぶりの買い越し。現物投資需要は1.99トン、前期比+4.9%、前年比-50.2%で2四半期ぶり高水準。
※2024年通年見通しでは+3.1トン、前年比-68.8%。現物投資は6.2トンで前年比-38.4%、ETF関連は、-3.7トンで4年連続の売り越し見通し。
★2024年通年見通しで、需要全体における自動車触媒の占める割合は43.1%。2年ぶりで過去2番めの高水準。宝飾品は26.1%で過去最低となった2023年の23.3%から拡大。工業用は29.5%で4年ぶり低水準。投資は1.3%。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は17.1トン。前期比+2.3%、前年比-7.0%。2023年第1四半期(18.4)以来、4四半期ぶり高水準。
NYプラチナの第1四半期平均価格は915.2ドル。3四半期連続の低下で6四半期ぶりの安値。3四半期ぶりのETF買い越しも限定的。
※2024年通年見通しでは、消費需要は67.7トン。前年比-0.6%、2013年以降で最低となった2022年(67.1)以来2年ぶりで過去2番めの低水準。
14日のNY金は+16.9ドル、0.72%の反発。前日NY市場でつけた安値2340ドル割れからの反発基調がゆるやかに進行。アジア時間での2340ドル付近がこの日の安値となり、アジア時間の高値は2350ドル近辺、ロンドン市場では2350ドル台半ばへ、NY市場では米4月PPIが予想を上回ったことで金利上昇とドル高の反応とともに2340ドル付近へと急反落。しかし3月分の下方修正でインフレ緩和を好感する格好となって巻き戻し、長期金利急反落とドル安の流れに連れて2360ドル台へと急反発。NY午後には高値で2360ドル台半ばまで上昇。目先の主要レンジ下限を2340ドルに切り上げ、2380ドルまでのレンジでCPI待ちへ。レンジを下抜けると2310ドル近辺までが短期下値目安に、上抜けなら2400ドル近辺までの上値トライへ。
NYプラチナは+33.8ドル、3.34%高で4日続伸。昨年5月23日(1057.6)以来、ほぼ1年ぶりの高値。アジア時間には1010ドル近辺の小幅揉み合いとなってこの日の安値圏、ロンドン市場から上昇基調再開。NY朝に1020ドル台へと水準を切り上げて前日高値を超えると12月高値(1031.0)も上抜け、NY午後には1040ドル台へ。NY引け後には1050ドル台へと堅調持続。昨年4月高値(1148.9)から11月安値(843.1)の61.8%戻し(1032.1)を達成して上げ止まらず、76.4%戻し(1076.7)から1100ドルの大台が意識される展開にも。
ドル円は+24銭、0.15%高で3日続伸。4月30日(157.81)以来、2週間ぶり高値圏で小幅に上昇。東京朝の156円20銭近辺が安値となり、前日高値を超えると156円50銭近辺まで水準を切り上げ、これ以降は欧州・NY時間にかけてもほぼ156円半ばを中心に保ち合い推移。米PPI発表直後には4月分の上振れを受けて156円70銭台まで急騰してこの日の高値を更新も、3月分の下方修正を受けて巻き戻し、156円20銭台へと急反落。ただしいずれも一時的となりNY午後にかけては156円半ばに戻して保ち合いへ。4月高値160円20銭台から5月安値151円80銭台の半値戻し(156.05)から61.8%戻し(157.03)までのレンジ内推移という格好にもなり、これが目先の上下の節目にも。CPI後に61.8%ラインを突破できれば158円の節目との攻防へも。158円の節目を上抜けた場合には160円台再トライを目指す流れとなる可能性。下方向には半値戻しを維持できないようなら38.2%戻し(155.07)近辺へと一段安も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/14終値とチャート
15日の国内金価格は+115円、0.89%の反発で4月22日以来、3週間ぶりで今年24回めの最高値更新。12630円から12990円までの高値保ち合いレンジをわずかに上抜ける形となり、最高値こそ更新したものの、高値保ち合いレンジを上方向に縮小した流れで少しだけ行き過ぎただけのような格好にも。依然として勢いには欠けるものの、13070円程度までの上昇余地拡大。下方向には12880円に切り上げた節目を割り込むようだと12750円近辺までを目安に調整局面形成へ。
国内プラチナ価格は+264円、4.85%高で4日続伸。2008年8月11日(5723)以来、15年9ヵ月ぶりの高値。騰落率では今年の絶対値平均1.1%の4.4倍、4月9日(+249円、5.12%)に次いで今年2番めの急騰。行き過ぎ余地として想定した2010年高値5466円を突き抜け、2020年以降の斜行三角保合いも上方ブレイクしての一段高。中長期的な上値目標5900円にも現実味が。短期的には一服感も、行き過ぎの展開が続けば目先、5800円台が意識される可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格5/15とチャート
- 2024年5月15日(水)時点の相場
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国内金 : 13,000 円 5/15(水) ▲115(0.89%) 国内プラチナ : 5,709 円 5/15(水) ▲264(4.85%) NY金 : 2,359.9 ドル 5/14(火) ▲16.9(0.72%) NYプラチナ : 1,044.6 ドル 5/14(火) ▲33.8(3.34%) ドル円 : 156.44 円 5/14(火) ▲0.24(0.15%)
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